クライスラー・ビルディング
クライスラー・ビルディング | |
---|---|
クライスラー・ビルディングの全景 | |
高さ記録 | |
世界一高い建築物 (1930年5月27日から1931年4月30日まで)[I] | |
先代 | 40ウォールストリート |
次代 | エンパイア・ステート・ビルディング |
概要 | |
用途 | オフィスビル |
建築様式 | アール・デコ |
所在地 |
アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区レキシントン街405号 |
着工 | 1928年 |
完成 | 1930年 |
所有者 |
Abu Dhabi Investment Council (90パーセント) Tishman Speyer (10パーセント) |
高さ | |
最頂部 | 320メートル |
屋上 | 282メートル |
最上階 | 274メートル |
技術的詳細 | |
階数 | 77階[1] |
床面積 | 11万1000平方メートル |
エレベーター数 | 32 |
設計・建設 | |
建築家 | William Van Alen |
クライスラー・ビルディング | |
ニューヨーク市指定歴史建造物 #0992, 0996
| |
Location in New York City | |
座標 | 座標: 北緯40度45分6.12秒 西経73度58分31.08秒 / 北緯40.7517000度 西経73.9753000度 |
建築様式 | アール・デコ |
NRHP登録番号 | 76001237 |
NYCL登録番号 | 0992, 0996 |
指定・解除日 | |
NRHP指定日 | 1976年[4] |
NHL指定日 | 1976年12月8日[5] |
NYCL指定日: | 1978年9月12日[2][3] |
脚注 | |
[6] |
クライスラー・ビルディング(Chrysler Building)は、アメリカのニューヨーク市マンハッタン区タートル・ベイにある超高層ビル。その優美な姿はニューヨークの摩天楼のなかでも特徴的なものであり、アメリカ合衆国のシンボルの一つである。
概要
[編集]クライスラー・ビルディングはレキシントン・アベニューと東42丁目の角(グランド・セントラル駅のすぐ東)に建つ。ウィリアム・ヴァン・アレン (en) がウォルター・クライスラーによる自動車メーカー・クライスラー本社ビル建設プロジェクトのために設計した[7]。頂部・壁面・内装にアール・デコの装飾が施されている。もともとは自動車メーカーのために建てられたことから、各所に自動車をモチーフとした装飾が施されている。完成した1930年から1950年代半ばまでクライスラー社の本社が所在していたが、建設費はすべてウォルター・クライスラー個人の資産で支払われた[8]。
クライスラーの手から離れた後、ドイツの投資会社とアメリカの不動産会社、保険会社が所有した。2008年7月にアラブ首長国連邦のファンドが所有権の75パーセントを買収したが、 2019年にはオーストリアの不動産業者であるシグナ・ホールディングスとニューヨークの不動産開発業者RFRホールディングがジョイントベンチャーで買収した。さらに2023年11月にはシグナ・ホールディングスが破産したため、所有権はさらに移転することが見込まれている[9]。
2007年度にアメリカ建築家協会より発表されたAmerica's Favorite Architecture(アメリカの人気建築物)では、第9位に選ばれている。このビルはアール・デコ建築の古典的代表作とみなされている。 18-8ステンレス鋼を最初に大量使用した建築物でもある。
歴史
[編集]クライスラー・ビルディングは高さ世界一の超高層ビルを目指して1928年9月19日に着工した。当時、ニューヨーク市内では高さ世界一を狙う超高層ビルの建設競争ブームの真っただ中であった[10][11]。この建設は特にウォール街のウォールタワーと世界一の高さを競って、当時としては猛烈なピッチで進められた。平均して1週間で4階分の高さを増していくというペースにもかかわらず、この建設工事中に死亡した作業員はいなかった[12]。当初の計画では246メートルであったが[12][13]、ライバルのウォールタワーは高さ260メートルの計画で建設を進めていた。そこで、世界一を目指すウォルター・クライスラーの意向を受けて282メートルへと設計変更された[12]。しかしウォールタワーはさらに急遽計画を変更し、1930年4月に高さ283メートルで完成した。この時点ではいまだ竣工前の282メートルのクライスラー・ビルディングをわずかに上回り世界一のビルとなった。ところがウォールタワーの直前の設計変更を聞いていたクライスラー・ビルディングの設計者ウィリアム・ヴァン・アレンは、ウォルター・クライスラーの許可を得て、ビルの上に追加する38メートルの尖塔の製造を秘密裏に開始していた。この尖塔は4つのパーツに分けてビル内部で製造され、1929年10月23日に尖塔の底辺部分が一度ビルの上のドームに取り付けられ、すぐさまビルの66階の内部に戻された[14]。
1930年5月20日に38メートルの尖塔を追加して319メートルとなり、クライスラー・ビルディングは完成した。5月27日にこのビルは一般に開業した。こうしてウォールタワーを上回り、世界一高いビルの座につくことができた。しかし、翌年の1931年にエンパイア・ステート・ビルディングの完成により、世界一の座を明け渡すことになる。それでもアメリカの1920年代の繁栄の歴史を物語るニューヨークの摩天楼の中の傑作である(なおクライスラー・ビルディングは世界一の座こそ僅か1年で明け渡したが、世界2位の座はシカゴにジョン・ハンコック・センターが出来るまで実に38年にもわたって維持している)。また尖塔の追加によりエッフェル塔の312.3メートルも抜き、ビル以外の建築物も含めて世界で一番の高さとなった(エッフェル塔は1957年のアンテナの追加により、現在はクライスラー・ビルディングよりも高い)。
ギャラリー
[編集]-
北側の三角窓からの景色
-
夜景
-
最頂部
-
空にそびえるビル
-
エンパイアステートビルから見たクライスラー・ビルディング
-
東42丁目から見たクライスラー
-
内装
-
内装
関連項目
[編集]- 世界一高い建築物の変遷
- ニューヨーク市の高層ビル一覧
- ニューヨーク市の建築
- ウォルター・クライスラー - このビルを建設したクライスラーの創業者
登場する作品
- CSI:NY
- スパイダーマン (アニメ) - キングピン(当該作のNYの暗黒街のボス)の拠点として
- パラサイト・イヴ (ゲーム) - EXダンジョンとして
脚注
[編集]- ^ Nash, Eric Peter; McGrath, Norman (1999). Manhattan Skyscrapers. Princeton Architectural Press. p. 63. ISBN 9781568981819
- ^ “Chrysler Building”. ニューヨーク市歴史建造物保存委員会. 2020年8月14日閲覧。
- ^ “Chrysler Building, Ground Floor Interior”. ニューヨーク市歴史建造物保存委員会. 2020年8月14日閲覧。
- ^ National Park Service (2 November 2013). "National Register Information System – Chrysler Building (#76001237)". National Register of Historic Places. National Park Service. 2020年8月14日閲覧。
- ^ “Chrysler Building”. National Historic Landmark summary listing. National Park Service. 2015年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月15日閲覧。
- ^ クライスラー・ビルディング - Emporis
- ^ 新建築社『NHK 夢の美術館 世界の名建築100選』新建築社、2008年、222頁。ISBN 978-4-7869-0219-2。
- ^ Pierpont, Claudia Roth (November 18, 2002). “The Silver Spire: How two men's dreams changed the skyline of New York”. The New Yorker October 23, 2011閲覧。
- ^ “経営破綻のシグナ、NYクライスラービル売却で交渉”. ロイター (2023年12月20日). 2024年2月5日閲覧。
- ^ Emporis GmbH. “Emporis Data "...a celebrated three-way race to become the tallest building in the world."”. Emporis.com. September 27, 2010閲覧。
- ^ “The Manhattan Company – Skyscraper.org; "...'race' to erect the tallest tower in the world."”. Skyscraper.org. September 27, 2010閲覧。
- ^ a b c University of Wisconsin–Madison; School of Engineering – The Chrysler Building[リンク切れ]
- ^ Emporis GmbH. “– Chrysler Building”. Emporis.com. September 27, 2010閲覧。
- ^ Stravitz 2002, Pages xiii (Paragraph 10) and 161. Image caption no.39
外部リンク
[編集]記録 | ||
---|---|---|
先代 エッフェル塔 |
世界一高い建築物 1930 – 1931年 |
次代 エンパイアステートビル |
先代 40 ウォール・ストリート |
世界一高いビル 1930 – 1931年 | |
アメリカ一高いビル 1930 – 1931年 |