コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

コックニー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

コックニー: Cockney)あるいはコクニーは、ロンドン労働者階級で話される英語の一種である。

語源的に14世紀には雄鶏(コック)が生んだような形の悪い卵を指し、16世紀初めには都会育ちで本当の生活を知らない子を指したという。1600年にはBow Bells(シティにあるSt.Mary-le-Bow教会の鐘)の音が聞こえる範囲内で生まれ、余所に対する関心がない連中、との説明がなされた。

特徴

[編集]

コックニーの特徴として、以下が挙げられる。以下は全て容認発音(RP)との対照であり、括弧内には例示として、具体的なフレーズをコックニーの発音で示してある。

発音

[編集]

二重母音長母音の発音が異なっている。 具体的には

[eɪ][aɪ]に(day[daɪ])、

[iː]が[əi]に(keep[kəip])、

[aɪ][ɒɪ]に(like[lɒɪk])、

[ɔɪ][oɪ]に(oil[oɪl])、

[aʊ][æː]に(town[tæːn])なる。

ただし、厳密に言うと例えばdayの場合、[ei]の口の動き(唇を左右に開いた状態)で、[アイ]と発音する。

言い回し、語彙

[編集]
  • am not, are not, is not, have not, has notの短縮形としてのain'tの使用。
  • myの代わりにmeを使用。
  • "Isn't it?"の短縮形としての"innit"を多用(Good day today innit?)。
  • kosher - 正当、本物。イディッシュ語カーシェールから借用

コックニーには、伝統的に押スラング"Cockney Rhyming Slang"と呼ばれている、隠語めいた言い回しがある。現在はコックニーだけでなくイギリス各地で日常会話の中で、俗に使われている表現も多い。これは例えば "Bacon and Eggs" → "Legs"のように、多くは2つの語を並べてその2つ目の語と韻を踏む語を表わすというものである。時には、"China plate" → "Mate" という言い換えの2語のうち、韻を踏んでいない1語目(China)だけを代用して、結果 "China" = "Mate" となる例もあり、事情を知らないものには理解できない文章となることもある。

これらの言い換えは近年でも行われており、例として、トニー・ブレアの名前が "Tony Blair → "Hair"というものがある。

以下に押韻スラングの実例を列挙する。

押韻スラング 意味 使用例
Adam and Eve 信じること Believe→Adam and Eve(アダムとイブ I don't Adam and Eve it!
Bacon and Eggs Legs→Bacon and Eggs She's got a nice set of Bacons.
Butchers 見ること look→Butcher's hook(肉屋の肉フック) Let me take a Butchers!
China 親友 mate→China plate(陶器) How are you, me old China?
Grass/supergrass 密告/密告者 Copper(警官)→Grasshopper(バッタ) I think he grassed me up.
Lady Godiva £5 fiver→Lady Godiva(ゴダイヴァ夫人 Can I borrow a Lady Godiva?
Porkies Lies→Pork Pies 豚肉パイ He's telling Porkies.
Pete Tong ダメになること Wrong→Pete Tong(イギリスのDJ) It's all gone Pete Tong.
近年のライミング・スラング
押韻スラング 意味 使用例
Wallace 嘔吐 Wallace and Grommit→Vomit
Abercrombie 嫌な女 Abercrombie and Fitch→Bitch
Calvin 大丈夫 Calvin Klein→Fine
Tony 髪の毛 Tony Blair→Hair

実際の使用

[編集]

イギリスでは多様な英語が話されているが、特にコックニーは伝統的に「汚い」英語だと上流階級から非難を受けることが他の英語より多かった。戯曲『ピグマリオン』や、それを原作としたミュージカル『マイ・フェア・レディ』・映画『マイ・フェア・レディ』では、コックニーを話す主人公を矯正してRPを話させるようにする過程が描かれている。

コックニーの発音は以下で確認することができる。

創作物

[編集]

人物

[編集]

脚注

[編集]

参考文献

[編集]
  • メルヴィン・ブラッグ(2004年) 『英語の冒険』、三川基好訳、アーティストハウス(ISBN 4-04-898174-9

関連項目

[編集]