カラール (航空機)
カラール(英語: Karrar、ペルシア語: کرار Karrār キャッラール)は、イランで開発され、2009年に初飛行した無人攻撃機である[1]。
カラールは2010年8月23日、ブーシェフル原子力発電所が試験稼動を開始した翌日に公開された。式典はマレク・アシュタル工科大学で行われ、マフムード・アフマディーネジャード大統領自らカラールを紹介した[2][3]。
カラールはイランで初めて本格的に量産された長距離用無人航空機である[4]。中東地域の親イラン系シーア派民兵組織に供給されていると見られ[5]、シリア内戦での実戦投入が確認されている。
概要
[編集]カラールは1970年代にアメリカ合衆国で開発された無人標的曳航機であるMQM-107 ストリーカーをベースに開発されていると考えられる。他の多くの無人攻撃機が長時間の滞空能力(ロイター飛行)を優先するため飛行速度が低速に設計されているのに対し、高速の標的曳航機をベースに開発されたカラールは高速での爆撃が可能な無人機となっている[2]。
イランのメディアが伝えたところによれば、カラールは1,000km (620マイル)の航続距離を持ち、115kg (254 lb)の爆弾2発または227kg (500 lb)の精密誘導爆弾を搭載可能である[3]。また、中国製対艦ミサイルのコピーであるコウサル4発もしくはナスル11発を搭載する事も可能である[6]。
カラールは全長4メートルの機体サイズを持ち[7][8]、ターボジェットエンジンにより最高で時速900km程度の飛行速度を有する[9]。離陸にはロケットアシスト(RATO)を用い、機体の着陸(回収)にはパラシュートが用いられる。
軍事専門家は、カラールがイラン革命前に輸出されたMQM-107 ストリーカーのコピー生産品ではないかと指摘しているが、デネル・ダイナミクスの報告書によれば、カラールはMQM-107とは類似するものの、いくつかの変更点があることから完全なクローンとは言えない、としている[10]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “Iran Shows Off Unmanned, Long-Range Bomber”. VOA News (22 August 2010). 22 August 2010閲覧。
- ^ a b Vogelaar, Rob (August 22, 2010). “Iran Unveils New Karar Bomber Drone”. Aviation News. オリジナルのAugust 26, 2010時点におけるアーカイブ。 August 23, 2010閲覧。
- ^ a b “Iran unveils first bomber drone”. BBC News. (22 August 2010) 22 August 2010閲覧。
- ^ Daragahi, Borzou (August 23, 2010). “Iran Reveals its Own Drone”. Sydney Morning Herald August 23, 2010閲覧。
- ^ https://jamestown.org/brief/briefs-128/
- ^ “Iran Unveils Domestically Produced Bomber Drone”. Defense News. 2010年8月23日閲覧。
- ^ Iran unveils 'unmanned bomber', Aljezeera
- ^ “Iran unveils 'ambassador of death' bomber - World news - Mideast/N. Africa - Iran - msnbc.com”. MSNBC. 2010年8月23日閲覧。
- ^ The Associated Press (August 22, 2010). “CBC News - World - Iran unveils its own drone aircraft”. Cbc.ca 2010年8月23日閲覧。
- ^ Keith Campbell. “New Iranian unmanned warplane not a SA copy, except, maybe, for the tailplane”. Engineering News. 2010年9月10日閲覧。