グリーンナッツオイル
グリーンナッツオイル (green nuts oil) は、アマゾン川周辺を原産とするトウダイグサ科の樹木、サッチャインチ(学名: Plukenetia volubilis L.、プルケネティア・ボルビリス)の新鮮な果実と種子から圧搾した油である。サチャインチ油またはサチャインチオイル (英: sacha inchi oil)、インカインチオイルとも。
グリーンナッツオイルには、オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸が約50%と非常に多く含まれ、亜麻仁油に匹敵する[1]。グリーンナッツオイルには、100gあたり176–226 mgと非常に多いトコフェロール(ビタミンE)が含まれ、主にガンマトコフェロール (50%) と、デルタトコフェロールである[2]。2004年のパリウォルル食用油品評会では金賞を受賞し、「食べておいしいオメガ3オイル」とされた[2]。
グリーンナッツオイルを160-180度に過熱することで、利点が報告されているα-リノレン酸は10%減少してしまうし[3]、リノール酸も減少するため非加熱でドレッシングとするか、100度までが調理に適する[4]。亜麻仁油やエゴマ油に比較して酸化しにくいとされる[4][5]。
サッチャインチは、ペルーでは、1000年前のインカ前時代の墓地からも発掘されている伝統的な作物で「インカのピーナッツ」とされ、各地でそれぞれの名称で呼ばれている[2]。
プラカシー
[編集]サッチャインチはプラカシー (Pracaxi) とも呼ばれるが、この呼称は多様な植物を指している。ほかにプラカシーと呼ばれるものに、マメ科の Pentaclethra macroloba の油があり、ベヘン酸が多いことが特徴で、ベン油に似た特徴がある[6][7][8]。
出典
[編集]- ^ Fanali C; Dugo L; Cacciola F; Beccaria M; Grasso S; Dachà M; Dugo P; Mondello L. (2011-12). “Chemical characterization of Sacha Inchi (Plukenetia volubilis L.) oil.”. J Agric Food Chem 59 (24): 13043–9. doi:10.1021/jf203184y. PMID 22053706.
- ^ a b c 後藤隆郎「ペルー・プカルパのサッチャインチ」『農業および園芸』第81巻第8号、2006年8月、890-893頁。
- ^ 石川博美「天然植物中の脂質組成の比較」『教育学部紀要』第49号、2015年12月20日、177-183頁。
- ^ a b 竹山恵美子、松本絵美、福島正子「グリーンナッツオイルの加熱および保存特性と調理への応用」『日本調理科学会大会研究発表要旨集』第24巻第0号、2012年、158頁、doi:10.11402/ajscs.24.0.158.0。
- ^ 竹山恵美子、新海シズ、福島正子「グリーンナッツオイルの産地が油脂の酸化に及ぼす影響」『一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集』第65巻第0号、2013年、128頁、doi:10.11428/kasei.65.0_128。
- ^ “Sacha Inchi (Plukenetia volubilis, Euphorbiaceae): A Promising Oilseed Crop from Peruvian Amazon”. Tropentag (2007年10月). 2019年9月28日閲覧。
- ^ Hans-Peter Hanssen; Markus Schmitz Hübsch. “Sachai Inchi (Plukentia Volubilis L.) Nut Oil and Its Therapeutic and Nutritional Uses”. Nuts and seeds in health and disease prevention 2011年9月7日閲覧。.
- ^ “Pracaxi”. Distrion Amazónia. 2011年9月7日閲覧。