コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

クォク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

(クォク、ほう[1])は、漢姓の一つ。ただし、中国国内(台湾含む)で漢字で表記される姓氏を記録にあるかぎり漢民族に限らず網羅した近年の『中国姓氏大辞典』(2010)には収録されておらず、代わって、同様に少数民族の姓氏を網羅した『中国少数民族姓氏』(2011)の「朝鮮族」の章(同書 p.399-443)に“fèng”の音[1]で収録されている[2]

中国の姓

[編集]
各種表記
繁体字
簡体字
拼音 fèng[1]
注音符号 ㄈㄥˋ[1]
ラテン字 fêng4[1]
発音: フォン[1]
テンプレートを表示

前述のとおり中国ではまずもって見られない姓氏であり、中国の朝鮮族においてはこの姓がみられるが、「ほとんど目にしない」と記載されている[2]

朝鮮の姓

[編集]
各種表記
ハングル
漢字
発音 クォ
日本語読み: (ほう)[1]
MR式
2000年式
Kwŏk
Gweok
テンプレートを表示

(クォク、: )は、朝鮮人の姓の一つである。非常に人口が少なく文字も特殊な珍しい姓氏であり、1977年10月13日には光州市(現・光州広域市)の射撃大会に出場した選手らにこの苗字を持つ人物が含まれておりその希少性が新聞記事となった[3]

清州鴌氏の始祖は、鴌時永궉시영クォ・シヨン)であるが、他の鴌氏の貫郷と始祖は現在としては正確にはわからない[4]。鴌時永は、壬申倭乱の時、の援軍として入国してきた[4]。倭軍との戦闘で副将として功績を上げ、忠誠公の諡号を受けた[4]

鴌氏は人口数に比して門中の歴史が古い[4]朝鮮時代宣祖仁祖代の学者である李睟光朝鮮語版の『芝峰類説朝鮮語版』には「淳昌に鴌氏が暮らしているが、来歴はわからず、あるいは胡姓だともいう」と記録されており、朝鮮後期、正祖の時、李徳懋が物した『盎葉記』[5]には、「善山に鴌氏村があるが、ソンビが多い」と明記している[4]。これらの記述から、朝鮮王朝の宣祖代以前より鴌氏が朝鮮に居住していたことが確実である[6][2]

1930年国勢調査の際、京畿道龍仁忠清南道保寧青陽礼山天安などの地に12世帯があった[4]

鴌氏宗親会鴌英秀総務は「確認された宗親が300名にも達しえず、子孫に恵まれないようだ」と言いつつ、「4-5代続いての1人息子もありふれている」と言った[7]

著名な人物

[編集]
  • 鴌彩伊 - 清州鴌氏19代孫[7]。大韓民国国家代表として、2004年世界ローラースピードスケーティング選手権大会2冠王[4]

氏族

[編集]
氏族(地域) 創始者 人数(2015年)[8]
保寧鴌氏 45
昌寧鴌氏 17
清州鴌氏 壬申倭乱の時、の援軍として入国した鴌時永 119

人口と割合

[編集]
年度 人口 世帯数 順位 割合(%)
1930年 12世帯
1960年 62人 258姓中216位
1975年 249姓中223位
1985年 243人 50世帯 285姓中201位
2000年 248人 74世帯 286姓中212位 0.0005393%
2015年 183人[8]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g 」の字は、「」という字の“古字”(異体字)であるため、仮にこのが与えられているにすぎない(杜若甫, 『中国少数民族姓氏』 (2011), p.410)。また、「」(クォ)という発音は朝鮮漢字音の音韻体系には存在しない音節を構成しており、固有語の音声から形成された朝鮮固有の音節による姓氏である可能性が高い。
  2. ^ a b c 杜若甫, 『中国少数民族姓氏』 (2011), p.410
  3. ^ 稀姓(희성) □씨도出戰(출전)”. NAVER Newslibrary. 경향신문 (1977年10月13日). 2022年11月15日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 金鎮宇 『韓国人の歴史』(2010), p.58-59
  5. ^ 朝鮮の姓氏が468姓氏と記録してある(金鎮宇 『韓国人の歴史』(2010), p.58)。
  6. ^ 『韓国人の姓氏と族譜』(2008), p.755
  7. ^ a b 박종진 기자 (パ・チョンジン記者) (2006年1月24日). “[커버스토리] "姓氏를 말하면 꼭 다시 물어요" 빙·뇌·포·범·망절씨 등 귀화성씨 사람들, 90%가 중국계” [[カバーストーリー]「姓氏を語ればきっとまた熱くなります」/氷・雷・包・凡・網切氏など帰化姓氏の人々、90%が中国系] (朝鮮語). 주간한국 (週刊韓国). (주) 한국미디어네트워크 ((株)韓国メディアネットワーク). 2019年8月22日閲覧。
  8. ^ a b KOSIS”. kosis.kr. 2022年11月16日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 朝鮮総督府 編(日本語)『朝鮮の姓』(復刻版)第一書房 (朝鮮総督府)、東京 (京城府)、1977年。 
  • 「새역사」역사편찬회 編(朝鮮語)『한구인 성씨 족보(韓国人の姓氏と族譜)』(第3版)図書出版オンブックス(도서출판 온북스 (onbooks))ソウル、2008年。ISBN 8995435135 
  • (朝鮮語)『한구인 역사(韓国人の歴史)』(第3刷)図書出版 春秋筆法(도서출판 춘추필법)大田、2010年。ISBN 9788996301202 
  • 袁義達; 邱家儒 (2010) (中国語). 中国姓氏大辞典 (1st ed.). 南昌市: 江西人民出版社. ISBN 978-7-210-04407-9 
  • 朝鲜族」(中国語)『中国少数民族姓氏民族出版社北京、2011年、399-443頁。 
  • ” [鴌] (朝鮮語). NAVER 지식백과 (NAVER 知識百科). 두산백과 (斗山百科 / do͝opedia). ネイバー. 2019年8月27日閲覧。

関連項目

[編集]