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クールポート王立海軍弾薬庫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クールポート王立海軍弾薬庫
Part of クライド海軍基地
ロング入江(スコットランド、アーガイル)
クールポート弾薬庫への入り口
クールポート王立海軍弾薬庫の位置(アーガイル・アンド・ビュート内)
クールポート王立海軍弾薬庫
アーガイル・アンド・ビュートにおける位置
座標北緯56度03分 西経4度53分 / 北緯56.05度 西経4.88度 / 56.05; -4.88
種類核弾頭の貯蔵および装填
施設情報
所有者イギリス政府
管理者イギリス海軍
一般公開なし
歴史
建設1963-1968 (ポラリス・システム)
1982-1995 (トライデント・システム)

クールポート王立海軍弾薬庫(RNAD Coulport)は、イギリス海軍トライデント潜水艦発射弾道ミサイル核弾頭の貯蔵および装填施設。王立海軍弾薬庫(Royal Naval Armaments Depot)の称号を残す最後の施設であり、ロング入江東岸のクールポート村沿いの丘陵に16棟の鉄筋コンクリートバンカーが建設されている。

バンカーの下にはヴァンガード級原子力潜水艦用の2つのドックがあり、哨戒潜水艦の武装の搭載および積降しに使用されている。2つのうち古い方はポラリス桟橋(Polaris Jetty)として知られ、新しい方の秘匿された爆発物取扱桟橋(Explosive Handling Jetty, EHJ)はトライデント用弾頭の取扱いに使用されている[1]

クールポートは冷戦期に、イギリスポラリス核兵器システムのための貯蔵および装填施設として建設され、現在ではトライデント・システムを取り扱っている。クールポートは弾頭の取扱いを主としているが、ミサイルへの装填および取り外しのための施設もそなえている。貯蔵庫には、例えば魚雷のような在来型兵器も貯蔵されている。

歴史

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トライデントII (D5)ミサイルの水中発射
母港クライドから出航するトライデント潜水艦
クールポート弾薬庫の外周フェンス
MoD road to RNAD Coulport.

クールポートはもともとは富裕なグラスゴー市民の夏季休暇の静養地として知られており、特に有名なものとしてキッブル・パレスという大温室があったが、これは現在ではグラスゴー植物園内に移設されている。

ナッソー協定が1962年12月に調印され、ポラリス売却協定が1963年に調印された。クールポート弾薬庫は、Duchlage(歴史的にはDuchlassと綴られた)農園の跡地に、1963年から建設が開始され、1968年に竣工した。アイルシャーのハンターストーンでトライデント潜水艦のための浮きドライドックが建造され、クールポートに曳航されて1993年に設置された。この爆発物取扱桟橋(Explosive Handling Jetty, EHJ)は世界最大級の浮きコンクリート製構造物のひとつである[2]

クールポートおよびファスレーンにおけるトライデント・プログラムは完成まで13年を要した。クールポートにおける計画作業は1982年に始まり、計画全体の最終的なコストは、1994年時点の額面で190億ポンドと試算された。これは英仏海峡トンネル計画に次ぐイギリス第2の規模の調達計画となった[3]

2014年スコットランド独立住民投票に先立ち、イギリスからのスコットランド独立投票がクールポートおよびファスレーンに及ぼす影響がメディアで広く論じられたが、それはイングランド、ウェールズ北アイルランドの潜水艦基地にクールポートのサイロを収容できるか不明確であったからである[4][5][6]。しかしながら、スコットランドの選挙民は独立に賛成票を投じなかったため、この一帯はスコットランドの他の地域ともどもイギリス領に残留し、基地やそこにある装備もまた影響を被ることはなかった[7]

姉妹港キングズベイ

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イギリスのポラリス・システムはクールポートで完全に支援されているが、ミサイル本体はキングズベイ海軍潜水艦基地アメリカ合衆国ジョージア州)のトライデント再整備施設にある巨大な備蓄から選定されている。ミサイルはイギリスの所有ではなく、アメリカ海軍と共有のプールのうち58発に対する「共同資産」所有権をイギリスは有している。トライデント用弾頭はオルダーマストン(イングランドバークシャー)にある核兵器機関(Atomic Weapons Establishment, AWE)で設計および製造されており、イギリス政府の所有物である[8]

クールポートにおける保安および事故

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ボウライン演習(Exercise Bowline)はクールポートにおける核兵器事故への緊急対処手順の年次検証である。演習は原子力規制局によって実施される。2011年の検証は「演習の指揮・統制の側面は、適切に実行されたとは考えられない」[9]。演習は同年に再度実施され「顕著な改善」を記録し、「取り決められた目標および関連する「指揮・統制」の成功基準を満たした」[10]


脚注

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  1. ^ Bourn, John (27 July 1994). “Ministry of Defence: Management of the Trident Works Programme”. Report by the Comptroller and Auditor General. London: National Audit Office. 11 April 2012閲覧。
  2. ^ Randall, RF (1 May 1995). “The Trident Explosives Handling Jetty, Royal Naval Armaments Depot, Coulport: construction, tow and commissioning”. Proceedings of the ICE - Structures and Buildings (London: Institution of Civil Engineers) 110 (2): 136-148. doi:10.1680/istbu.1995.27595. ISSN 0965-0911. http://www.icevirtuallibrary.com/content/article/10.1680/istbu.1995.27595 17 April 2012閲覧。. 
  3. ^ Central Unit on Procurement (1995) (PDF). The Trident Works Programme (a Case Study). CUP guidance. 49. London: HM Treasury. http://archive.treasury.gov.uk/pub/html/docs/cup/cup49.pdf 
  4. ^ Kirkup, James (2012年1月26日). “Nuclear subs will stay in Scotland, Royal Navy chiefs decide”. The Daily telegraph. http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/defence/9043092/Nuclear-subs-will-stay-in-Scotland-Royal-Navy-chiefs-decide.html 2012年4月4日閲覧。 
  5. ^ Norton-Taylor, Richard (2012年1月29日). “Trident nuclear deterrent 'at risk' if Scotland votes for independence”. The Guardian. Guardian News and Media Limited. 2012年4月4日閲覧。
  6. ^ RUSI paper on relocation of Coulport facility”. 2012年4月4日閲覧。
  7. ^ “Scottish referendum: Scotland votes 'No' to independence” (英語). BBC News. (2014年9月19日). http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-29270441 
  8. ^ The Future of the United Kingdom’s Nuclear Deterrent”. MoD Fact Sheet 4: The Current System. 4 April 2012閲覧。
  9. ^ HM Naval Base Clyde - Quarterly report for 1 July 2011 to 30 September 2011”. Bootle: Office for Nuclear Regulation, Health and Safety Executive. 13 April 2012閲覧。
  10. ^ HM Naval Base Clyde - Quarterly report for October to December 2011”. Bootle: Office for Nuclear Regulation, Health and Safety Executive. 20 May 2013閲覧。

関連文献

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  • Mackby, Jenifer; Cornish, Paul (2008). U.S.-UK nuclear cooperation after 50 years. Washington DC: Center for Strategic and International Studies. p. 410. ISBN 9780892065301 

関連項目

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外部リンク

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