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オーストンウミツバメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オーストンウミツバメ
オーストンウミツバメ
オーストンウミツバメ Hydrobates tristrami
保全状況評価
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[1]
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: ミズナギドリ目 Procellariiformes
: ウミツバメ科 Hydrobatidae
: オーストンウミツバメ属 Hydrobates
: オーストンウミツバメ
H. tristrami
学名
Hydrobates tristrami
Salvin, 1896
和名
オーストンウミツバメ
英名
Sooty storm-petrel
Tristram's storm-petrel

オーストンウミツバメ学名Hydrobates tristrami)は、ミズナギドリ目ウミツバメ科に分類される鳥類。

分布

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太平洋西部

繁殖地としてはハワイ諸島アメリカ合衆国)、伊豆諸島小笠原諸島北硫黄島日本)が確認されている。日本では冬季に繁殖のため飛来する(冬鳥)。

形態

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全長24-25.5cm。翼開張56cm。尾羽には深い切れこみが入りアルファベットの「V」字状。全身は黒褐色の羽毛で被われる。大雨覆上面の羽毛は淡褐色で、飛翔時には明瞭な帯模様(翼帯)に見える。

嘴や後肢の色彩は黒褐色。

分類

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本種は以前はウミツバメ属(Oceanodroma)に分類されていたが、近年の研究成果に基づき[2][3][4] 現在はオーストンウミツバメ属(Hydrobates)に分類されている。[5]

生態

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亜熱帯の海洋に生息する。風の強い高所から風の弱い低所に急降下し、急降下の勢いと風力の差を利用して再び高所へ上がる(ダイナミック・ソアリング)ことを繰り返し長時間羽ばたかずに飛翔することが多い。

食性は動物食で、魚類甲殻類軟体動物などを食べる。

繁殖形態は卵生。地面を掘ったり岩の隙間等に、日本では12-翌2月に1回に1個の卵を産む。雛は4-6月に巣立つ。

人間との関係

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天敵となるカラスの増加や、人為的に移入されたネコクマネズミなどによる卵や雛の捕食などにより生息数は減少している。またゴミの誤飲や油汚染などによる生息数の減少が懸念されている。以前はミッドウェー諸島鳥島でも繁殖していたが、現在は繁殖地が壊滅している。

脚注

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  1. ^ BirdLife International 2012. Oceanodroma tristrami. In: IUCN 2012. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2012.1.
  2. ^ Penhallurick, J., & Wink, M. (2004). Analysis of the taxonomy and nomenclature of the Procellariiformes based on complete nucleotide sequences of the mitochondrial cytochrome b gene. Emu - Austral Ornithology, 104(2), 125–147. https://doi.org/10.1071/MU01060
  3. ^ Bruce C. Robertson, Brent M. Stephenson, Sharyn J. Goldstien, When rediscovery is not enough: Taxonomic uncertainty hinders conservation of a critically endangered bird, Molecular Phylogenetics and Evolution, Volume 61, Issue 3, 2011, Pages 949-952, ISSN 1055-7903, https://doi.org/10.1016/j.ympev.2011.08.001.
  4. ^ S.J. Wallace, J.A. Morris-Pocock, J. González-Solís, P. Quillfeldt, V.L. Friesen, A phylogenetic test of sympatric speciation in the Hydrobatinae (Aves: Procellariiformes), Molecular Phylogenetics and Evolution, Volume 107, 2017, Pages 39-47, ISSN 1055-7903, https://doi.org/10.1016/j.ympev.2016.09.025.
  5. ^ Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2024. IOC World Bird List (v14.2). doi : 10.14344/IOC.ML.14.1.
  6. ^ 【鳥類】環境省第4次レッドリスト(2012)<分類群順>” (PDF). 環境省 (2012年8月28日). 2012年9月9日閲覧。

参考文献

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  • 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年、52頁。
  • 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥I』、平凡社1986年、177頁。
  • 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会2007年、76-77頁。
  • 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社1984年、138、181頁。
  • 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、41頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、19頁。

外部リンク

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