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コウシュンカズラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コウシュンカズラ
コウシュンカズラ野生個体の花
Tristellateia australasiae
(2024年5月 沖縄県石垣市川平)
保全状況評価
準絶滅危惧環境省レッドリスト
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類
core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : 真正バラ類 I eurosid I /
マメ類 fabids
: キントラノオ目 Malpighiales
: キントラノオ科 Malpighiaceae
: コウシュンカズラ属 Tristellateia
: コウシュンカズラ T. australasiae
学名
Tristellateia australasiae A.Rich.
和名
コウシュンカズラ
英名
maiden's jealousy, showers of gold climber, Australian gold vine、bagnit vine
植栽株の花(2024年6月 沖縄県国頭郡本部町 熱帯・亜熱帯都市緑化植物園)
対生する葉(2024年6月 沖縄県国頭郡本部町 熱帯・亜熱帯都市緑化植物園)
蔓が伸びるコウシュンカズラ
(2024年10月 沖縄県国頭郡本部町 熱帯・亜熱帯都市緑化植物園)

コウシュンカズラ(恒春葛、別名 ビヨウカズラ、学名:Tristellateia australasiae)はキントラノオ科コウシュンカズラ属のつる性常緑低木。環境省レッドリスト準絶滅危惧(NT)。

特徴

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高さ1–5 m。つるはZ巻で10 mほどまで伸び、他の植物を覆う。葉は長さ5–12 cm、卵形〜楕円形で両面無毛の薄い革質で全縁、先が尖り対生する。葉柄上部や葉身基部に1–2対の突起状の蜜腺がある。茎頂に総状花序をつける。花は径2–3 cmほど、花弁は5枚で鮮やかな黄色の星型。雄しべは10本。花期は6–11月(4–12月とする文献[1][2]もある)。果実も星型をしていて、径12 mm、6–7個のがある。翼は木質またはコルク質で軽く、果実は3個に割れて海流で散布される。花が似る別属のキントラノオGalphimia gracilisは、葉幅が狭くつる性ではない点で本種と異なる[3][4][5][1][6][7][8][9][10][11][2][12]

分布と生育環境

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沖縄島(東村慶佐次[11])、先島諸島(宮古、伊良部、石垣、西表、与那国島[13])に分布。マングローブ域の後背地や海岸の岩場に生育する。国外では台湾、東南アジア、太平洋諸島、オーストラリア。熱帯〜亜熱帯に広く分布。沖縄県内では植栽は多いが、野生個体は稀[3][4][5][1][6][7][9][12]

利用

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花が美しく、長期間咲き続けるため、パーゴラ、フェンス、生垣、壁面緑化[14]、公園、庭園樹などに利用される。潮風に強く丈夫で、乾燥や過湿にも強い。病虫害は特にみられない。剪定は込み合う枝を除去する程度で良く、冬場の開花しない時期に行う。強健な性質で手入れはほとんど必要ない。繁殖は挿し木や実生による[1][6][7][9][12]

脚注

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  1. ^ a b c d (海洋博記念公園管理財団 1997, p. 148)
  2. ^ a b (沖田原 2021, p. 188)
  3. ^ a b (白井 1980, p. 182)
  4. ^ a b (池原 1989, p. 31)
  5. ^ a b (小野 1997, p. 312)
  6. ^ a b c (屋比久 2006, p. 153)
  7. ^ a b c (平良ほか 2009, p. 136)
  8. ^ (大川 & 林 2016, p. 222)
  9. ^ a b c (中西 2020, p. 161)
  10. ^ (日本インドア・グリーン協会 2020, p. 190)
  11. ^ a b (遠藤 2021, p. 33)
  12. ^ a b c (林 & 名嘉 2022, p. 47)
  13. ^ コウシュンカズラ Tristellateia australasiae A.Rich.”. www.kahaku.go.jp. 国立科学博物館. 2024年10月24日閲覧。
  14. ^ コウシュンカズラ”. 沖縄らしい風景づくりポータルサイト 風景結々(ふうけいゆいゆい). 沖縄県. 2024年10月25日閲覧。

参考文献

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  • 白井祥平『沖縄園芸植物大図鑑』 4巻《熱帯花木》、沖縄教育出版、那覇市、1980年。 
  • 池原直樹『沖縄植物野外活用図鑑 第8巻 ばら科〜きつねのまご科』新星図書出版、1989年。 
  • 小野幹雄 著「コウシュンカズラ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 3巻、朝日新聞社、東京、1997年、312頁。ISBN 9784023800106 
  • 海洋博記念公園管理財団『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。ISBN 9784902193732 
  • 屋比久壮実『花ごよみ 亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画、2006年。ISBN 4990191730 
  • 平良一男; 新里隆一・仲村康和・松田正則『沖縄 花めぐり』沖縄都市環境研究会、2009年。 
  • 大川智史; 林将之『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄〜八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。ISBN 9784829984024 
  • 中西弘樹『フィールド版 日本の海岸植物図鑑』トンボ出版、2020年。ISBN 9784887162266 
  • 日本インドア・グリーン協会『熱帯植物図鑑』誠文堂新光社、東京都文京区、2020年。ISBN 9784416918852 
  • 遠藤泰彦 著「コウシュンカズラ」、大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司 編『フィールド版改訂新版 日本の野生植物』 2巻、平凡社、2021年、33頁。ISBN 9784582535396 
  • 沖田原耕作『おきなわの園芸図鑑 園芸植物とその名前』新星出版、那覇市、2021年。ISBN 9784909366832 
  • 林将之; 名嘉初美『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。ISBN 9784899824350 

外部リンク

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