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コンテッサ・ネッテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

コンテッサ・ネッテル (Contessa-Nettel AG) はドイツにかつて存在したカメラメーカー。ツァイス・イコンの母体の一つ。

歴史

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  • 1901年 - シュトゥットガルトで3色版などを作る小さい工場を経営していたマックス・ケルナー (Max Körner) が趣味で製造していたカメラ「ネッテル」で特許を取得[1]
  • 1902年 - ケルナーが実業家のローベルト・マイヤー (Robert Mayer) と知り合いハイルブロン南ドイツカメラ製作所 (Suddeutsches Camerawerk Körner & Mayer GmbH) を設立[1]
  • 1908年 - 南ドイツカメラ製作所ネッテル・カメラ工業 (Nettel Camera Werk) と改称[2]
  • 1908年 - カール・ドレクスラー (Karl Drexler) とアウグスト・ナーゲル (August Nagel) によってシュトゥットガルトにドレクスラー&ナーゲル (Drexler und Nagel) が設立[2]
  • 1919年 - ドレクスラー・ナーゲルコンテッサ工業・アウグスト・ナーゲル (Contessa Werk August Nagel) と改称。
  • 1919年 - ネッテル・カメラ工業コンテッサ工業・アウグスト・ナーゲルが合併、コンテッサ・ネッテル・ナーゲルと改称。
  • 1920年 - コンテッサ・ネッテルと改称。
  • 1926年 - イカエルネマンゲルツと合併し、新会社のツァイス・イコンが成立。

製品一覧

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乾板使用カメラ

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  • アドロ (Adoro) - ネッテル・カメラ工業の製品で木製フォールディングカメラ。9×12 cm(大手札)判写真乾板
    • トローペン・アドロ (Tropen Adoro) - 高級なトロピカル仕様。8×10.5 cm(手札)判写真乾板[3]
  • アルグス(Argus, 1909年発売[2]) - 単眼鏡の形状をしている秘密カメラ。原型はフランスのブロック・ゴーモンが製造したフィジオグラフ。日本には1921年頃三宅克己により紹介された[4]。レンズは テッサー50 mm. シャッターはギロチン式で1/25, 1/50, 1/100秒程度の3速[4]。ファインダーはミラー式。
  • デクルロー・ネッテル(Deckrollo Nettel, 当時の広告でのスペルはDeckrollo[1]1910年頃発売[5]) - もともとネッテル・カメラ工業の製品でコンテッサ・ネッテルになっても製造されたクラップカメラ。立体写真を撮影できる「ステレオ」もある。6.5×9 cm(大名刺)判[5]、8×10.5 cm(手札)判[5]、13×18 cm(キャビネ)判[5]写真乾板、フィルムパック、ロールフィルムが使用できる。フォーカルプレーンシャッターで、最高速1/2500秒は当時この機種だけであった[5]
    • デクルロー・ネッテル・トロピカル (Deckrollo Nettel Tropical) - チーク材と革とニッケルメッキされた真鍮で作られたトロピカル仕様。
  • エルゴ(Ergo, 1923年頃[6]または1924年[3]発売) - 単眼鏡の形状をしている秘密カメラで、アルグスの後継改良型[3][4]。撮影レンズは普段隠されており、しかも横を向いており、シャッターを切った時だけ扉が開く。4.5×6 cm(アトム)判乾板。レンズは距離調節が可能になり、絞りも装備された。シャッターはバリオ式のレンズシャッターで、1/25, 1/50, 1/100秒に加えT、Bが可能になった[4]。ファインダーはプリズム式になった[4]。同様のカメラとしては曽根春翠堂セクレット[3][4][7]、イギリス製のスポーツマン[4]がある。ツァイス・イコンになってもしばらく引き続き製造された[4]
  • ネッカー (Neckar) - ネッテル・カメラ工業の製品で9×12 cm判と10×15 cm判のバージョンがあり、写真乾板またはフィルムパックを使用する。

116フィルム使用カメラ

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  • コカレッテ (Cocarette) - 金属製フォールディングカメラ。6.5×11 cm判。120フィルムを使用するバリエーションがある。ツァイス・イコンになっても1933年まで製造が続けられた。

120フィルム使用カメラ

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  • コカレッテCocarette ) - 金属製フォールディングカメラ。6×9 cm判。116フィルムを使用するバリエーションがある。 ツァイス・イコンになっても1933年まで製造が続けられた。

127フィルム使用カメラ

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  • ピコレット(Piccolette, 1915年発売) - ヴェスト・ポケット・コダックの類似商品。4×6.5 cm判。枠ファインダー、三脚穴、レリーズ穴を標準装備している。レンズは単玉からテッサーまでいろいろなバリエーションがあり、シャッターもクリオ、デルバル、テルマ、コンパーがある。単玉付きはヴェスト・ポケット・コダックの単玉付きより安価で「ピコ単」と呼ばれたが、本家程の人気は出なかった[8]。ツァイス・イコンになってもしばらく引き続き製造された。
  • ルックス・ピコレット (Lux Piccolette) - ピコレットの高級版でトロピカル仕様。レンズはテッサー、シャッターはフリードリヒ・デッケル製コンパー[3]

脚注

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  1. ^ a b c 『ツァイス・イコン物語』p.77
  2. ^ a b c 『ツァイス・イコン物語』p.78
  3. ^ a b c d e 『クラシックカメラ専科』p.97
  4. ^ a b c d e f g h 『現代カメラ新書』No.3「世界の珍品カメラ」p.40
  5. ^ a b c d e 『クラシックカメラ専科』p.105
  6. ^ 『現代カメラ新書』No.3「世界の珍品カメラ」p.41
  7. ^ 『現代カメラ新書』No.3「世界の珍品カメラ」p.42
  8. ^ 『クラシックカメラ専科』p.96, p.104

参考文献

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