クリーンパーク茂原火災
このページ名「クリーンパーク茂原火災」は暫定的なものです。(2022年2月) |
クリーンパーク茂原火災 | |
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火災現場となったクリーンパーク茂原 | |
場所 | 日本・栃木県宇都宮市茂原町777-1 クリーンパーク茂原 |
座標 | |
日付 |
2022年(令和4年)2月1日 2月1日午前1時50分頃 – 2月2日午後4時ごろ(JST) |
概要 | 焼却ごみ処理施設内のごみピットから出火し、ごみ約2000トンが燃え、施設を焼損 |
影響 | クリーンパーク茂原でのごみ処理が不可能となり、宇都宮市のごみ焼却能力の約7割を失う |
管轄 | 宇都宮市環境部廃棄物施設課 |
クリーンパーク茂原火災(クリーンパークもばらかさい)は、2022年(令和4年)2月1日から2月2日にかけて宇都宮市のごみ焼却処理施設(清掃工場)「クリーンパーク茂原」で発生した火災。
経過
[編集]2022年2月1日午前1時52分ごろ、クリーンパーク茂原で火災報知器が鳴動し、火災報知機の鳴動を確認した宇都宮市の受託業者がクレーン操作室に駆け付け、ごみを貯める「ごみピット」で出火を確認した[1][2]。すぐに備え付けの放水銃2基を遠隔操作し消火活動を始めたが、火勢は収まらず、出火から約50分後に119番通報し消防による消火活動を開始した[1]。消防隊と消防団80人が出動したが、最終的にごみピットに貯め置かれていた可燃ごみ約2000トンを焼き鎮火したのは翌2月2日午後4時ごろとなり、約38時間にわたって燃え続けた[3][4]。
この火災により、ごみ貯留場のクレーン2基、脱臭装置2台、放水銃などが焼損し、クリーンパーク茂原でのごみ焼却が不可能になった[2][3]。
2月10日時点で火災の原因は不明だが、市はごみに混入していたスプレー缶やリチウム電池、ライターなどから発火した可能性があると推察している[3]。また市は2月9日の市議会議員協議会で、ごみ焼却能力の復旧は半年以上かかるものだとみられると説明し[2]、2月18日に、市はごみ焼却の再開に今後半年以上かかることを正式に発表した[5]。
2022年9月5日、事故対策委員会は、佐藤栄一市長に報告書を提出した[6][7][8]。出火原因の特定には至らず[6][7]、再発防止策として、火災発生時の通報マニュアルの見直しや火災覚知システムの更新を提示した[8]。
その後も、ごみの受入れ再開が遅れていたが、ごみピットのコンクリート壁の補強工事を実施し、2022年12月24日から受入れを再開すると発表した[9]。
火災による影響
[編集]ごみ処理への影響
[編集]火災により施設が焼損したため、焼却ごみは2月1日から受け入れができなくなった。クリーンパーク茂原では宇都宮市と上三川町と石橋(下野市)から排出される月に約1万3400トンの可燃ごみのうち、全体の68%(約7割)にあたる約9150トンを処理しており、この分の搬入先の確保が必要になっている[2]。
クリーンパーク茂原で処理してきた分は、宇都宮市が下田原町に保有するもう一つのごみ処理施設である「クリーンパーク下田原」で処理するが、それでも賄いきれないため2月7日に宇都宮市内と鹿沼市の民間施設2カ所で委託処理を開始し、栃木県内の他自治体などにも依頼し、1か月あたり約2000トンの外部処理を行うことにしている。今後、1か月あたりの委託処理量を3000トンまで増やす予定だが、それでも1カ月に処理できる量は約7250トン(1週間当たり約1812トン)にとどまる。処理しきれない可燃ごみは2月7日から、宇都宮市下横倉町にある最終処分場「エコパーク下横倉」に仮置きしており、2月9日までに約340トンが搬入された[10]。2月18日までに、宇都宮市、鹿沼市、壬生町の民間施設と、鹿沼市の公共ごみ処理施設「環境クリーンセンター」と真岡市に位置する芳賀地区広域行政事務組合の公共ごみ処理施設「芳賀地区エコステーション」で[11]委託処理をはじめ、1週間あたりの処理量は2650トンになっている[5]。
ごみ半減要請と市民生活への影響
[編集]委託処理をしてもクリーンパーク茂原で処理していた分のごみを処理しきれず、これまでのペースでごみ排出が続けば、焼却できない可燃ごみが増え続け、ごみ回収にも影響が出る恐れがあるため、2月9日、宇都宮市は市長の佐藤栄一名義で市民や市内事業者に対しごみ排出量の削減を求めた。内容は、宇都宮市のごみ焼却処理能力の約7割が失われる非常事態であるとし、生ごみなどを除く衛生上影響のないごみをできるだけ家庭や事業所に貯め置きごみ出しを極力控えること、生ごみの水分を減らすこと、資源物の分別を徹底すること、食品ロスの削減などを行い、ごみの排出量の5割削減を求めるものになっている[3][10][12]。
ごみ半減を達成するため、宇都宮市では可燃ごみに多く含まれる生ごみの水分量を減らすことを目的に、生ごみ処理機の購入補助を拡充する対応を取った[13]。
しかし、ごみ削減を呼びかけてもごみはほとんど減っておらず、処理が追い付かない状況が続いている。また、ごみ収集車が市外までごみを運搬するようになったため、収集に通常以上の時間がかかるようになっており、一部地域では収集に遅れが出るなど、市民生活への影響が拡大し続けている[5]。
2月21日から2月27日までの1週間で、削減できたごみは前年同週と比較して9%減にとどまっており、ごみの委託処理先を栃木県内のみならず埼玉県、千葉県まで拡大し外部施設含め8か所でごみ処理を行っているが、それでもごみを処理しきれず、27日時点で市内の最終処分場には1392トンものごみが仮置かれている状態で、ごみが急増する3~4月の引っ越しシーズンを前に市は市民への周知を強化する方針である[14]。
電力供給への影響
[編集]クリーンパーク茂原でのバイオマス発電を主要な電力調達元とする小売電気事業者の宇都宮ライトパワーは、この火災により電力調達元を失い、東京ガスなどから電力を買い取って供給せざるを得なくなった[15]。宇都宮ライトパワーが電力供給を開始してわずか1か月後の出来事であり、同社にとって出鼻をくじかれることとなった[15]。
出典
[編集]- ^ a b “警報から通報まで50分 ごみ施設火災で問われる初動、危機管理”. 下野新聞SOON (下野新聞社). (2022年2月10日). オリジナルの2022年2月10日時点におけるアーカイブ。 2022年2月16日閲覧。
- ^ a b c d “宇都宮市のごみ処理施設火災、復旧に半年以上”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞). (2022年2月10日). オリジナルの2022年2月10日時点におけるアーカイブ。 2022年2月16日閲覧。
- ^ a b c d “ごみ焼却施設で火災、処理能力7割喪失の「非常事態」…市長がごみ排出削減を呼びかけ”. 読売新聞オンライン (読売新聞社). (2022年2月11日). オリジナルの2022年2月11日時点におけるアーカイブ。 2022年2月16日閲覧。
- ^ “ごみ施設鎮火 復旧見通せず 宇都宮市、搬入先打診”. 下野新聞SOON (下野新聞社). (2022年2月2日). オリジナルの2022年2月2日時点におけるアーカイブ。 2022年2月16日閲覧。
- ^ a b c “ごみ処理施設 火災で可燃ごみ受け入れ半年以上できない見通し”. NHK NEWS WEB (NHK宇都宮放送局). (2022年2月18日). オリジナルの2022年2月18日時点におけるアーカイブ。 2022年2月18日閲覧。
- ^ a b “出火原因突き止められず クリーンパーク茂原火災事故 再発防止へ最新機器 宇都宮”. 下野新聞 (2022年9月6日). 2022年9月10日閲覧。
- ^ a b “対策委、報告書提出 ごみ処理場火災 原因は「不明」 宇都宮/栃木”. 毎日新聞 (2022年9月6日). 2022年9月10日閲覧。
- ^ a b “宇都宮市のごみ処理施設火災で再発防止策盛り込んだ報告書”. NHK NEWS WEB. 日本放送協会 (2022年9月5日). 2022年9月10日閲覧。
- ^ “クリーンパーク茂原でのごみの受入れ再開について”. 宇都宮市環境部 (2022年11月10日). 2022年11月19日閲覧。
- ^ a b “宇都宮市がごみ出し5割減要請 施設火災で処理能力7割失う”. 下野新聞SOON (下野新聞社). (2022年2月10日). オリジナルの2022年2月16日時点におけるアーカイブ。 2022年2月16日閲覧。
- ^ “宇都宮市のごみ、近隣5カ所で処理開始 焼却施設火災で”. 下野新聞 (2022年2月17日). 2022年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月23日閲覧。
- ^ “ごみ排出の削減についてのお願い”. 宇都宮市環境部. 2022年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月16日閲覧。
- ^ “生ごみ処理機 補助拡充 宇都宮市、クリーンパーク茂原火災受け”. 下野新聞 (2022年2月23日). 2022年2月24日閲覧。
- ^ “未処理ごみ 1400トンに 宇都宮・焼却施設火災から1カ月”. 下野新聞SOON (下野新聞社). (2022年3月3日). オリジナルの2022年3月4日時点におけるアーカイブ。 2022年3月4日閲覧。
- ^ a b “ごみ施設火災で発電ストップ 宇都宮の地域新電力会社 他社から買い取り供給”. 下野新聞 (2022年2月17日). 2022年2月23日閲覧。