グルパール
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グルパールは、株式会社片山化学工業研究所が生産・販売していた食品添加物。
概説
[編集]コムギの種子を原料とし、これに含まれるタンパク質であるグルテン(小麦グルテン)を高温条件下で塩酸によって加水分解(脱アミド化)することで生産される[1]。食品添加物としてはパンや麺類などの食味を改善する目的で使用される[2]。グルパールの添加によって、麺では弾力やのび具合が変化する他、パンでは乳化剤やイーストフードの使用量を低減できるとされる。
グルパール19S
[編集]グルパールの一種である「グルパール19S」は、化粧品原料としての使用が許可されていたものであり、石鹸やヘアートリートメントムース、スキンクリームに使用されていた[3][4]。しかし、グルパール19Sを配合した「茶のしずく石鹸」が小麦アレルギーを誘発した例が報告され、2010年10月に厚生労働省から注意が喚起されると共に、同製品が回収される事となった[5]。なお、片山化学工業研究所は、2010年8月にグルパール19Sの製造・販売を終了している[5]。
グルパール19Sがアレルギーを引き起こした理由としては、他の加水分解コムギ製品よりも平均分子量が大きく(3.5万から5万ダルトン)、免疫応答を誘発しやすかった可能性が示唆されている[6][7]。
なお、石鹸だけでなく、豚の角煮に添加されていたグルパールが原因と診断されたアレルギーの事例も報告されている[8]。
参考文献
[編集]- ^ 天野エンザイム株式会社 (2010年5月). “Chryseobacterium proteolyticum 9670 株を利用して生産されたプロテイングルタミナーゼに係る食品健康影響” (PDF). 食品安全委員会. 2011年11月25日閲覧。
- ^ 半埜賢治「グルパールの麺・パンへの利用 (特集 パンと麺の食品添加物・素材)」『月刊フードケミカル』第15巻第10号、1999年、73-76頁、NAID 40004556661。
- ^ 朝日新聞社 (2011年11月24日). “茶のしずくと同成分、6社販売続ける 11年6月まで”. アピタル 2011年11月25日閲覧。
- ^ データ・マックス (2011年9月29日). “悠香『茶のしずく』裁判を考える(2)~原料供給は片山化学工業研究所”. 健康情報 2011年11月25日閲覧。
- ^ a b 弊社グルパール19Sを配合された石鹸により、小麦アレルギーを誘発した症例が報告された件について 片山化学工業研究所・2011年11月14日
- ^ “シグナル 2011年秋号” (PDF). 枚方市役所 消費生活センター (2011年). 2011年11月25日閲覧。
- ^ 通販新聞社 (2011年9月29日). “【検証・悠香の自主回収④】67症例全てが悠香示す、使用原料「グルパール19S」に原因?”. 通販新聞 2011年11月25日閲覧。
- ^ 篠田純子・猪又直子・藤村奈緒・千貫祐子・森田栄伸・池澤善郎「食品添加物:小麦グルテン加水分解物グルパールに対するI型アレルギーの一例」『アレルギー』第59巻3・4、2010年、450頁、NAID 110008015649。