コンスタル116N
コンスタル116N コンスタル116Na コンスタル116Na/1 コンスタル116Na/2 | |
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116Na/1(2008年撮影) | |
基本情報 | |
製造所 | アルストム(アルストム・コンスタル) |
製造年 |
1998年(116N) 1999年(116Na) 1999年 - 2000年(116Na/1、116Na/2) |
製造数 |
1両(116N) 2両(116Na) 26両(116Na/1、116Na/2) |
投入先 | ワルシャワ市電 |
主要諸元 | |
編成 | 3車体連接車 |
軸配置 | Bo'2Bo' |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 |
直流600 V (架空電車線方式) |
設計最高速度 | 80 km/h |
車両定員 | 231人(着席38人) |
車両重量 | 29.0 t |
全長 | 24,050 mm |
全幅 | 2,350 mm |
全高 | 3,360 mm |
床面高さ |
890 mm(高床部分) 340 mm(低床部分) (低床率61 %) |
車輪径 | 650 mm |
固定軸距 | 1,900 mm |
台車中心間距離 | 8,300 mm |
主電動機 |
直流電動機(116N) 三相誘導電動機(116Na) |
主電動機出力 |
50 kw(116N) 75 kw(116Na) |
出力 |
200 kw(116N) 300 kw(116Na) |
制御方式 |
電機子チョッパ制御(116N) VVVFインバータ制御(116Na) |
制動装置 | 回生ブレーキ |
備考 | 主要数値は[1][2][3]に基づく。 |
116Nは、ポーランドに工場を構えるアルストム・コンスタルが開発した路面電車車両。車内の多くがバリアフリーに適した低床構造となっている部分超低床電車である[1][3]。
概要
[編集]長年に渡りポーランド各都市へ向けて多数の鉄道車両を生産していたコンスタルは、1997年にフランスに本社を置く重電メーカーのGECアルストム(現:アルストム)に買収され、アルストム・コンスタルとなった。設立当初はコンスタル時代から大量生産が行われていた路面電車の生産に重点を置いており、その一環として展開されたのが116Nである[1][3][4]。
買収前のコンスタル時代に試作された、車内の一部が低床構造となっている112Nを基に設計が行われたが、2車体連接車であった112Nと異なり、116Nは中間に全長3,800 mmの小型車体を挿入した片運転台式の3車体連接車となっており、車輪も車軸が存在しない独立車輪式台車が用いられている。これにより、112Nと比べて床上高さが低くなっている部分の面積が大幅に広がっており、動力台車が設置された両端を除いた車内の61 %が低床構造となっている。また、車体デザインも変更されており、前面は流線形状の外見となっている。車内の座席配置は利用客の移動を考慮したものになっており、従来の高床式車両(105N、105Na等)から乗降扉の数が減少したにもかかわらず、これらの車両と同様の流動性が確保されている[1][3]。
後述の通り、製造年によって電気機器が異なっているが、全車とも集電装置はシングルアーム式パンタグラフを用いており、前方車体に設置されている[1]。
車種・運用
[編集]1998年から2000年にかけて、116Nやその発展形式は計29両が製造され、全車ともワルシャワ市電に導入された。アルストムではポズナン市電を始めとした他都市への導入も見込んでいたが、ほとんどの都市では財政などの理由からドイツ、オランダ、オーストリアなど海外からの譲渡車による車両増備が実施されたため、それ以上の製造は行われていない[3][5][6][7]。
116Nおよび発展形式の概要および差異は以下の通り[1][3][5]。
- 116N - 1998年に1両が製造された試作車。主電動機は直流電動機が用いられ、制御装置は電機子チョッパ制御(GTO素子)に対応している。2005年にはバッテリーが搭載され、停電で架線の送電が停止した際も最大6 kmの区間で自力走行が出来るようになった他、2011年にはスーパーキャパシタへの交換が行われ、回生ブレーキから生じた電力も充電可能となっている[1][3][5][7][8]。
- 116Na - 1999年に2両が製造された試作車。116Nの車体構造が踏襲された一方で電気機器が変更され、主電動機は三相誘導電動機、制御装置はVVVFインバータ制御装置(IGBT素子)となっている[1][3][5][7]。
- 116Na/1、116Na/2 - 1999年から2000年にかけて26両が製造された量産車。電気機器は116Naと同様の構造を採用した一方、車内にはチェコの企業・BUSEが製造した、次の停車駅や乗換案内が表示される車内案内表示装置が設置されたほか、運転室に空調装置が搭載されるなど乗客や乗務員の快適性が向上している。形式の違いは採用した電気機器の違いによるものである[1][3][5][7]。
関連形式
[編集]- その他コンスタル(→アルストム・コンスタル)製の超低床路面電車[5]
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i Zbigniew Rusak 2000, p. 28-29.
- ^ Zbigniew Rusak 2000, p. 32.
- ^ a b c d e f g h i Marek Graff 2015, p. 51.
- ^ “Alstom obchodzi 20-lecie obecności w Polsce”. Alstom (2017年5月15日). 2020年7月1日閲覧。
- ^ a b c d e f Marek Graff 2015, p. 50.
- ^ Marek Graff 2015, p. 52.
- ^ a b c d Jacek Pudło (2013年10月15日). “Niskopodłogowe tramwaje w Polsce w 2013 r.”. InfoTram. 2020年7月1日閲覧。
- ^ Emil Włuka (2019年2月7日). “Tramwajowe prototypy wczoraj i dziś”. zbiorowy.info. 2020年7月1日閲覧。
参考資料
[編集]- Zbigniew Rusak (2000-3). “Tramwaje niskopodłogowe w Polsce” (PDF). TTS Technika Transportu Szynowego (Instytut Naukowo-Wydawniczy "TTS" Sp. z o.o): 23-33 2020年7月1日閲覧。.
- Marek Graff (2015/7-8). “Nowy tabor tramwajowy w Polsce”. TTS Technika Transportu Szynowego (Instytut Naukowo-Wydawniczy "TTS" Sp. z o.o): 46-63 2020年7月1日閲覧。.