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コスタ・コンコルディア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コスタ・コンコルディア
基本情報
船種 クルーズ船
船籍 イタリアの旗 イタリア
所有者 カーニバル・コーポレーション
運用者 コスタ・クルーズ
建造所 フィンカンティエリ セストリ・ポネンテ造船所
(建造番号: 6122)
建造費 4億5000万ユーロ
船級 コンコルディア級
経歴
発注 2004年1月19日
進水 2005年9月2日
竣工 2006年6月29日
就航 2006年7月9日
最後 2012年1月13日ティレニア海で座礁・横転、サルベージ後2015年より解体、2017年解体終了
要目
総トン数 114,147 トン
長さ 290.2 m
35.5 m
喫水 8.2 m
推進器 ディーゼル・エレクトリック、2軸推進
出力 61,000馬力(推進出力)
速力 19.6ノット
旅客定員 3,000名(最大 3,780名)
乗組員 1,090名
テンプレートを表示
船体全景
トルコイズミル湾にて2009年1月撮影。
イタリアのサヴォーナに寄港中
船体の垂直高は約52mで10階建てビルに匹敵する。2006年撮影。
コスタ・コンコルディアの座礁事故
座礁して著しく損傷した船底をさらすコスタ・コンコルディア/2012年1月14日撮影。
灯台のある埠頭に着岸した数多くの救命ボートと、座礁して船体を横たえるコスタ・コンコルディア
2012年1月14日撮影。
座礁地点周辺地図
北緯42度21分53秒 東経10度55分16秒 / 北緯42.36486度 東経10.92124度 / 42.36486; 10.92124
座礁までの進路
右下から左上方向へ伸びる青色の実線が本船のたどった進路。

コスタ・コンコルディア (Costa Concordia, MS Costa Concordia) は、コスタ・クルーズが運航していたクルーズ客船である。地中海を航行中であった2012年1月13日ティレニア海座礁・転覆事故を起こした。

概要

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コスタ・フォーチュナ級の全長を延ばした拡大改良型でカーニバル・クルーズ・ラインコンクェスト級英語版cf. カーニバル・コンクェスト)とほぼ同型となるコンコルディア級英語版の1番船として、2006年6月30日イタリアフィンカンティエリ社のセストリ・ポネンテ英語版工場で竣工した。船価は5億6,500万ドル(当時の日本円で約650億円)。同年7月7日にチヴィタヴェッキアで行われた命名式にて、ファッションモデルで女優のエヴァ・ハーツィゴヴァによって命名され[1]、同月9日より地中海西部の航路に就航した。

2012年1月13日ティレニア海に浮かぶジリオ島の浅瀬に乗り上げた本船は座礁し、浸水・転覆して多数の死傷者を出した(後述)。

船体の撤去は米タイタン・サルベージと伊ミコペリの2社が担当、2013年9月17日には座礁、転覆した船体を引き起こす作業が行われた。その後、両舷に箱状のタンクを接合し、2014年7月22日にジェノバ港まで曳航され解体される予定。1990年代以降、次々と建造された大型クルーズ客船の中では初の解体対象となるため、客船の解体作業としては史上最大規模となる[2]

事故

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2008年

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2008年11月22日シチリア島パレルモにあるパレルモ港イタリア語版ドック入りしていた最中、スコールに伴う突風に煽られてドックの側面に接触し、船首側面に穴が開くなどの被害を受けた[3][4]。けが人はなかった[4]

2012年

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2012年1月13日金曜日)20時頃(現地時間[UTC+1])、乗客と乗員約4,230人[5][6]を乗せてトスカーナ州の西に広がるティレニア海に浮かぶジリオ島(イーゾラ・デル・ジリオ)のジリオ港沖 500 m地点(北緯42度21分53秒、東経10度55分16秒。■右列中段の地図と座標も参照)を航行していたところ、浅瀬に乗り上げて座礁し、著しく損傷した船底から浸水、やがて転覆(横転)した[7][8][9][6][10][4]。17日時点で乗客10人と乗員1人の死亡が確認され、行方不明者は乗客25人と乗組員4人の計29人となった[11]

船内設備

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船内には、サムサラ・スパと呼ばれる客船に設置された中では最大の約2,000m2のウェルネス・センターや、スライド式ガラス屋根を持つプール・エリア二箇所などを備えている。[12][13][14][15][16]

デッキ名

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  • デッキ1 オランダ (Olanda)
  • デッキ2 ズベツィア (Svezia)
  • デッキ3 ベルジオ (Belgio)
  • デッキ4 グレーチア (Grecia)
  • デッキ5 イタリア (Italia)
  • デッキ6 グランブリターニャ (Gran Bretagna)
  • デッキ7 イランダ (Irlanda)
  • デッキ8 ポルトガッロ (Portogallo)
  • デッキ9 フランチア (Francia)
  • デッキ10 ジェルマニア (Germania)
  • デッキ11 スパーニャ (Spagna)
  • デッキ12 アウストリア (Austria)
  • デッキ14 ポローニア (Polonia)

施設一覧

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  • シアター
  • カードルーム
  • カジノ
  • ディスコ
  • インターネット
  • 図書室
  • フィットネスセンター
  • テニスコート
  • ジョギングトラック
  • スパ
  • エステ
  • ジャグジー
  • プール
  • 子供用プレイルーム
  • ゲームセンター
  • 礼拝堂

客室

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スイート

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  • サムサラスイート
  • サムサラミニスイート
  • グランドスイート
  • スイート
  • ミニスイート

内側客室

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  • 内側シングル
  • 内側ツイン (l1)
  • 内側ツイン (l2)
  • 内側ツイン (l3)
  • 内側ツイン (l4)
  • 内側ツイン (l5)
  • サムサラツイン

海側客室

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  • 海側シングル
  • 海側ツイン (B1)
  • 海側ツイン (B2)
  • 海側ツイン (B3)
  • 海側ツイン (B4)
  • 海側ツイン (B5)
  • 海側ツイン (B6)
  • 海側ツイン (E1)
  • 海側ツイン (E2)
  • サムサラツイン (SO)
  • サムサラツイン (SB)

同型船

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コンコルディア級クルーズ客船 (Concordia class cruise ship)
2007年5月15日竣工。
2009年5月29日竣工。
2011年6月30日竣工。
2012年5月5日竣工。

脚注・出典

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  1. ^ Eva Herzigova to be the Godmother of Costa Concordia”. freesun.be (21 June 2006). 20 January 2012閲覧。
  2. ^ “伊座礁コンコルディア号、解体施設への「最後の航海」へ”. AFPBBNews (フランス通信社). (2014年7月21日). https://www.afpbb.com/articles/-/3021060?ctm_campaign=txt_topics 2014年7月21日閲覧。 
  3. ^ “Costa Concordia, l'incidente del 2008” (イタリア語). Corriere della Sera - Corriere TV (website) (Dall' Italia). http://video.corriere.it/costa-concordia-incidente-2008/489b3e4c-3e98-11e1-8b52-5f77182bc574 2012年1月23日閲覧。 
  4. ^ a b c Derbyshire, David; Ellicott, Claire (2012年1月16日). “So what DID cause the Costa Concordia to hit the rocks? Human error, electrical failure and uncharted ridge are all theories” (英語). Mail Online (The Daily Mail). http://www.dailymail.co.uk/news/article-2087133/Costa-Concordia-accident-So-DID-cause-cruise-ship-hit-rocks.html 2012年1月22日閲覧。 ■2012年の座礁事故の図説と画像多数あり。
  5. ^ 日本人乗客43人も含まれていたが、14日までに全員の無事救出が確認された。
  6. ^ a b “40人が行方不明=検察当局、船長を拘束―伊客船転覆事故”. asahi.com (朝日新聞社). (2012年1月15日). http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201201150004.html 2012年1月15日閲覧。 
  7. ^ Nikkhah, Roya (2012年1月14日). “Cruise disaster: captain arrested as three confirmed dead and 69 passengers still missing” (英語). The Daily Telegraph (Telegraph Media Group). オリジナルの2012年1月15日時点におけるアーカイブ。. https://webcitation.org/64gzphQci 
  8. ^ Allen, Emily (2012年1月14日). “Captain and first officer arrested as up to 70 cruise passengers missing and three dead as survivors tell of 'chaotic evacuation'” (英語). Mail Online. The Daily Mail. 2012年1月15日閲覧。
  9. ^ “イタリアで豪華客船「コスタ・コンコルディア」が座礁”. 毎日jp (毎日新聞社). (2012年1月14日). https://web.archive.org/web/20120114205327/http://mainichi.jp/select/world/graph/20120114/ 2012年1月15日閲覧。 
  10. ^ “Cruise ship capsizes in Mediterranean”. Reuters.com (ロイター). (2012年1月14日). http://jp.reuters.com/video/2012/01/14/cruise-ship-capsizes-in-mediterranean?videoId=228583365&videoChannel=117460 2012年1月15日閲覧。 ■動画(英語版)あり。
  11. ^ “伊座礁事故船長、「戻れ」の指示聞かず救助義務放棄 死者11人”. AFPBB News (フランス通信社). (2012年1月18日). https://www.afpbb.com/articles/-/2851465?pid=8320333 2012年1月19日閲覧。 
  12. ^ Deckplan Costa Concordia”. 2012年1月23日閲覧。
  13. ^ Costa concordia deck plans”. 2012年1月23日閲覧。
  14. ^ Costa concordia deck plans”. 2012年1月23日閲覧。
  15. ^ Costa concordia deck plans” (PDF). 2012年1月23日閲覧。
  16. ^ Costa concordia deck plans” (PDF). 2012年1月23日閲覧。

参考文献

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  • 世界の艦船 増刊 世界のクルーズ客船 2009-2010』海人社、2009年11月18日。ASIN B002WD9ZN6 2009年12月号増刊 No.716。
  • 『世界の艦船』 海人社、2006年10月号 No.664。
  • 『世界の艦船』 海人社、2007年3月号 No.671。

外部リンク

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