キキーモラ (リャードフ)
表示
『キキーモラ』(ロシア語: Кикимора)作品63はアナトーリ・リャードフが作曲した管弦楽曲。副題は『管弦楽のための民話』(Народное сказание)。1909年の作曲。演奏時間は約8分。
概要
[編集]作品番号が一つ前の『魔法にかけられた湖』(作品62)同様、未完に終わったオペラ『シンデレラ』(Золушка)のための楽想を用いて作曲された。標題はサーハロフが1849年に著した『ロシア民間説話集』から採られている。同じスラヴ神話を題材にした『バーバ・ヤガー』の続編とも言える作品。
初演
[編集]1909年12月12日にアレクサンドル・ジロティの指揮によりサンクトペテルブルクで初演された[1]。
編成
[編集]ピッコロ、フルート2、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、チェレスタ、木琴、弦五部[2]
構成
[編集]スコアに引用された標題は次のとおり。
- キキーモラは、岩山に住む魔法使いの許で育っている。おしゃべりな雄猫が、朝から晩までキキーモラのために子守歌を歌い、異国の物語を語っている。夕方から夜明けまで、キキーモラは水晶の揺り籠の中であやされる。
- 7年経って、キキーモラは大人になる。彼女はとても痩せていて真っ黒で、頭は指先程の大きさで、体は藁よりも細い。昼の間は足を鳴らし、大声をあげ、夕方になると口笛を吹き、舌を鳴らする。真夜中になると夜明けまで大麻を紡ぐ。全ての人間に対し悪意を抱いている。
曲は二部構成で、標題を忠実に追っている。
- アダージョ
- 曲は「岩山の魔法使いの住家」を表す低弦の響きで始まる。続いてコーラングレに民謡的な「おしゃべりな雄猫の子守歌」の旋律が現れる。これはオペラの中では、家の精が歌う子守歌として作曲されたもの。この旋律はピッコロ、オーボエで奏されるキキーモラの主題で中断され、冒頭の雰囲気に戻る。もう一度、子守歌、キキーモラの主題の順で演奏され、チェレスタで「水晶の揺り籠」が表現されて第一部を終える。
- プレスト
- 急速なスケルツォ。ヴァイオリンの細かな動きやピッコロ、木琴で落ち着かないキキーモラを表現する。最後はコントラバスのピッツィカートとピッコロの高音を対照させて曲を終わる。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 「最新名曲解説全集5 管弦楽曲II」(音楽之友社)
- 森田稔・梅津紀雄 訳「ロシア音楽史II」(1995年 全音楽譜出版社)ISBN 4118001241
- 日本・ロシア音楽家協会 編「ロシア音楽事典」(2006年 カワイ出版)ISBN 9784760950164
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Kikimoraの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト