カナダによる宣戦布告
カナダによる宣戦布告(カナダによるせんせんふこく)は、カナダ政府が相手国との戦争状態の存在を正式に宣言することである。カナダの内閣の助言による国王大権の行使であり、カナダ議会による直接の承認は不要だが、政府が承認を求めることも可能である。カナダは1931年のウェストミンスター憲章の下で宣戦布告する権限を得たが、実際に宣戦布告したのは第二次世界大戦下のみである[1][2]。
第二次世界大戦
[編集]ナチス・ドイツ
[編集]1939年9月1日にナチス・ドイツがポーランドに侵攻すると、9月3日にイギリスとフランスがドイツに宣戦布告した[2][3]。すでに1931年のウェストミンスター憲章により成立していたものの、カナダがイギリスからの独立を主張するために、カナダの政治指導者は議会に宣戦布告の承認を求めた[1][2][4][5]。議会は10月2日まで再開される予定ではなかったが、9月7日に再開され、宣戦布告に関する議論が行われた[2][3][4][5][6]。
9月9日、庶民院と元老院が宣戦布告の権限を承認し、内閣は枢密院勅令を起草した。Vincent Masseyは、イギリス国王ジョージ6世に文書を奉呈し、国王が署名して[7][8]、カナダの対独宣戦布告が正式に発効した[2][3][4][5][6][9]。戦争努力のための政府の公式な記録者としての能力について、Leonard Brockingtonは次のように言及した。
イタリア
[編集]1940年6月10日、イタリア王国は、イギリスとフランスに宣戦布告した[2][3][9]。その日、カナダの国防大臣Norman McLeod Rogersが航空事故で亡くなった[9]。同日、カナダ議会の両院が宣戦布告を承認し、内閣が起草し、国王に奉呈され、翌日、首相により読み上げられた[2][3][9]。
フィンランド・ハンガリー・ルーマニア
[編集]カナダ議会は1941年11月14日に休会し、1942年1月21日まで再開される予定はなかったが[2]、1941年12月6日、ソビエト連邦の催促でイギリスがフィンランドに宣戦布告すると[13]、イギリスの催促で、翌日にカナダの内閣がフィンランド[13]、ハンガリー、ルーマニアに宣戦布告した[2]。
日本
[編集]1941年12月7日(日本時間12月8日)、大日本帝国が香港とマレーに侵攻し、真珠湾を攻撃して、宣戦布告なしにイギリス、カナダ、アメリカ合衆国と開戦した[3]。その日の夜にマッケンジー・キング内閣が対日開戦を決断すると、宣戦布告を起草して、翌日に宣言し、カナダは対日戦争に突入した[2][3][14]。1日遅れて、アメリカ合衆国とイギリスもまたそれぞれ対日宣戦布告を行った[3]。これらの宣言は、マッケンジー・キングにより1942年1月21日に再開した議会に提出された[2]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b Fortin, Steve (6 February 2008). “Is "declaration of war" an antiquated expression?”. The Maple Leaf (Department of National Defence of Canada/Canadian Forces) 11 (5): 6. オリジナルの23 September 2012時点におけるアーカイブ。 23 May 2011閲覧。.
- ^ a b c d e f g h i j k Rossignol, Michel (August 1992). “Parliament, the National Defence Act, and the Decision to Participate”. Public Works and Government Services Canada. May 23, 2011閲覧。
- ^ a b c d e f g h “1939: King prepares Canada for war with Germany”. CBC Digital Archives May 23, 2011閲覧。
- ^ a b c Granatstein, J. L. (September 9, 2009). “Going to war? 'Parliament will decide'”. The Globe and Mail
- ^ a b c “Canada and the World: A History — 1939 - 1945: The World at War”. Department of Foreign Affairs and International Trade of Canada. May 23, 2011閲覧。
- ^ a b Partners for Victory: Canada and the United Kingdom in World War II. High Commission of Canada to the United Kingdom. p. 2 May 23, 2011閲覧。[リンク切れ]
- ^ Donald Creighton, The Forked Road: Canada 1939-1957, McClelland and Stewart, 1976, p.2.
- ^ Brode, Patrick (1 May 2006), “War power and the Royal Prerogative”, Law Times (Thomson Reuters Canada Ltd.), オリジナルの22 November 2012時点におけるアーカイブ。 2 August 2012閲覧。
- ^ a b c d “Allies take Sicily”. CBC Digital Archives May 23, 2011閲覧。
- ^ Canada at War (Office of Director of Public Information of Canada) (9-20): 7. (1941).
- ^ Railway carmen's journal (Brotherhood Railway Carmen of the United States and Canada, Brotherhood Railway Carmen of America) 47-48. (1942).
- ^ Debates (House of Commons of Canada) 3: 2537. (1942).
- ^ a b Lindström, Varpu. “History of Finland-Canada Relations”. Embassy of Finland, Ottawa. May 23, 2011閲覧。
- ^ “Canada Declares War on Japan”. Inter-Allied Review via ibiblio (December 15, 1941). May 23, 2011閲覧。