コンパスカメラ
コンパスカメラは
- かつてイギリスに存在したカメラメーカー"Compass Cameras Limited"
- 上記カメラメーカーの製品"Compass Camera"
である。
カメラメーカーとしてのコンパスカメラはスーパーマリンの創業者として知られるノエル・ペンバートン=ビリング(Noel Pemberton-Billing )が創業した。
製品
[編集]コンパスカメラI
[編集]写真乾板もしくはロールフィルムを使用し24×36mm判[1]の小型精密複雑カメラ。使用するロールフィルムはリーダーペーパー40mm幅で6枚撮りの専用[2]。ノエル・ペンバートン・ビリング[3]が1930年頃から設計を始め、1936年5月16日に特許を取得。1937年からルクルト(現ジャガー・ルクルト)[2]が製造し1937年[4]または1938年[1]から1944年頃まで販売された。
シャッターは時計用ゼンマイにより動作するロータリー式[1]。シャッタースピードは1/500秒から4.5秒の22段階[5]。
レンズはスイスの光学会社ケルン(Kern )が製造した3群4枚テッサー型のCCL3アナスチグマート35mmF3.5。最短撮影距離0.53m[2]まで基線長39mmの距離計に連動し、二段に沈胴する[2]。距離計。絞りは円盤式でD(Dull=曇りの略でF3.5)、O(Overcast=曇りの略でF4.5)、C(Clear=晴れの略でF6.3)、B(Bright=快晴の略でF16)の4段階。ラッテンK1、G、X1フィルターが組み込まれている[3]。レンズキャップは回転式被写界深度目盛りを持ち[2]、閉めるとシャッターロックが掛かる[3]。ファインダーは横向きに切り替えられ[2]、光学式露出計を兼ねている[3]。
レンズを沈胴させた状態ではほぼ30×53×70mmの立方体となり、この中に上述した機能の他パノラマヘッド、ステレオヘッド、水準器も内蔵している[2]。
発売当時コンパスは30ポンドであった[2]。伝統あるスイス時計メーカーの手になるだけに驚異的な出来である[3]が、小型軽量のボディーに考えうるありとあらゆる機能を詰め込んだ[5]ような設計で使い良いものではなく、ライカIII型エルマー50mmF3.5が31ポンドであった時代だったので売れず収集対象の珍品となり[2]、またコダック・エクトラと並んで複雑怪奇なカメラとして知られている[2]。
コンパスカメラII
[編集]コンパスカメラIのマイナーチェンジ版で、バックグラスに折畳式フォーカシングルーペを装備した。またレンズがCCL3Bアナスチグマート35mmF3.5に変更されている。
参考文献
[編集]- 『クラシックカメラ専科』朝日ソノラマ
- 『クラシックカメラ専科No.2、名機105の使い方』朝日ソノラマ
- 北野邦雄 『現代カメラ新書No.3、世界の珍品カメラ』朝日ソノラマ
- 鈴木八郎『現代カメラ新書No.6、クラシックカメラ入門』朝日ソノラマ