コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

オデュッセウス 6K

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オデュッセウス 6K
Odysseus 6K
アメリカ海洋大気庁 (NOAA) によって撮影された西フロリダ沖合のスロープで潜水準備中のオデュッセウス 6K
基本情報
船種 遠隔操作型無人探査機 (ROV)
所有者 プラジック・リサーチ・サービス
運用者 プラジック・リサーチ・サービス
建造所 MPHエンジニアリング
母港 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 サウス・ウェルフリート
要目
全長 2,490 mm (98 in)[1]
高さ 2,240 mm (88 in)[1]
推進器 7機(前方/横方向4機、垂直方向3機)[1]
定格出力 25 shp (19 kW)[1]
潜航深度 6,000 m (20,000 ft)[1]
その他 マニピュレーター2基[1]
本体重量2,495 kg (5,501 lb)[1]
吊り下げ可能重量900 kg (2,000 lb)[1]
吊り上げ可能重量1,800 kg (4,000 lb)[1]
テンプレートを表示

オデュッセウス 6K: Odysseus 6K)は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州サウス・ウェルフリートにある民間海洋会社であるプラジック・リサーチ・サービス (Pelagic Research Services) 社が設計・運用する遠隔操作型無人探査機[2](ROV)。名称は『オデュッセイア』の主人公であるオデッセウスに因む。最大定格深度はmsw単位で6,000 m (20,000 ft)。

デザイン

[編集]

オデュッセウス 6Kはハイドラメック社が設計したAフレーム英語版クレーンを介し打ち上げ及び回収が行われ、全長7,500 m (24,600 ft)のファイボン社のアンビリカルケーブルによって母船と接続される[3]。操縦は複数のモニターを備えた20フィートコンテナを改造したオデュッセウス・コントロール・バンから操作され、この運用機材は母船内に別途設置することも可能である[4]

2017年1月にオデュッセウスの改造が完了し、重量は2,495kg(5,500 lb)となった[1]。更新されたオデッセウスにはアルミニウムフレーム(ペイロードトレイ)が溶接され、幅、1,210 mm(47+3⁄4 in)長さ、810 mm(32 in)高さ、380 mm(15 in)のサイズで重量1,800 kg(4,000 lbs)の貨物の吊り上げを可能としている[5]

運用実績

[編集]

2017年、西フロリダ斜面にある深海サンゴ調査に使用された[6]

2023年6月22日、北大西洋ニューファンドランド島沖合に沈むタイタニックを見学するため母船である商船ポーラ・プリンス英語版から6月18日に出発し、1時間45分後に連絡が途絶えた潜水艇タイタン英語版の残骸を現地時間8時55分に発見した[7][8][9]。残骸はタイタニック船首から後方におよそ500 mの位置であった[8]

6月19日月曜にタイタンを運用するオーシャンゲート英語版社から依頼を受けたことでプラジックで救助チームが結成され、翌火曜にアメリカ空軍のC-17輸送機3機によってニューファンドランド州セントジョンに空輸が行われた[7][10]アンカー・ハンドリング・タグ・サプライ船であるカナダ船籍のホライゾン・アークティック英語版から運用が行われ、捜索開始から5時間後、海底3,600 mに沈む残骸を発見した[11]。映像解析作業が行われた結果、発見された残骸は耐圧殻後部にあるテールコーンと後ろ側のベル(蓋)であることが確認され、後方のベルが耐圧殻から離れた位置に横たわっていたことで圧壊に伴う爆縮であることが確認され、乗員全員が即死であることが断定された[11]。午後1時18分、アメリカ沿岸警備隊のジョン・モーガー海軍少将による記者会見が行われ、残骸の発見と破片は「耐圧殻の壊滅的な損失である」と一致するとし、遺体回収に付いては答えられないとしながらも「信じられない程過酷な環境である」と述べた[12]

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j ODYSSEUS 6K DETAILED SPECIFICATIONS” (英語). Pelagic Research Services. 2023年6月30日閲覧。
  2. ^ ROV」『日本大百科全書https://kotobank.jp/word/ROVコトバンクより2023年6月30日閲覧 
  3. ^ 6000-meter ROV Odysseus — Built for Science"” (PDF) (英語). Pelagic Research Services (2021年10月). 2023年6月30日閲覧。
  4. ^ “[https://pelagic-services.com/web2/index.php/odysseus-rov-system/ ODYSSEUS 6K 6000-meter depth rated ROV system]” (英語). Pelagic Research Services. 2023年6月30日閲覧。
  5. ^ “Pelagic Research Services (PRS) Redesigns its ROV System, Odysseus” (英語). Ocean News. (2017年1月30日). https://www.oceannews.com/news/subsea-and-survey/pelagic-research-services-prs-redesigns-its-rov-system-odysseus 
  6. ^ Edward Cassano (2017年8月23日). “Illuminating the Deep: The ROV Odysseus” (英語). アメリカ海洋大気庁(NOAA). 2023年6月30日閲覧。
  7. ^ a b “Cape Cod company's ROV discovered debris from sub lost on Titanic expedition” (英語). WCVB 5 ABC News Boston. (2023年6月23日). https://www.wcvb.com/article/missing-sub-titan-pelagic-research-services-cape-cod-rov/44304319 
  8. ^ a b “Debris field confirmed to be missing Titanic submarine. This is where it was finally found” (英語). USA Today. (2023年6月22日). https://www.usatoday.com/story/graphics/2023/06/22/debris-titanic-confirmed-missing-sub-maps-graphics-explain-titan-submarine-submersible/70347673007/ 
  9. ^ “Titanic-bound submersible suffered ‘catastrophic implosion.’ The US Navy detected an implosion Sunday and told rescuers, an official tells CNN” (英語). CNN. (2023年6月22日). https://edition.cnn.com/2023/06/22/us/submersible-titanic-oceangate-search-thursday/index.html 
  10. ^ PRS Search & Rescue Support for the Submersible Titan” (英語). Pelagic Research Services. 2023年6月30日閲覧。
  11. ^ a b “Submersible crew presumed dead in 'catastrophic loss of the pressure chamber'” (英語). UPI. (2023年6月22日). https://www.upi.com/Top_News/World-News/2023/06/22/more-ships-arrive-to-search-for-missing-titanic-submersible/1631687428433 
  12. ^ “Five dead on Titan sub were 'true explorers' - OceanGate”. BBC. (2023年6月22日). https://www.bbc.com/news/world-us-canada-65993579 

外部リンク

[編集]