コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

オペル・コルサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オペル・ヴィータから転送)

コルサCORSA)は、ドイツ自動車メーカーオペルにより製造・販売されるBセグメント級の乗用車である[1][2][3]。オペルの他、市場に応じてゼネラルモーターズ傘下のボクスホールシボレーホールデン等のブランドで販売され、スペインサラゴサブラジルメキシコ南アフリカインド等で製造・販売される。

最盛期の1998年には910,839台を販売し、世界で最も販売された自動車となった。2007年時点、世界で累計1,800万台以上が販売された[4]

2代目と3代目は、日本ではヤナセによりオペル・ヴィータVITA)として販売された。

3代目までは、デザイナー児玉英雄デザインを担当していた。

ゼネラルモーターズは2017年3月6日にオペルとボクスホールのブランドをグループPSAへ売却し、6代目以降はプジョーシトロエンプラットフォームを用いる。

初代 コルサA(S83型、1982年 - 1993年)

[編集]
オペル・コルサ(初代)
コルサA(S83型)
3ドアハッチバック
5ドアハッチバック
概要
製造国 スペインの旗 スペイン
ユーゴスラビアの旗 ユーゴスラビア連邦共和国
販売期間 1982–1993年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
2/4ドアセダン
駆動方式 FF
プラットフォーム GM4200
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0/1.2/1.3/1.4/1.6L I4
ディーゼル:
1.5L I4
変速機 4/5MT
車両寸法
ホイールベース 2,345mm
全長 3,620 - 3,955mm
全幅 1,530 - 1,540mm
全高 1,360 - 1,365mm
車両重量 735 - 865kg
その他
姉妹車 ボクスホール・ノヴァ (イギリス)
テンプレートを表示

1982年9月に発売。前輪駆動方式を採用しており、小型車が販売の34% - 43%を占めていたフランス市場、イタリア市場、スペイン市場に投入された。他の欧州市場への投入は1983年3月に予定された。ゼネラルモーターズ内におけるコードはS-car。S-carというコード名は、元々1970年代初頭に廃止されたBセグメント車用に採用された物で、本車は事実上の後継車という立ち位置であった。競合車はフィアット・127フォルクスワーゲン・ポロフォード・フィエスタとなる。生産はスペインにて新設されたサラゴサ工場において生産された。

サラゴサにおいて初めて生産されたコルサは、3ドアハッチバックと2ドアセダンであった。1984年に4ドアと5ドアも追加された。一部市場ではバンも販売された。欧州市場では、セダンは1985年5月までコルサTRと呼称され、ハッチバックの特徴であるホイールアーチ・ブリスターは廃止され、ハッチバックの一体型バンパー/4バー・グリルを代替する、伝統的なエッグクレートグリルが採用される等、変更が加えられた。セダンは欧州市場の大半で販売は好調では無かったが、スペイン市場やポルトガル市場では人気を博した。セダンは最初の半年間、フランス市場におけるコルサの販売台数の10%に過ぎなかったが、スペイン市場ではコルサの販売台数の半数を占めた。

日本は東邦モーターズが少数を輸入し、『オペル 100i/130GT』の名称で販売した。

1990年にドイツなどでトムとジェリーがイメージキャラクターを務めた。

2代目 コルサB(S93型、1993年 - 2016年)

[編集]
オペル・コルサ(2代目)
コルサB(S93型)
概要
別名 オペル・ヴィータ (日本)
ボクスホール・コルサ (イギリス)
ホールデン・バリーナ (オーストラリア)
シボレー・コルサ (ラテンアメリカ)
シボレー・シェビー (メキシコ)
製造国 スペインの旗 スペイン
ドイツの旗 ドイツ
 コロンビア
メキシコの旗 メキシコ
アルゼンチンの旗 アルゼンチン
ブラジルの旗 ブラジル
ベネズエラの旗 ベネズエラ
 エジプト
インドの旗 インド
タイ王国の旗 タイ
エクアドルの旗 エクアドル
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国
販売期間 1993 - 2016年
デザイン 児玉英雄
ボディ
乗車定員 2/5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
4ドアセダン
5ドアワゴン
2ドアピックアップ
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0L I3
1.2/1.4/1.6 L I4
ディーゼル:
1.5/1.7 L I4
変速機 4MT/AT
車両寸法
ホイールベース 2,445mm
2,480mm (ピックアップトラック)
全長 3,730 mm (ハッチバック)
4,025mm (セダン/ワゴン)
4,155mm (ピックアップトラック)
全幅 1,610 mm
全高 1,440 mm
テンプレートを表示

オペル・欧州GM在籍中の日本人カーデザイナー、児玉英雄がデザインを担当し、欧州で1993年に発売、日本では1995 - 2000[5]年モデルをヤナセが輸入して販売した。オーストラリアニュージーランドではバリナの名で、日本ではすでにトヨタコルサの車名を登録して使用しており、『オペル・ヴィータ』[6]の名で販売した。

販売当初の車両本体価格は150万円台からで、左ハンドル仕様のみだったが、翌年右ハンドルも追加された。可愛いベイビーのメロディに乗せて「かわいいVITA♪ハイハイ」と歌う親しみやすいテレビCMと丸みを帯びたデザインに加え、デュアルエアバッグABSなど安全装備が充実し、輸入車としては安価なこともあり、初年分はすぐに完売した。軽自動車からの乗り換えも発生し、主に海外ブランド車を扱うヤナセが、軽を下取りして中古車として扱った。2000年に放送されたTBSドラマ「ビューティフルライフ」で常盤貴子が演じるヒロインの愛車として赤いヴィータが劇用車となったことから人気が再燃し、品薄になった。

3代目 コルサC(X01型、2000年 - 2012年)

[編集]
オペル・コルサ(3代目)
コルサC(X01型)
概要
別名 オペル・ヴィータ (日本)
ボクスホール・コルサ (イギリス)
ホールデン・バリーナ (オーストラリア)
シボレー・コルサ (ラテンアメリカ)
製造国 スペインの旗 スペイン
ドイツの旗 ドイツ
アルゼンチンの旗 アルゼンチン
ブラジルの旗 ブラジル
 エジプト
エクアドルの旗 エクアドル
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国
販売期間 2000 - 2012年
ボディ
乗車定員 2/5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
4ドアセダン
5ドアワゴン
2ドアピックアップ
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0L I3
1.2/1.4/1.8L I4
ディーゼル:
1.3/1.7L I4
変速機 5MT
4AT
5AMT
車両寸法
ホイールベース 2,490mm
全長 3,815-4,180mm
全幅 1,645mm
全高 1,440mm
テンプレートを表示

2001年に欧州で発売し、日本は2001 - 2003年モデルを、GMとヤナセが2代目同様『オペル・ヴィータ』として販売。児玉がデザインに携わった最後のコルサでもある。

4代目 コルサD(S07型、2006年 - 2014年)

[編集]
オペル・コルサ(4代目)
コルサD(S07型)
前期型 (3ドア)
後期型 (3ドア)
概要
別名 ボクスホール・コルサ (イギリス)
製造国 ドイツの旗 ドイツ
スペインの旗 スペイン
販売期間 2006-2014年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
プラットフォーム SCCS
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0L I3
1.2/1.4/1.6L I4
ディーゼル:
1.3/1.7L I4
変速機 5/6MT
4AT AF13
6AMT イージートロニック
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,000mm
全幅 1,735mm
全高 1,490mm
テンプレートを表示

2006年5月に欧州で発売した。フィアット・グランデプントが供用する「GM ガンマプラットフォーム」を採用した。

日本は2006年5月にオペルが撤退し、本モデルから正規輸入販売されていない。

5代目 コルサE(X15型、2014年 - 2019年)

[編集]
オペル・コルサ(5代目)
コルサE(X15型)
コルサ E(フロント)
コルサ E(リア)
概要
別名 ボクスホール・コルサ (イギリス)
製造国 ドイツの旗 ドイツ
スペインの旗 スペイン
販売期間 2014-2019年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
駆動方式 前輪駆動
プラットフォーム SCCS
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0L I3
1.2/1.4/1.6L I4
ディーゼル:
1.3L I4
変速機 5MT
6AT
5AMT
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,020mm
全幅 1,735mm
全高 1,480mm
車両重量 1,120 - 1,237kg
テンプレートを表示

2014年10月に、パリモーターショーで5代目モデルを初公開[7]した。先代同様に3ドアと5ドアが設定され、英国はボクスホールブランドで販売する。

先代を元に再開発したプラットフォームに、新開発の1.0Lターボに加えて1.2L、1.4L、1.4Lターボ、1.3Lディーゼルターボを搭載する。

2015年に、1.6Lターボエンジンを搭載したオペルコルサOPC(ボクスホールコルサVXR)[8]を発売した。最高出力は207PS、最大トルクは245Nm、オーバーブースト機能でトルクを280Nmに引き上げることが可能で、0 - 100km/h加速は6.8秒、最高速度は230km/hである。

6代目 コルサF(P2JO型2019年 - 現在)

[編集]
オペル・コルサ(6代目)
コルサF(P2JO型)
コルサ F(フロント、マイナーチェンジ前)
コルサ F(リア、マイナーチェンジ前)
概要
別名 ボクスホール・コルサ (イギリス)
製造国 スペインの旗 スペイン
販売期間 2019-年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアハッチバック
駆動方式 前輪駆動
プラットフォーム PSA EMP1(CMP)
パワートレイン
エンジン ガソリン:1.2 I3
ディーゼル:
1.5 I4
モーター 永久磁石同期電動機(コルサe)
変速機 5MT PSA MA
6MT PSA MB6
8AT アイシンAWF8F35英語版
1速固定ギア比(コルサe)
車両寸法
ホイールベース 2,538mm
全長 4,060mm
全幅 1,765mm
全高 1,435mm
車両重量 1055-1233kg(コルサ)
1530kg(コルサe)
テンプレートを表示

2019年5月23日に電気自動車の「コルサe」[9]、6月26日にガソリン・ディーゼル車の「コルサ」が発表され[10]、同年に開催されたフランクフルトモーターショー2019で世界初公開した[11]。コルサ Fは当初GMのプラットフォームを用いて開発されていたが、開発中にオペルがグループPSA傘下へ異動したことにより、途中でPSA EMP1プラットフォームに切り替え、約2年の期間で仕上げられた。

パワートレインはガソリン車が1.2Lと1.2Lターボ、ディーゼル車が1.5L BlueHDiで、最高出力はガソリン車が55 - 96kW, 75 - 130hp、ディーゼル車が75kW,102hpである。e-CMPをプラットフォームに採用したBEVモデルの『コルサe』は、50kWhのバッテリーを搭載し、最高出力は100kw, 136hp、1回の充電で330km(WLTPサイクル)の走行が可能で、0 - 100km/h加速は8.1秒である。 安全機能は、自動防眩機能付きLEDヘッドライト「IntelliLux LED matrix light」、自動ブレーキ、車線維持機能、自動駐車支援機能などを装備する [11]

コンボライフグランドランドとともに、2021年の日本市場再上陸時に発売予定と2020年2月に発表[12]された。トヨタ自動車から日本でのコルサの商標権がGroupe PSA Japan(現:Stellantisジャパン)に譲渡されて商標権の問題が解決された[13]こともあり、他国向けと同じ名称のオペル・コルサとして日本へ導入される見込み。

英国では、先代同様ボクスホールブランドで販売する。

2023年にマイナーチェンジが行われ、フロントデザインに最新のスタイルデザインである「バイザー」が導入されたり、48Vマイルドハイブリッドシステム搭載モデルが設定されたほか、BEVモデルの名称が『eコルサ』から『コルサ エレクトリック』に変更された[14]

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ Vauxhall Corsa (2014) in pictures: GM’s new supermini grows up | CAR Magazine”. www.carmagazine.co.uk. 2024年9月5日閲覧。
  2. ^ New Vauxhall Corsa unveiled at Paris Motor Show” (英語). Auto Express. 2024年9月5日閲覧。
  3. ^ Vauxhall Corsa review – the best Corsa yet” (英語). Carbuyer. 2024年9月5日閲覧。
  4. ^ Opel Corsa Celebrates 25th Birthday - Huliq” (英語). huliq.com (2009年8月17日). 2024年9月5日閲覧。
  5. ^ Opel. Opel In South Africa”. Car-cat.com. 2010年7月16日閲覧。
  6. ^ ヴィータはラテン語で「人生」の意味。
  7. ^ “オペル コルサ 新型、発表…欧州Bセグで存在感発揮”. レスポンス. (2014年10月6日). https://response.jp/article/2014/10/06/234197.html 
  8. ^ オペル コルサ 新型に「OPC」…日常性能とサーキット性能を両立”. response.. 2020年2月20日閲覧。
  9. ^ "Sixth-Generation Opel Corsa Goes Electric" (Press release) (英語). Stellantis. 23 May 2019. 2021年12月30日閲覧
  10. ^ "Sporty, Stylish, Economical: New Opel Corsa Orderable From July 1 in Germany" (Press release) (英語). Stellantis. 26 June 2019. 2021年12月30日閲覧
  11. ^ a b 櫛谷さえ子 (2019年8月22日). “オペル、EVやPHEVなど3車種を世界初公開”. 日経XTECH (日経BP). https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00078/00002/ 2020年2月5日閲覧。 
  12. ^ “オペル、2021年後半に日本市場に再参入。都内で発表会を開催”. Car Watch. (2020年2月18日). https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1235871.html 2020年12月30日閲覧。 
  13. ^ “トヨタがついに商標を譲渡。オペルがやっと本名「コルサ」を名乗れる!”. ドライバーWeb (八重洲出版). (2020年10月28日). https://driver-web.jp/articles/detail/38282/ 2021年10月14日閲覧。 
  14. ^ “オペル・コルサ 改良で内外装の高級感アップ 48Vマイルドハイブリッドも初導入へ”. AUTOCAR japan (株式会社ACJマガジンズ). (2023年5月25日). https://www.autocar.jp/post/935318 2024年9月18日閲覧。 

外部リンク

[編集]