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ゲームファンド ときめきメモリアル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ゲームファンド ときめきメモリアルとは、ゲームソフト会社であるコナミ2000年に組成した投資信託ときメモファンド[1][2]の通称で知られる。投資信託の形態は、バミューダ諸島オープンドエンド型契約型証券投資信託となっている。商品開発はみずほ証券[3]、発売元はマネックス証券[3]

概要

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1999年11月頃から商品開発を開始し[3]、2000年10月25日に発表された[4]。同年11月9日から12月20日にかけて募集され、1口10,000円、10口から購入可能だった[4]。集められた資金は、SPCである「ときめきカンパニーリミテッド」が発行する社債に投資され、当該SPCは調達した資金を元に、コナミを営業者とする匿名組合の出資を行う[5]。この資金は『ときめきメモリアル3 〜約束のあの場所で〜』(以下、『3』)[注釈 1]と、『ときめきメモリアル Girl's Side』(以下、『GS』)[注釈 2]の開発資金に当てられた[4][6]

償還額は、『3』と『GS』の発売180日後の最終出荷本数に応じて、決定する仕組みであった[5]。10口保有で希望者は『3』のエンディングスクロール(スタッフロールが終わった後に表示される)に名前を載せることができ、20口保有で『3』の限定版(一般販売されたものと外装ケースの色が異なる)がもらえるという特典が付けられた[5]

特定のテレビゲームソフトの開発資金を「投資信託」という形で調達するというのは日本のゲーム業界初の試みで[7]、ゲーム業界からはもちろん、それ以外の業界からも大きな注目を集めた。

また、この「ときメモファンド」がゲーム業界での投資話としてクローズアップされがちであるが、コナミでは他にも「メタルギアソリッド債」「幻想水滸伝債」と銘打った社債投資の募集も行っている[8]

結果

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募集総額の上限は12億円であったが[4]、実際に申込みがあったのは2,783件、7.7億円に留まったものの、申込み件数でみればマネックス証券が2000年7月に募集した日本初のオンライン証券専用ファンド「ザ・ファンド@マネックス」第1回募集の2,550件を上回った[9][10]

最終的に計算対象期間中の出荷本数は『3』が19万3510本[11]、『GS』が15万7401本[11]、償還額は1口あたり10,088円と発表され[2][11]、2003年2月に償還が完了した[6]。10,000円に対しわずか88円であっても利益を出していることになるが、実際には投資時に3.0%の手数料(加えて手数料にかかる消費税)が発生する[5]ため、最低投資単位である10口を購入した場合、必要資金は10,000円×10口×(手数料3.0%+消費税0.15%[注釈 3])=103,150円であるのに対して償還額は100,880円であることとなり、その差はマイナス2,270円であり、投資家側から見れば元本割れが生じていることとなる[注釈 4]

影響

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ファンドの利益結果について、畑健二郎が『週刊少年サンデー2004年10号(同年2月18日発売)に掲載した読切漫画『ハヤテの如く』(後の『ハヤテのごとく!』の原形)において、「ときメモファンドが元本割れした」と取られかねない表現をし[注釈 5]、コナミの抗議を受けて小学館がサンデー誌面で謝罪した[6]。公式ガイドブックに掲載されている『ハヤテの如く』では修正されている。

また本ファンド以後、雑技団ラーメンアイドルアニメなど多様なコンテンツの個人投資家向け証券化商品の販売が進められている[12]

参考文献

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脚注

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出典

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  1. ^ ときメモ3販売開始、マネックス 松本大のつぶやき(マネックス証券)、2001年12月20日。
  2. ^ a b ときメモファンド、償還額が決まる、ITmediaニュース、2003年1月17日 07:53 PM 更新。
  3. ^ a b c 世界初の投信「ゲームファンド ときめきメモリアル」〜11月から募集、FINANCE Watch、2000年10月25日 20:49。
  4. ^ a b c d e f 「ときメモ3」等開発資金調達のための新金融システム、SOFTBANK GAMES NEWS、2000年10月25日。
  5. ^ a b c d MONEXの投資信託「ゲームファンド ときめきメモリアル」、マネックス証券。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  6. ^ a b c 「少年サンデー」誌における「ゲームファンド ときめきメモリアル」についての不適切な表現について、コナミ、2004年2月25日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  7. ^ コナミ 新型金融商品「ゲームファンド ときめきメモリアル」を通じてゲーム制作・販売資金を調達、コナミ、2000年10月25日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  8. ^ 「幻想水滸伝債」、「第二回メタルギアソリッド債」発行のお知らせ、コナミ、2001年9月4日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  9. ^ 「ゲームファンド ときめきメモリアル」設定額が7.7億円に、SOFTBANK GAMES NEWS、2000年12月22日。
  10. ^ 初のゲームファンド の申込み2,738件に~マネックス、設定額は7.7億円、FINANCE Watch、2000年12月22日 14:11
  11. ^ a b c ときメモ償還、マネックス 松本大のつぶやき(マネックス証券)、 2003年2月18日。
  12. ^ 新しい投資対象の可能性、資産設計への道(当時のマネックス・ユニバーシティ代表取締役、内藤忍のコラム)(マネックス証券)、2004年8月27日。

注釈

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  1. ^ ファンド設定当初の仮称は『ときめきメモリアル3』[4]
  2. ^ ファンド設定当初の仮称は『(女性ユーザー向け)新ときめきメモリアル』[4]
  3. ^ 当時の日本における消費税額は5%。
  4. ^ 手数料を取得原価に加味することは有価証券売却益の課税方法を見れば明らかな通り投資の世界では当然のことである。
  5. ^ 登場キャラクターである誘拐犯が、その借金の原因として「ときメモファンド」の名を叫んでいた。

関連項目

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