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カーゼルーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カーゼルーン

کازرون
市(シャフル)
カーゼルーン北のシャープール洞窟
カーゼルーン北のシャープール洞窟
イランの旗 イラン
ファールス州
カーゼルーン郡
地区 中央地区
標高
860 m
人口
(2016年)
 • 合計 96,683 [1]
等時帯 UTC+3:30 (IRST)
 • 夏時間 UTC+4:30 (IRDT)
市外局番 071

カーゼルーンペルシア語: کازرون‎、Kāzerūn[2]/Kāzeroūn/Kazeroon/Kasrun) [3]とは、イランファールス州カーゼルーン郡都市で郡中心市に定められている。[2]2016年当時の人口は96,683人。都市の農産物はナツメヤシ、柑橘類の果樹園、小麦、タバコ、米、綿花、ブドウがある。伝統工芸品のギーヴェ(綿布で作られた靴)やドゥールチェ(手桶)の産地としても知られている。

カーゼルーンから19km北の地点には古代都市ビシャープールの遺跡があり、サーサーン朝時代の浅浮彫が残されている。[2]遺跡内のシャープール洞窟にはシャープール1世(在位:241年 - 272年)の像が建てられている。カーゼルーンは多くの知識人を輩出したことでも知られ、出身者として預言者ムハンマドサハーバ(教友)であるサルマーン・アル=ファーリスィーなどの人物が挙げられる。[4]ガージャール朝の時代には多くの人々がカーゼルーンからバーレーンに移住し、カーゼルーニーという姓を持つバーレーン人が多い。

歴史

[編集]

サーサーン朝の君主ペーローズ1世(在位:459年 - 484年)の治世に3つの村が一つにまとめられ、カーゼルーンの元となる町が作られた。[4]元々の名称は「バラドアティーグ」だったが、10世紀以降はカーゼルーンの名前で呼ばれるようになった。[5]ウマイヤ朝の時代にはカーゼルーンとビシャープール英語版で貨幣の鋳造が行われ、アッバース朝期からカーゼルーンは造幣で知られるようになった。[4]10世紀末までにサーサーン朝時代の主要都市だったビシャープールが衰退すると、ビシャープールに代わってカーゼルーンがファールス地方の有力都市の一つになる。当時のカーゼルーンは商業活動が活発であり、立派な家屋が立ち並んでいた。良好な立地と気候、交易活動のため、ファールス地方が不安定な情勢にある中でもカーゼルーンは平穏を保っていた。[4]

1101年から1102年にかけてアブー・サイード・シャバーンカーライーによってカーゼルーンと周辺の都市が破壊され、荒廃したビシャープールに代わってカーゼルーンが地域の中心都市となった。[4]12世紀に始まったモンゴル帝国のペルシア征服事業において、カーゼルーンとファールス地方は初期の軍事活動で行われた大規模な破壊・虐殺は免れたものの、13世紀末からカーゼルーンはニクダリヤンの攻撃にしばしば晒され、ムザッファル朝の君主シャー・シュジャー死後の内乱で町は破壊された。[4]

ティムール朝黒羊朝の抗争の中でカーゼルーンは破壊を免れるが、サファヴィー朝の創始者イスマーイール1世はカーゼルーンのスンナ派の人間に強い圧力をかけ、彼の命令によってスンナ派の説教師とその家族が殺害され、スンナ派の聖者の墓廟が破壊された。[4]1591年にアッバース1世はアフシャール家のホージャ・ピール・ボダーグをカーゼルーンの総督に任命し、その後およそ250年の間アフシャール家出身の総督がカーゼルーンを統治した。サファヴィー朝末期からヨーロッパの旅行者がカーゼルーンを訪れるようになり、彼らは町の寂れた様子、彫像が置かれたシャープール洞窟などの近郊の遺跡の素晴らしさを書き残した。[4]

気候

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カーゼルーンは気温が高いステップ気候である。(ケッペンの気候区分でBShに分類される。)

カーゼルーンの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 14.6
(58.3)
15.4
(59.7)
17.1
(62.8)
19.4
(66.9)
26.0
(78.8)
33.0
(91.4)
39.3
(102.7)
41.3
(106.3)
40.0
(104)
35.7
(96.3)
30.4
(86.7)
24.5
(76.1)
28.06
(82.5)
平均最低気温 °C°F 4.0
(39.2)
4.5
(40.1)
4.9
(40.8)
7.2
(45)
12.4
(54.3)
18.7
(65.7)
26.0
(78.8)
27.4
(81.3)
24.9
(76.8)
20.9
(69.6)
17.1
(62.8)
13.5
(56.3)
15.13
(59.22)
雨量 mm (inch) 53
(2.09)
62
(2.44)
45
(1.77)
6
(0.24)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
1
(0.04)
12
(0.47)
28
(1.1)
50
(1.97)
257
(10.12)
出典:Climate-data.org

脚注

[編集]
  1. ^ Statistical Center of Iran > Home”. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  2. ^ a b c Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Kāzerūn" . Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 15 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 704.
  3. ^ カーゼルーンはGEOnet Names Serverこのリンクで見つけることができる。特別な検索ボックスを開け、「Unique Feature Id」で「-3070132」を入力し、「Search Database」をクリックする。
  4. ^ a b c d e f g h KAZERUN ii. History”. Encyclopaedia Iranica. 2023年8月閲覧。
  5. ^ 鈴木均「カーゼルーン」『世界地名大事典』第3巻、朝倉書店、2012年、238頁。 

参考文献

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  • 鈴木均「カーゼルーン」『世界地名大事典』第3巻、朝倉書店、2012年、238頁。 
  • KAZERUN ii. History”. Encyclopaedia Iranica. 2023年8月閲覧。