ゲンコツ (機関車)
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ゲンコツは、フランスを中心に世界各国に導入された機関車(電気機関車、ディーゼル機関車)のうち、横から見て「Σ(シグマ)」形の先頭形状を有する車両の日本における名称。フランスでは「壊れた鼻」と言う意味を持つ「ネ・カッセ(Nez Cassés)」と呼ばれる[1][2][3][4]。
概要
[編集]1964年に導入された交直流電気機関車のCC40100形を皮切りに、以降のフランス国鉄における機関車の標準型として採用された形状。短距離走者のスタート姿勢をモチーフにした独特の前面形状はフランス国鉄の電気機関車の設計に携わっていたインダストリアルデザイナーのポール・アルザン(Paul Arzens)が設計したもので、前面窓の部分が車体側に傾斜した構造は窓ガラスへの日光の反射を防ぎ運転士の視界を向上させる事を目的としている[5][6][3][7]。
この形態を持つ機関車はフランス国鉄のみならず、かつてフランスが宗主国であったモロッコの鉄道を始め世界各国へ導入され、フランス国鉄への導入が終了した1980年代以降も同国やオランダへ向けての製造が行われた[1][8]。
フランス国内の導入事例
[編集]電気機関車
[編集]- CC6500形直流電気機関車[6]
- BB7200形直流電気機関車[5]
- BB15000形交流電気機関車[2]
- CC40100形交直流電気機関車 - 4電源方式[9]。
- CC21000形交直流電気機関車 - 1970年代に新型機関車の試験用としてアメリカ合衆国(アムトラック)へ1両が一時的に貸し出された経歴を持つ(X996)[6][10]。
- BB22200形交直流電気機関車[5]
ディーゼル機関車
[編集]ギャラリー
[編集]-
CC6500形直流電気機関車
(2005年撮影) -
BB7200形直流電気機関車
(2015年撮影) -
BB15000形交流電気機関車
(1999年撮影) -
CC40100形交直流電気機関車
(1995年撮影) -
CC21000形交直流電気機関車
(1978年撮影) -
BB22200形交直流電気機関車
(2015年撮影) -
CC72000形ディーゼル機関車
(2008年撮影) -
アムトラックへ貸し出されたCC21000形
(1977年撮影)
フランス国外の導入事例
[編集]電気機関車
[編集]- ベルギー国鉄18形 - フランス国鉄向けのCC40100形の同型車両[11]。
- オランダ国鉄1600形 - フランス国鉄向けのBB7200形を基にした形式。オランダ国鉄の再編後、オランダ鉄道に在籍する1600形については1800形に改番されている[1]。
- オランダ国鉄1700形 - 1600形の改良形式。機器の変更のほか、自動連結器が搭載されている[1]。
- モロッコ国鉄E900形[12]
- モロッコ国鉄E1300形[8]
- モロッコ国鉄E1350形[8]
- ポルトガル鉄道2600形[13]
- ポルトガル鉄道2620形[13]
- スロベニア鉄道363形 - フランス国鉄のCC6500形を基にした貨客両用機関車[14]。
- 韓国鉄道8000形 - 韓国鉄道庁(現:韓国鉄道公社)が所有する路線における初の電気機関車[15]。
- サンパウロ州鉄道公社(FEPASA)2200形[16]
-
ベルギー国鉄18形
(1989年撮影) -
オランダ国鉄1600形
(2006年撮影) -
オランダ国鉄1700形
(2012年撮影) -
モロッコ国鉄1300形
(2002年撮影) -
モロッコ国鉄1350形
(2010年撮影) -
ポルトガル鉄道2600形
(2020年撮影) -
ポルトガル鉄道2620形
(2010年撮影) -
スロベニア国鉄363形
(2014年撮影) -
韓国鉄道8000形
(1979年撮影) -
サンパウロ州鉄道公社2200形
(2009年撮影)
ディーゼル機関車
[編集]- モロッコ国鉄DF100形 - フランス国鉄のCC72000形の同型車両[6]。
- ポルトガル鉄道1900形
- ポルトガル鉄道1930形[17]
関連項目
[編集]- 北総開発鉄道7000形電車 - 前面窓部分を内側に傾斜させた前面形状を有し、「ゲンコツ電車」と呼ばれた日本の電車[18]。
- VR Dr13形 フランスのアルストム技術を使用し、同様の設計を持つフィンランドのディーゼル機関車. "my summer car" コンピュータゲームに登場する, カラーリングは1990年代に対応しています.[19]
- 460形チェコスロバキアの電車 前面部分にも同様のベベルがあります.
- 2TE10形 それ以降のバージョン そして2TE116形 ウクライナ・ソ連製のディーゼル機関車にはこのような面取りされたフロントガラスがある。2TE116形 家族の一TE109員, でも残りは違うデザインです. 上記のものはすべてヨーロッパのさまざまな国で広く普及していますが、最も頻繁に修理されるのはラトビアのダウガフピルス市です。 これらのディーゼル機関車は、1970 年代から 2015 年まで製造されましたが、ウクライナ東部での戦闘で工場が破壊されました。戦闘は 2022 年にも広範な軍事作戦の一環として継続されています。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d “Les <<Nez Cassés>> Néerlandais Sur le Déclin”. RailPassion (2019年12月31日). 2021年9月26日閲覧。
- ^ a b “フランス国鉄BB15000形電気機関車”. ヌマジ交通ミュージアム. 2021年9月26日閲覧。
- ^ a b フリーランスプロダクツ (2019-8-1). “鉄道デザインの100年”. 鉄道ファン 59 (8): 38.
- ^ 電気機関車EX vol.2. イカロス出版. (2017-2-25). ISBN 9784802202893.
- ^ a b c “Watch out! You might end up with a "broken nose"”. Fieischmann (2021年3月29日). 2021年9月26日閲覧。
- ^ a b c d e 寺戸浩一 (1970-3-1). “新しいフランスの電気機関車とディーゼル機関車”. 鉄道ファン 10 (3): 102-104.
- ^ “Automobilia”. Toutes les voitures françaises 1940 - 46 (les années sans salon) (Histoire & collections) Nr. 26: 52. (2003).
- ^ a b c PACIFIC CONSULTANTS CO., LTD.; HITACHI, LTD.; TOSHIBA CORPORATION (2012年11月). STUDY ON THE EXPANSION OF RAIL TRANSPORT CAPACITY FOR ROCK PHOSPHATE, THE KINGDOM OF MOROCCO (PDF) (Report). 2021年9月26日閲覧。
- ^ 沢野周一 (1964-4-1). “フランス国鉄(S.N.C.F.)の新らしい4電流機関車”. 鉄道ファン 4 (9): 47.
- ^ “Unveiling the Future of Amtrak Motive Power”. Amtrak (2014年2月7日). 2021年9月26日閲覧。
- ^ Denis Redoutey (2016-12-12). Le materiel moteur SNCF en 2016. La Vie du Rail. ISBN 978-2370620408
- ^ “私のビジネス回顧録 モロッコ国鉄(ONCF)向け電気機関車×42両座談会 [第3回(最終)”]. 鉄道車両輸出組合報 (日本鉄道車両輸出組合): 32. (2011-2) 2021年10月3日閲覧。.
- ^ a b “Série: 2600-2620”. Combinos de Portugal. 2021年9月26日閲覧。
- ^ Luka Gradišnik. “SŽ 363 - Brižita”. Tinetova stran o železnici. 2021年9月26日閲覧。
- ^ “전기기관차”. 철도산업정보센터. 2021年9月26日閲覧。
- ^ simplismentefepasaの投稿(762505627161862) - Facebook
- ^ “Série: 1930 (1931-1947)”. Comboios de Portugal. 2014年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月26日閲覧。
- ^ “北総開発鉄道7000形”. 鉄道ホビダス (2008年3月18日). 2021年9月26日閲覧。
- ^ https://my-summer-car.fandom.com/wiki/Train