カストロカメラ
カストロカメラ | |
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映画『ミルク』のために再現されたカストロカメラ | |
概要 | |
所在地 | カリフォルニア州 サンフランシスコ カストロ地区 カストロ通り 575 |
座標 | 北緯37度45分35秒 西経122度26分05秒 / 北緯37.759786度 西経122.43468度 |
落成 | 1972年 |
閉鎖 | 1978年 |
カストロカメラは、サンフランシスコのカストロ地区にかつて存在したカメラ店。ハーヴェイ・ミルクが1972年に店を開き、暗殺された1978年まで開業していた。1970年代において近隣ゲイ・コミュニティの中心となり、ミルクの各種キャンペーンや選挙事務所としても機能していた。
歴史
[編集]熱心なアマチュアカメラマンであった[1]ミルクは、1972年に当時のパートナーであったスコット・スミスと共に彼らの貯蓄の残り1,000ドルを元手に同店を開いた。店は間もなく若いゲイの人々を中心にカストロを訪れる人々が立ち寄るようになった[2]。カメラやフィルムを販売する傍らで、店はソーシャルセンターや若いゲイ達の駆け込み所としても機能するようになり[2][3]、またミルクは店をサンフランシスコ議会選挙の公式投票所としても使わせていた[4]。
カストロカメラはミルクと多くの人物を結びつけた場所でもあった。ダニエル・ニコレッタは当時のミルクを撮り続けた写真家として良く知られているが、ミルクとの接点の始まりは店の顧客としてであり、やがて店の助手やキャンペーン事務局員として働いた[1]。後年にミルクの選挙事務長を務めたアン・クローネンベルクも最初の出会いは同店の顧客としてであり、ミルクの最初の印象は "raving maniac" (とてもマニアックな人)であったという[5]クリーブ・ジョーンズやスピーチライターのフランク・M・ロビンソンなども彼の店でミルクと共に働いていた[6][7]。
1978年以降
[編集]かつてカストロカメラのあったカストロ通り575番地は、2011年にヒューマンライツキャンペーンの店舗となっているが[8]、伝記映画『ミルク』撮影にあたって当時の内装が再現されていた[9]。カメラ店時代を記憶している地元住民の証言をもとに[6]古い赤色のソファや理髪店の椅子なども忠実に再現されていた[10]。現在のショップオーナーやカメラクルーは店内でミルクの幽霊を見たというこぼれ話が残っている[11][12]。
カストロカメラ跡地前の歩道には同店の跡地を示す金属製のプラークが据えられ[13]、毎年ミルクの亡くなった日に合わせて行われる記念マーチが一時停止をするポイントになっている。
ミルクの愛用した理髪店チェアやアンティークカメラのコレクションなど、カメラ店の遺物などはGLBTヒストリカル・ソサエティと同団体が開設したミュージアムが保存している。同団体は2003年に "Saint Harvey: The Life and Afterlife of a Modern Gay Martyr." と銘打ち、カメラコレクションを公開した[14]。また『ミルク』のカメラ店のセット作成に際しては、同団体も協力している[15]
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b Johnny Ray Huston (2008年11月19日). “Hot flash gallery:The Milk Issue: Now and then in the photography of Daniel Nicoletta”. San Francisco Bay Guardian
- ^ a b Randy Shilts (1988). The Mayor of Castro Street:the Life and Times of Harvey Milk. Macmillan. ISBN 978-0-312-01900-6
- ^ Meredith May (2003年11月27日). “From Milk's times to our times:Hard to fathom gay rights gains since 'St. Harvey' fell”. San Francisco Chronicle
- ^ Heather Smith and Bennett Cohen. “The Harvey Milk effect”. San Francisco Magazine
- ^ David Lamble (2008年11月20日). “Lesbian at the heart of Milk's posse”. Bay Area Reporter
- ^ a b Sharyn Jackson (2008年11月20日). “Milking it:In a new biopic, gay-rights activist Cleve Jones sees an icon honored at last”. Time Out New York
- ^ Andrew Davis (2008年11月20日). “Frank Robinson on Harvey Milk”. Windy City Times
- ^ “Harvey Milk’s Shop, Center of a Movement, Is Now the Center of an Internal Fight”. NY Times. (2010年12月19日)
- ^ Steven Winn (2008年1月30日). “Picturing Harvey Milk:Filming of movie evokes memories, emotions in the Castro”. San Francisco Chronicle
- ^ Anne Kronenberg. “Everybody Needed Milk”. Leyland Publications
- ^ “Harvey Milk's ghost stops by film set”. 3 News. (2008年11月13日)
- ^ Teeman, Tim (2009年1月17日). “Harvey Milk's San Francisco”. London: The Times 2010年4月28日閲覧。
- ^ Sam Whiting (2000年6月23日). “Where History Was Made:A tour of 41 points of gay interest all across the city”. San Francisco Chronicle
- ^ Delgado, Ray (2003年6月6日). “Museum opens downtown with look at 'Saint Harvey'; exhibitions explore history of slain supervisor, rainbow flag”. San Francisco Chronicle 2011年7月9日閲覧。
- ^ Koskovich, Gérard (2009-03-02). "A quoi sert un centre d'archives? Le film de Gus Van Sant donne une réponse," Yagg.com; consulted 2011-07-15.
外部リンク
[編集]- The Gay, Lesbian, Bisexual, Transgender Historical Society- カストロカメラ時代の物を中心にミルクの私物を保管している。