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オーディン級潜水艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オーディン級潜水艦/O級潜水艦
Odin-class/O-class submarine
「オズワルド」(HMS Oswald, N58)
「オズワルド」(HMS Oswald, N58)
基本情報
種別 潜水艦
運用者  イギリス海軍
就役期間 1927年 – 1945年
同型艦 9隻
前級 L級潜水艦
準同型艦 チリの旗カピタン・オブライエン級潜水艦英語版3隻
次級 パーシアン級潜水艦
要目
排水量 第1グループ:1,311ロングトン (1,332 t)(水上),1,892ロングトン (1,922 t)(水中)
第2グループ:1,781ロングトン (1,810 t)(水上),2,030ロングトン (2,060 t)(水中)
長さ 第1グループ:275 ft (84 m)
第2グループ:283 ft (86 m)
第1グループ:28 ft (8.5 m)
第2グループ:30 ft (9.1 m)
主機 ヴィッカース式(「オベロン」のみ海軍本部式)ディーゼルエンジン4,600 hp (3,400 kW)2基 + 電動機350 hp (260 kW)2基
推進器 2軸推進
速力 第1グループ:15.5ノット (28.7 km/h; 17.8 mph)(水上)、9ノット (17 km/h; 10 mph)(水中)
第2グループ:17.5ノット (32.4 km/h; 20.1 mph)(水上)、9ノット (17 km/h; 10 mph)(水中)
航続距離 8,400 nmi (15,600 km; 9,700 mi)(10ノット (19 km/h; 12 mph)時)(水上)、70 nmi (130 km; 81 mi)(4ノット (7.4 km/h; 4.6 mph)時)(水中)
燃料 重油159トン
潜航深度 300 ft (91.4 m)
乗員 54名
兵装 21インチ(533mm)魚雷発射管×8門(艦首6門・艦尾2門、魚雷16本搭載)
4インチ(10.2cm)単装砲英語版×1基
7.7mm単装機銃×2基
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オーディン級潜水艦Odin-class submarine)は1920年代に建造されたイギリス海軍潜水艦。全艦が「O」で始まる名前を持っていたため、O級潜水艦O-class submarine)ともいわれる。プロトタイプの「オベロン」に続いて建造された2隻はオーストラリア海軍向けのものであったが、オーストラリアの経済状況が悪かったため1931年にイギリス海軍に引き渡されている。それらに加えて改正型6隻がイギリス海軍向けに建造された。また、チリ海軍向けにも改型3隻が建造された(カピタン・オブライエン級潜水艦英語版)。

設計

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オーディン級は老朽化したL級潜水艦を代替するため建造された。

理論上の潜航可能深度は500フィート (150 m)であったが、500フィート (150 m)を超える潜航試験は公式には行われなかった。

兵装は21-インチ (533 mm)魚雷発射管8門(艦首6、艦尾2)と4-インチ (102 mm)砲1門であった。

船体はサドルタンク(半複殻)英語版式を採用しており、燃料はリベット接合の外部燃料タンクに入れられていたが、これは爆雷攻撃を受けると燃料漏れが発生し潜水艦の位置露呈につながるものであった。

オーディン級にはイギリス海軍で初めてASDICおよび潜望鏡深度で使用可能な超短波無線が搭載された。

同型艦一覧

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第1グループ

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「オベロン」。本艦はイギリス海軍潜水艦で初となる116型ASDICなどを装備した[1]
1931年の「オトウェイ」。「オベロン」と異なる艦首形状に注意。

L級潜水艦を置き換えるために1923年度計画で計画された最初のタイプ。「オクスリー」と「オトウェイ」は、当初オーストラリア海軍の「AO-1」及び「AO-2」として建造されたが、同国の財政問題により1931年にイギリス海軍へ移管された[2]。1923年に日英同盟が失効したことで極東における運用が考慮され、艦尾魚雷発射管の装備による雷撃力強化や、上部バラストタンク内の燃料タンク設置による航続距離70パーセント増加といったL級潜水艦からの大幅な強化が行われている。船体も大型化しており、水上排水量が約350トン増加している反面速力は約2ノット低下した[1]

「オベロン」はイギリス海軍潜水艦で初めてASDICを装備したほか、水中聴音機、方向探知機なども搭載されたことで索敵能力が飛躍的に向上した。艦首形状は「オベロン」が垂直で上部が押し広がった「ブル・ノーズ」(の鼻)形状なのに対し、オーストラリア海軍向けに建造された2隻は防潜網突破用に衝角に類似した形状でネットカッターを装備している違いがあった[3]

大戦中は本国近海や地中海で運用され、「オクスリー」は同士討ちで戦没。2隻は大戦後半から練習艦として用いられ、戦後解体された[1]

プロトタイプ

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艦名 建造所 進水 最後
オベロン英語版 (HMS Oberon) チャタム工廠 1926年9月24日 1945年解体。

オクスリー級

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艦名 建造所 進水 最後
オトウェイ英語版 (HMS/HMAS Otway) ヴィッカース社バロー造船所 1926年9月7日 1945年解体。
オクスリー (HMS/HMAS Oxley) ヴィッカース社バロー造船所 1926年9月29日 1939年9月10日、ノルウェー近海でイギリス海軍潜水艦「トライトン英語版」の同士討ちにより沈没。

第2グループ

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無線兼信号檣を立てて香港沖を航行中の「オーディン」。艦首舷側上部に折り畳み式潜舵が装備されたことが、第2グループの外見上の特徴であった。

第1グループの改良型で、1926年度計画において6隻が建造された。第1グループからから船体を大型化し、ディーゼルエンジンの出力を約50パーセント増強したことで水上速力を17.5ノットまで引き上げ、航続距離も約30パーセント増大させた[4]。水中操作性の改善のため、潜舵の位置を第1グループの艦底から艦首舷側上部の折り畳み式に変更。ほか、燃料タンクを全て内外殻間バラストタンクに設置したり、新型の118型ASDICを装備するといった諸改正が行われた[5]

水中操作性の悪さや燃料の漏洩はなお不満が残ったものの、当時としては世界的に見ても優秀な潜水艦に仕上がっていた。実用安全潜航深度は70メートルとされていたが、設計上150メートルの潜水が可能であり、「オータス」は110メートルの潜航記録を残している[5]。本級は第二次世界大戦開戦までは主に極東で運用され、その後地中海の激戦に投入されて4隻が戦没した。大戦後半に訓練用へ回された2隻のみが戦争を生き残った[4]

オーディン級

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艦名 建造所 進水 最後
オーディン英語版 (HMS Odin) チャタム工廠 1928年5月5日 1940年6月14日、ターラント湾イタリア海軍駆逐艦ストラーレ」の攻撃により沈没。
オリンパス英語版 (HMS Olympus) ウィリアム・ベアードモア英語版 1928年12月11日 1942年5月8日、マルタを出航直後に触雷沈没。
オーフュース英語版 (HMS Orpheus) ウィリアム・ベアードモア社 1929年2月26日 1940年6月19日、イタリア海軍駆逐艦「トゥルビネ英語版」の攻撃により沈没。
オーサイアリス英語版 (HMS Osiris) ヴィッカース社バロー造船所 1928年5月19日 1946年9月解体。
オズワルド英語版 (HMS Oswald) ヴィッカース社バロー造船所 1928年6月19日 1940年8月1日、カラブリア沖でイタリア海軍駆逐艦「ウゴリーノ・ヴィヴァルディ英語版」の攻撃により沈没。
オータス英語版 (HMS Otus) ヴィッカース社バロー造船所 1928年8月31日 1944年退役後、1946年9月ダーバン沖に海没処分。

脚注

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参考文献

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  • 『世界の艦船 増刊第48集 イギリス潜水艦史』海人社世界の艦船〉、1997年9月。 
  • 『世界の艦船 6月号増刊 第2次大戦のイギリス軍艦』海人社世界の艦船〉、2016年6月。 
  • Akermann, Paul (2002). Encyclopaedia of British Submarines 1901–1955 (reprint of the 1989 ed.). Penzance, Cornwall: Periscope Publishing. ISBN 1-904381-05-7 
  • Bagnasco, Erminio (1977). Submarines of World War Two. Annapolis, Maryland: Naval Institute Press. ISBN 0-87021-962-6 
  • Colledge, J. J.; Warlow, Ben (2006) [1969]. Ships of the Royal Navy: The Complete Record of all Fighting Ships of the Royal Navy (Rev. ed.). London: Chatham Publishing. ISBN 978-1-86176-281-8. OCLC 67375475
  • Chesneau, Roger, ed (1980). Conway's All the World's Fighting Ships 1922–1946. Greenwich, UK: Conway Maritime Press. ISBN 0-85177-146-7 
  • McCartney, Innes (2006). British Submarines 1939–1945. New Vanguard. 129. Oxford, UK: Osprey. ISBN 1-84603-007-2 

外部リンク

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