数学において、ケイリー=アロンホルトの微分作用素(ケイリー=アロンホルトのびぶんさようそ)は、多項式環上で定義される三つの微分作用素である。作用素の名は19世紀のイギリスの数学者アーサー・ケイリーとドイツの数学者ジークフリート・ハインリッヒ・アロンホルト(英語版)に因む。二次の特殊線形リー環の表現を与えており、古典的不変式論において、基本的な役割を果たす。
を不定元とし、標数0の体 K を係数とする多項式に対し、
で定義される、多項式環 上の微分 をケイリー=アロンホルトの微分作用素という。
単項式 に対し、その次数 、重さ は、
で定義される。
の作用で次数 は不変であるが、重さ については、
が成り立つ。
全ての項の次数が等しい多項式を同次多項式、全ての項の重さが等しい多項式を同重多項式という。同次同重多項式 に対し、その指数 を
で定めると
が成り立つ。
交換子積をで定めると、同士の交換子は、
の関係を満たす。
これは二次特殊線形リー環 の基底
が満たす関係
に対応している。
そこで、を対応関係
で与えれば、はを表現空間とするのリー代数の表現となる。