ギレーヌ・マクスウェル
ギレーヌ・マクスウェル | |
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2007年 | |
生誕 |
1961年12月25日(62歳) フランス、メゾン=ラフィット |
住居 | ロンドン |
市民権 |
イギリス フランス アメリカ合衆国 |
教育 | ベリオール・カレッジ (オックスフォード大学) |
職業 | ソーシャライト、実業家 |
親 |
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ギレーヌ・ノエル・マリオン・マクスウェル(Ghislaine Noelle Marion Maxwell、1961年12月25日[1] - )は、イギリスのソーシャライトで、ロバート・マクスウェルの末子。名(Ghislaine)について、米国内での実際の発音に近い表記は、ジーレインまたはジーレーン([ˌɡiːˈleɪn, -ˈlɛn])とされ「ヌ」とは発音しない[2]。1991年に父親が死去してからアメリカ合衆国へ移住し、投資家で有罪判決を受けた性犯罪者のジェフリー・エプスタインと懇意になった[3] 。
ギレーヌは、2019年にエプスタインが勾留中に自殺した後に行方不明となっていたが、2020年7月2日、性犯罪目的の未成年者誘拐・斡旋共謀などの容疑で逃走先のニューハンプシャー州で連邦捜査局に逮捕された[4]。2022年6月28日、ニューヨーク連邦地裁は、ギレーヌに対し禁錮20年を言い渡した[5][6]。
ギレーヌは父ロバート・マクスウェルが最も目を掛けていた子供であったと見なされており、異常に親密な父娘関係であったとされる[3][7][8]。
経歴
[編集]後のメディア王であるロバート・マクスウェルとフランス人のジャーナリストであるエリザベス・メイナードとの間に9人兄弟の末子としてフランスで生まれる。幼少期はロバートが出版した科学雑誌であるペルガモン・プレスの社屋兼住居で育った。
ロバートは上記のとおり彼女を殊の外可愛がった[3][9]。また、彼女の聡明さにいち早く気づき、(ロバート自身が科学を重要視していたこともあり)幼少期からコンピュータのプログラミングを学習させるなど英才教育を施し、彼女もそれに応えてオックスフォード大学のベリオールカレッジに進学した。しかしロバートは大学入学後も彼女がボーイフレンドを家に連れてくることを禁止するなど支配した[10][11]。
1980年代にはギレーヌはイギリスの社交界で著名な人物となり、父がオーナーであるオックスフォード・ユナイテッドFCのディレクターを勤めたり、「ザ・ヨーロピアン」の広報を担当するようになっていった。
また、父は娘の名を冠したスーパーヨット「レディ・ギレーヌ(Lady Ghislaine)」を新造し仕事場として提供したり[12]、ニューヨークに新しい会社を立ち上げて彼女をサポートしたがあまり利益は出なかったようである。
1990年代にはアメリカに移住してニューヨークの不動産会社で働き、イギリスと同様に社交界の有名人となっていった。
ジェフリー・エプスタインとの出会い
[編集]ギレーヌがジェフリー・エプスタインと初めて会った時期についてはメディアにより証言が異なっている。エプスタインのビジネスパートナーであったスティーブン・ホッフェンバーグによると、ロバート・マクスウェルは1980年代後半に娘をエプスタインに紹介したという。一方「ザ・タイムズ」はギレーヌがエプスタインと出会ったのは1990年代初頭のニューヨークのパーティーだったと報じている。
ギレーヌは1990年代前半から2019年にエプスタインが亡くなるまで、25年以上にわたって密接な関係を保ち続けた。
エプスタイン邸の家事を担当する使用人の2009年の宣誓証書によると、1992年頃からエプスタインはギレーヌを「メインのガールフレンド」と呼び(エプスタインは終生独身であった)、彼のスタッフの雇用、解雇、監督も行っていたと証言した。
また、ギレーヌはエプスタインのスタッフからは「(エプスタイン家の)女主人」と呼ばれ、「攻撃的なアシスタント」とも呼ばれていたという。
2003年の「ヴァニティ・フェア」に掲載されたエプスタインのプロフィールの中で、編集者のヴィッキー・ウォードはエプスタインがギレーヌを「私の親友」と呼んでいたと語っている。ウォードはまた、彼女が「エプスタインの人生の多くの部分を整理している」ようだとも述べており、ヘリコプターのパイロットとしてエプスタインが所有するリトル・セント・ジェームズ島まで運ぶこともあったという。
「ポリティコ」によると、ギレーヌとエプスタインはドナルド・トランプやビル・クリントン、アラン・ダーショウィッツ、イギリス王室のアンドルー王子など政界、学界、実業界、法曹界の著名人と親交があったと報じている。
特にアンドルー王子とギレーヌは学生時代からの親交があり、2000年の10月にニューヨークのナイトクラブで開かれた「売春婦とポン引き」をテーマにしたハロウィンパーティーに王子をエスコートしたことでも知られている[13] 。
2008年、エプスタインは未成年者に対する売春の勧誘により有罪判決を受け、18ヶ月の実刑判決のうち13ヶ月を服役した。エプスタインの釈放後もギレーヌは社交場に姿を表したものの、彼女とエプスタインが一緒にいる姿は公の場では見られなくなり、2015年の後半になるとギレーヌも社交場に姿を見せることはほとんどなくなっていった。
相次ぐ民事訴訟とエプスタインの死
[編集]2015年1月にはバージニア・ロバーツ・ジュフリーより民事訴訟を起こされた。宣誓証書によると「1999年にギレーヌとフロリダのパームビーチにあるマー・ア・ラゴ(ドナルド・トランプの別荘)で知り合った16才のジュフリーはエプスタインに性的奉仕をするよう仕向けられた」と主張した。また、ギレーヌとエプスタインはニューヨーク、ニューメキシコ、パームビーチ、リトル・セント・ジェームズ島にあるエプスタインの自宅で開催されたセックスパーティーに自分を含む複数の未成年の少女を勧誘し、参加させたと主張した。
ギレーヌはジュフリーの主張を激しく否定したが、最終的には和解に応じた。
その後もギレーヌとエプスタインから性的虐待を受けたとする被害者から民事訴訟を相次いで起こされた。
2019年7月6日、エプスタインはニュージャージー州のテターボロ空港で性的人身売買とその謀議の容疑により逮捕された。
2019年8月10日、性的人身売買等の罪で逮捕されていたエプスタインがニューヨークのメトロポリタン矯正センターで自殺した。
逮捕
[編集]2019年12月27日、ロイターはエプスタインの性的人身売買を斡旋したとしてFBIの捜査を受けている人物にギレーヌが含まれていると報じた。
2020年7月2日、ギレーヌはFBIにより未成年の少女に対する性的人身売買の容疑で逮捕された。検察当局は彼女を未成年への勧誘、未成年に対する性的人身売買、偽証等6件の連邦犯罪で起訴した。起訴状によると、匿名の被害者3人のうちの1人が14才であることを知りながら1994年から1997年にかけて未成年の少女に対する性的虐待を幇助し、促進し、寄与したとしている。
2020年7月14日、ギレーヌはマンハッタンの裁判所にビデオ通話で出廷し、無罪を主張した。
2020年12月18日、ギレーヌの弁護士は保釈を要求し、彼女が裁判の開始まで24時間監視されながらニューヨークの友人宅に住むことを提案した。夫である海運投資会社のCEOであるスコット・ボルガーソンは彼女の今後の出廷を保証するために2,200万ドルの担保を提供したが、裁判所は2020年12月28日に保釈要求を却下した。
2021年3月29日、検察当局はギレーヌが2001年から2004年の間、パームビーチのエプスタイン邸で14歳の4人目の少女に対してエプスタインとの性行為を斡旋したとして、未成年に対する性的人身売買と共謀罪及び2件の偽証罪を新たに追加して起訴した。
2021年4月28日、ギレーヌはニューヨークの拘置施設に勾留されたが、弁護士は500万ドルの保釈補償金と引き換えに裁判が開始されるまで監視付きの自宅待機を裁判所に求めた。
しかし彼女の財務状況が全く透明性を欠いており、イギリス及びフランスの国籍を取得している彼女がフランスに逃亡した場合、フランスは外国からの身柄引渡し要請に応じないため、裁判が成立しなくなる危険性があるとして裁判所は保釈要求を却下した。
裁判の開始~判決
[編集]2021年4月、アリソン・ネイサン米連邦地裁判事はギレーヌの裁判について、性的人身売買と偽証罪の2つの別々の裁判を実施する決定を下した(偽証罪は後に検察当局が取り下げた)。
ネイサン判事はギレーヌの弁護団が2021年3月に追加された新たな容疑について裁判の準備に十分な時間を与えられていないという主張に同意し、裁判の開始を2021年11月29日に延期した。
2021年12月29日、ギレーヌは未成年者に対する性的人身売買、未成年者を犯罪的性行為に従事させる目的での派遣行為、重罪の共謀罪3件の最高65年の禁固刑の可能性がある5つの訴因で有罪判決を受けた[14]。
2022年6月28日、検察当局はギレーヌに対して30年から55年の刑期を求めたが、ネイサン判事は彼女に対し禁固20年、5年の監察下の釈放と75万ドルの罰金を言い渡した[15][14]。
2022年7月25日、ギレーヌはブルックリンのメトロポリタン矯正センターからタラハシーにある女性受刑者用の低セキュリティ連邦刑務所に移送された[16]。
参考文献
[編集]- ^ Haines, Joe (1988). Maxwell. London: Futura. pp. 434 et seq. ISBN 0-7088-4303-4
- ^ Bryant, Kenzie (2019年8月21日). “How to Pronounce "Ghislaine," as in Ghislaine Maxwell, America's Most Wanted Woman”. ヴァニティ・フェア. 2020年7月4日閲覧。
- ^ a b c Twohey, Megan; Bernstein, Jacob (2019年7月15日). “The 'Lady of the House' Who Was Long Entangled With Jeffrey Epstein”. The New York Times 2019年8月15日閲覧。
- ^ エプスタイン被告の元恋人を逮捕・起訴 少女虐待ほう助 AFP、2020年7月3日
- ^ “元交際相手に禁錮20年 米富豪の少女性的虐待事件”. 時事ドットコム. (2022年6月29日) 2022年6月29日閲覧。
- ^ “少女性的虐待の元大富豪エプスタインの共犯者「なぜ彼女はこんな犯罪に加担した?」”. 日刊サイゾー. (2022年3月12日) 2023年10月8日閲覧。
- ^ Davies, Caroline (2015年1月4日). “Court papers put daughter of Robert Maxwell at centre of ‘sex slave’ claims”. 2019年8月15日閲覧。
- ^ Schneier, Matthew (2019年7月15日). “Ghislaine Maxwell, The Socialite on Jeffrey Epstein's Arm”. New York. 2019年8月15日閲覧。
- ^ Davies, Caroline (4 January 2015). “Court papers put daughter of Robert Maxwell at centre of 'sex slave' claims”. The Guardian. オリジナルの19 July 2019時点におけるアーカイブ。 19 July 2019閲覧。
- ^ Willis, Tim (April 2000). “Tatler Archive: The return of the Maxwells, as Ghislaine is finally found”. Tatler. オリジナルの24 July 2020時点におけるアーカイブ。 14 July 2020閲覧。.
- ^ Bower, Tom (12 August 2019). “Ghislaine Maxwell, daughter of Robert Maxwell, fell under the spell of rich and domineering men”. The Times. オリジナルの12 August 2019時点におけるアーカイブ。 12 August 2019閲覧。
- ^ Bower, Tom (11 January 2015). “Out from Cap'n Bob's shadow and into a web of sex and royals”. London. オリジナルの15 October 2023時点におけるアーカイブ。 18 July 2019閲覧。
- ^ “'GOOD-TIMES GHI' How paedo Jeffrey Epstein’s ‘pimp’ Ghislaine Maxwell was nicknamed ‘The Shopper’ after splurging tycoon dad Robert’s millions”. The Sun. (2019年8月13日) 2023年10月15日閲覧。
- ^ a b “Ghislaine Maxwell Sentenced To 20 Years In Prison For Conspiring With Jeffrey Epstein To Sexually Abuse Minors”. Offices of the United States Attorneys Southern District of New York. (2022年6月28日) 2024年1月8日閲覧。
- ^ “ギレーヌ・マクスウェル被告に禁錮20年、米富豪の少女性的虐待事件”. CNN. (2022年6月30日) 2024年1月8日閲覧。
- ^ “Ghislaine Maxwell sent to 'low security' Tallahassee prison for role in Epstein sex-trafficking ring”. Tallahassee Democrat. (2022年7月25日) 2023年11月19日閲覧。