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ケイビラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ケイビラン属から転送)
ケイビラン
紀伊半島、三重県南勢地域にて、2020年7月18日撮影
ケイビラン、円錐花序に花をつける、2020年7月
紀伊半島三重県南勢地域にて
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: キジカクシ科 Asparagaceae
亜科 : スズラン亜科 Nolinoideae
: ケイビラン属 Comospermum
: ケイビラン C. yedoense
学名
Comospermum yedoense
(Maxim. ex Franch. et Sav.) Rausch.[1]
シノニム
  • Alectorurus yedoensis (Maxim. ex Franch. et Sav.) Makino[2]
  • Comospermum platypetalum (Masam.) Rausch.[3]
和名
ケイビラン

ケイビラン(鶏尾蘭、学名:Comospermum yedoense (Maxim. ex Franch. et Sav.) Rausch.[1])は、キジカクシ科スズラン亜科ケイビラン属に分類される多年生の1[4]クロンキスト体系新エングラー体系では、ユリ科に分類されていた[1][5]。古くから知られていた植物で、カール・ヨハン・マキシモヴィッチ江戸で得た栽培品種を研究して、Anthericum yedoensis Maxim.と命名した[5]。のちに松村任三は、ブルビネラ属Bulbinella)のものと考えたが、牧野富太郎は詳しく研究して、1908年に新属(ケイビラン属、Alectorurus)の種であるとした[5]。この属名は、を意味する[5]種小名yedoense)は、はじめ江戸で得た栽培品に命名したことによる[4]和名の形状が雄鶏の尾の羽根に似ていることに由来する[4][6][7]。別名が、ヤクシマケイビラン[1]。本は本種の1種のみ[5]

特徴

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草丈は高さ20-40 cm[4]根生葉は左右扁平で2列互生[4]、鎌状線形で長さ10-40 cm、幅10-25 mm、やや形に曲がり先はしだいにとがり、基部に関節線がある[5]花茎には狭い翼がある[4]。まばらな[5]円錐花序に白色-薄紫色で長さ5 mmのをつける[4]花柄に関節がある[5]。花は単性で[5]雌雄異株[4]花被片は6個、鐘形で平開せず下向きにつく[5]。雄花の花被片は長楕円形で、雄蕊6個は長く突き出て[4]、退化した子房がある[5]。雌花の花被片は卵状楕円形、大きな子房と短い雄蕊があり、子房は上位で3室、各室に2個の胚珠がある[5]蒴果形で、直径3-4 mm、胞背裂開する[5]種子は長楕円形で長さ2-3 mm、基部に白色の長毛がある[5]。花期は7-8月[4]

分布と生育環境

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山地の絶壁の岩の隙間に張り付いて生育するケイビラン

日本固有種本州紀伊半島)、四国九州[4]にまれに分布する[5]屋久島が分布域の南限[6]。九州や四国に多いが、紀伊半島の三重県七洞岳などでも観察できる[8]香川県小豆島でも見られる[9]ソハヤキ要素植物のひとつとされている[10]

山地に生育する[5]。湿った[7]岩の上や割れ目に自生し、絶壁に張り付くことが多い[8]

種の保全状況評価

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日本では環境省による国レベルでのレッドリストの指定を受けていないが[11]、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。阿蘇くじゅう国立公園祖母傾国定公園で指定植物の一つに選定されていて、保護対象とされている[10]

脚注

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  1. ^ a b c d 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ケイビラン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年10月31日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ケイビラン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年10月31日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ケイビラン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年10月31日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 門田 (2013)、151頁
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 佐竹 (1982)、29-30頁
  6. ^ a b 川原 (2001)、90頁
  7. ^ a b 片野田 (2004)、103頁
  8. ^ a b 黒田 (2015)、105頁
  9. ^ a b 香川県レッドデータブック2021” (PDF). 香川県. pp. 136. 2021年10月31日閲覧。
  10. ^ a b c レッドデータブックおおいた2011、ケイビラン” (PDF). 大分県. 2021年10月31日閲覧。
  11. ^ 環境省レッドリスト2020の公表について”. 環境省. 2021年10月31日閲覧。
  12. ^ 三重県レッドデータブック2015~三重県の絶滅のおそれのある野生生物~” (PDF). 三重県. pp. 463. 2021年10月31日閲覧。
  13. ^ 長崎県レッドデータブック”. 長崎県. 2021年10月31日閲覧。
  14. ^ 奈良県版レッドデータブック 2016 改訂版”. 奈良県. 2021年10月31日閲覧。

参考文献

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  • 片野田逸朗『九州・野山の花-花トレッキング携帯図鑑』南方新社、2004年9月23日。ISBN 978-4861240232 
  • 門田裕一、畔上能力、永田芳男、菱山忠三郎、西田尚道『山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年3月30日。ISBN 978-4635070218 
  • 川原勝征『屋久島高地の植物-世界自然遺産の島』南方新社、2001年8月20日。ISBN 978-4931376526 
  • 黒田豊年、金丸勝実、内田拓也『改訂版 三重県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド・改訂新版〉、2015年3月15日。ISBN 9784635024013 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅰ単子葉類』平凡社、1982年1月10日。ISBN 4582535011 

外部リンク

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