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クラウジウス・モソッティの関係式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

クラウジウス・モソッティの関係式(クラウジウス・モソッティのかんけいしき、: Clausius–Mossotti relation)とは、微視的分子)スケールの物理量である分極率αと、巨視的スケールの物理量である誘電率εrとの間に成り立つ関係式である。ルドルフ・クラウジウスおよびオッタヴィアーノ=ファブリツィオ・モソッティ英語版イタリア語版ドイツ語版にちなむ。クラウジウス・モソッティの関係式は、以下のように書き下される[1][2]

ここで、以下の物理量および物理定数を用いた。

この関係式は、永久双極子モーメントをもたず、双極子モーメントが誘電分極モーメントのみで構成される非極性物質について成り立つ。永久双極子を持つ材料の場合、デバイの式ドイツ語版が用いられる。

導出

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巨視的な誘電分極モーメントPは、すべての誘起双極子モーメントの和を体積で割った値(すなわち双極子密度)である。

ここでNは粒子の数密度αは分極率、Elocは粒子の位置における局所電場強度である。

巨視的な物理量である電気感受率および誘電率と誘電分極モーメントとの間には以下のような関係式が成り立つ。

これらの式をつなげて、次の式が得られる。

ここからさらに記述を進めるためには、局所電場強度を記述する必要がある。

希薄気体においては、誘導双極子モーメントは互いに影響を与えず、局所電場強度は印加された外場と等しくなる Eloc = E 。したがって次の式が得られる。

密度の高い誘電体においては、近傍の誘導双極子モーメントの作る電界の影響も受けるため、局所電場強度は印加された外場と等しくなくなる。

:外部から印加される電界+誘電体表面に発生する分極電界(脱電電界)、
:念頭にある分子周りの架空球面上の分極電荷が作る電場(ローレンツの局所電場

したがって、局所電場密度は以下の式にしたがう。

これを前述の式に代入して、以下を得る。

移項して整理すると、下式を得る。

εrについて解けば以下の式を得る。

ここで、数密度Nを巨視的な物理量、密度ρモル質量アボガドロ定数で表わすと以下のように書ける。

これを上式に代入すると、クラウジウス・モソッティの関係式が得られる。

εrについて解けば以下の式を得る。

ローレンツ・ローレンツ方程式

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ローレンツ・ローレンツの式とは、クラウジウス・モソッティの関係式にεr = n2を代入し、誘電率の代わりに屈折率と分極率との関係を表わした下式をいう。

クラウジウス・モソッティの方程式と同様、この方程式は均一な固体および液体に対して成り立つ。

大抵の気体についてはがなりたつことから、以下がいえる。

また、を用いれば次式を得る。

この式は、常圧下の気体について適用できる。また、モル屈折率Aを用いれば気体の屈折率nは以下のように書ける。

ここで、p は気体の圧力、Rは気体定数、T絶対温度であり、気体の状態方程式からNNA = p/RTを用いた。また、cモル濃度とすると、N = c⋅NAが成り立つことも用いている。消衰係数kを取り入れた複素屈折率m = n + ikについては以下の式が成り立つ。

したがって、虚数部、すなわち消衰係数は、モル濃度および吸光度に比例する。

したがって、ランベルト・ベールの法則をローレンツ・ローレンツの式から導出することができる[3]。同様に、希薄溶液の屈折率の変化も、モル濃度におおよそ比例する[4]

参考文献

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  • Richard P. Feynman, Robert B. Leighton, Matthew Sands (2005). Lectures on Physics, Volume II (Definitive Edition ed.). Addison-Wesley. ISBN 0-8053-9047-2 

出典

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  1. ^ Rysselberghe, P. V. (January 1932). “Remarks concerning the Clausius–Mossotti Law”. J. Phys. Chem. 36 (4): 1152–1155. doi:10.1021/j150334a007. 
  2. ^ Atkins, Peter; de Paula, Julio (2010). “Chapter 17”. Atkins' Physical Chemistry. Oxford University Press. pp. 622–629. ISBN 978-0-19-954337-3 
  3. ^ Thomas Günter Mayerhöfer, Jürgen Popp (2020-05-12). Beyond Beer’s law: Revisiting the Lorentz-Lorenz equation. n/a. doi:10.1002/cphc.202000301. ISSN 1439-4235 
  4. ^ Thomas G. Mayerhöfer, Alicja Dabrowska, Andreas Schwaighofer, Bernhard Lendl, Jürgen Popp (2020-04-20). Beyond Beer's Law: Why the Index of Refraction Depends (Almost) Linearly on Concentration. 21. pp. 707–711. doi:10.1002/cphc.202000018. ISSN 1439-4235