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クラウドジャスティス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クラウドジャスティス
CrowdJustice
URL www.crowdjustice.com
タイプ クラウドファンディング
設立者 ジュリア・サラスキー (Julia Salasky)
開始 2014年 (10年前) (2014)

クラウドジャスティス英語: CrowdJustice)は、法制度を利用しやすくすることを目的とするイギリスクラウドファンディングプラットフォームである[1][2]。2017年にはアメリカ合衆国でも活動を開始した。

概要

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クラウドジャスティスは、個人、集団、または組織が訴訟事件に対して特別に資金を調達できるクラウドファンディングプラットフォームである。このプラットフォームでは、専門家チームがすべての案件を評価しており、正規の弁護士が関与し、寄付された資金のすべてが当該弁護士の顧客の信託口座に送金されることを確認している[2]。当初は、2014年にイギリスで始まったクラウドジャスティスであるが、2017年にはアメリカ合衆国に進出し、本社をロンドンからニューヨークに移転させた[3][4]

クラウドファンディングの形態として All-or-Nothing 式を導入しており、定められた目標金額に寄付額が達しなかった場合は、不成立となり支援者はお金を支払う必要がなくなる。2015年、クラウドジャスティスは自分たちの取り分は5%で、残りの95%からクレジットカード会社がさらに手数料を取る方式であると述べた[5][6]。2017年、アメリカ合衆国で事業を開始するために、ベンロック (Venrock) とファースト・ラウンド・キャピタル (First Round Capital) から開業資金として200万ドルを調達した[7]

注目を集めた裁判等

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イギリス

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草の根人権団体のジェンバ (Jengba) は2015年に1万ポンドを超える資金をクラウドジャスティスで調達し、翌年の共謀罪 (law of joint enterprise) に関する連合王国最高裁判所の裁判に介入した[8]。この裁判は、30年間にわたる共謀罪に関するイギリスの法理を変更という歴史的快挙となった[9]。また、本裁判は連合王国最高裁判所に持ち込まれた初めてのクラウドファンディング裁判にもなった。

イギリスのEU離脱に対する「市民の挑戦」キャンペーンは、4,918人から総額170,550ポンドを調達した[10][11]。資金提供を受けたこのキャンペーンは、2017年、連合王国最高裁判所に異議申し立てを行い、最終的な行動を起こすためには連合王国の法律が必要であることを裁判所に認めさせた[12][13]

利益団体のLibertyは、高等法院に調査権限法について異議を申し立てるための募金活動を開始し、一週間で53,000ポンド以上を調達した[14]。2018年4月、高等法院は、この異議申し立てについての判決を発表し、欧州連合法に適合しないと判断した法律の中核部分を6か月という短い間ではあるものの、政府に改正させることを認めさせた[15]

2018年1月、女性司法センター (Centre for Women's Justice) は、強姦や性的暴行を受けた2人の女性のために、この強姦や性的暴行を加えた男の仮釈放決定について、仮釈放委員会 (Parole Board) と司法大臣英語版に異議を申し立てるために、クラウドジャスティスでクラウドファンディングを行った[16][17]。2018年11月までに、仮釈放委員会は最初の決定を覆し、委員長のニック・ハードウィック (Nick Hardwick) が辞任するまでに至った[18]

アメリカ合衆国

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アメリカ合衆国でクラウドジャスティスがサービスを開始したその週に、司法支援裁判センター (Legal Aid Justice Center, LAJC) は、2017年、ドナルド・トランプ大統領が発令した大統領令13769号によってワシントン・ダレス国際空港に閉じ込められた2人のグリーンカード (green card) 所持者のためにキャンペーンを開始した[12]

関連項目

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出典

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  1. ^ Ford (August 9, 2015). “Crowdfunding sites aim to make the law accessible to all”. Financial Times. August 9, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。June 12, 2019閲覧。
  2. ^ a b Popper (2017年5月30日). “CrowdJustice, a Kickstarter for court cases, expands from the UK to the US”. The Verge. 2019年6月12日閲覧。
  3. ^ Munford. “After Disrupting Brexit, Crowdfunding And CrowdJustice Come To The US” (英語). Forbes. 2019年6月12日閲覧。
  4. ^ Ross, Janell (February 11, 2017). “Want to help fight legal battles? There’s a crowdfunding site for that.”. The Washington Post. https://www.washingtonpost.com/national/want-to-help-fight-legal-battles-theres-a-crowdfunding-site-for-that/2017/02/10/a7fcb7f2-ec90-11e6-b7e8-df81bd6c4c30_story.html June 12, 2019閲覧。 
  5. ^ Rozenberg, Joshua (2015年5月25日). “Is crowdfunded litigation the future of justice? | Joshua Rozenberg” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/commentisfree/2015/may/25/crowdfunded-litigation-future-justice-crowdjustice 2019年6月12日閲覧。 
  6. ^ Kozlowska. “Crowdfunding for public-interest lawsuits has come to the US, just in time for Trump’s presidency” (英語). Quartz. 2019年6月18日閲覧。
  7. ^ CrowdJustice raises $2 million to crowdfund social justice” (英語). VentureBeat (2017年5月30日). 2019年6月12日閲覧。
  8. ^ O'Hara, Mary (2015年10月21日). “Lawyer’s crowdsourcing site aims to help people have their day in court | Mary O’Hara” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/society/2015/oct/21/lawyer-crowdsourcing-site-court-legal-support 2019年6月12日閲覧。 
  9. ^ Casciani, Dominic (2016年2月18日). “A moment of genuine legal history” (英語). BBC News. https://www.bbc.com/news/uk-35603309 2019年6月12日閲覧。 
  10. ^ The Supreme Court Brexit case only happened because of crowdfunding – and you won't have heard of the people who did it” (英語). The Independent (2016年12月6日). 2019年6月12日閲覧。
  11. ^ UK. “People have already crowdfunded over £75,000 to defend the Article 50 ruling in the Supreme Court”. Business Insider. 2019年6月12日閲覧。
  12. ^ a b Lithwick (2017年10月23日). “A New Way to Support Legal Challenges in the Trump Era: Crowdfunding Lawyers” (英語). Slate Magazine. 2019年6月12日閲覧。
  13. ^ Rathi. “Britain’s Supreme Court has made leaving the EU easier and keeping the UK together harder” (英語). Quartz. 2019年6月12日閲覧。
  14. ^ “Surveillance powers legal challenge launched” (英語). BBC News. (2017年1月10日). https://www.bbc.com/news/uk-38565083 2019年6月13日閲覧。 
  15. ^ Cobain, Ian (2018年4月27日). “UK has six months to rewrite snooper's charter, high court rules” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/technology/2018/apr/27/snoopers-charter-investigatory-powers-act-rewrite-high-court-rules 2019年6月13日閲覧。 
  16. ^ Update on CrowdJustice: 'Why was John Worboys granted parole? His victims need answers.'” (英語). Centre for Women's Justice. 2019年6月13日閲覧。
  17. ^ “Crowdfunding is opening up Britain’s justice system”. The Economist. (2018年11月24日). ISSN 0013-0613. https://www.economist.com/britain/2018/11/24/crowdfunding-is-opening-up-britains-justice-system 2019年6月18日閲覧。 
  18. ^ Siddique, Haroon (2018年11月19日). “John Worboys must stay in prison, says Parole Board” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/uk-news/2018/nov/19/john-worboys-must-stay-in-prison-says-parole-board 2019年6月13日閲覧。 

外部リンク

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