オオクサキビ
オオクサキビ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Panicum dichotomiflorum Michx. | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
オオクサキビ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Fall Panicum |
オオクサキビ Panicum dichotomiflorum Michx. はイネ科キビ属の草。日本では帰化植物として広く見られる。全体に毛がなく、まばらに広がった穂の枝がすべて斜め上に伸びる。
特徴
[編集]一年生の草本[1]。全株に毛がない。茎は滑らかでよく枝分かれし、高さは40~100cmに達する。葉身は長さ20~50cm、葉幅は8~20mm、中央脈は太く、その表面は緑白色をしている。葉鞘は背面が丸く、滑らかで光沢があり、葉舌はとても背が低く、その縁に白い毛が1列に並んでいる。
茎の先端から出る円錐花序は高さ30cmに達する。節々からそれぞれ1~5本の横枝を出し、横枝は主軸に対して45°程度の角度を持って斜め上向きに伸び、それぞれ表面はざらつきがある。小穂は多少ともまばらについており、直立するか斜め上を向いて付く。
和名は台湾などに分布するクサキビ P. repens に似ていて、茎や葉、小穂などがより大きいことによる[2]。英名としては Fall Panicum が知られる[3]。
類似種など
[編集]キビ属は世界の熱帯から暖帯域を中心に約500種がある[4]が、日本には在来種としてはハイキビ P. repens とヌカキビ P. bisulcantum があり、他に本種を含む数種が帰化植物として知られている[5]。このうちでヌカキビは草全体の姿、大きさ、全体に毛がないことなど似たところが多いが、花序がほぼ直立し、花序の枝が主軸に対して直角に近い大きい角度で出て、先端にある小穂がやや垂れるように付くこと、小穂の柄に小さな棘がないことなどで区別できる[6]。またこの種は林縁や湿ったところに生え、本種とは生育環境が異なることも記されている[7]が、実際には結構一緒に生えていることを見かける。
他にハイキビは小穂の第1包頴が小穂全体の長さの1/5程度、という点で似ているが、この種は多年生で地下茎がよく発達することで区別がつき、またこの種は海岸性である[2]。
日本で知られる他の種は葉や鞘に毛を持つものが多く、その点で区別がつく。
分布に関して
[編集]原産地は北アメリカであるが、その後に世界に広まり、1986年の段階では南北アメリカからヨーロッパ、アジア、ニュージーランドと太平洋諸島に分布を広げ、しかしこの時点ではアフリカとオーストラリアには侵入していないという[8]。
日本では1927年に千葉県市川市で発見されたのが初めての記録で、現在では北海道から琉球列島にまで普通に見られる[6]。
生育環境
[編集]原産地である北アメリカでは、アメリカ合衆国ではその大部分の地で見ることが出来、小川や氾濫原、湿度のある開墾地などでは優占的に繁茂するが、農地でも見ることが出来る[3]。
利害
[編集]日本では普通の雑草である以上の害はない。
本種の含まれるキビ属の草には家畜に肝臓性光過敏症(特定の餌を食べることで光に敏感になり、皮膚炎を起こしたり、重症の場合には死に到る[9])を引き起こすことが知られており、本種もその性質がある。北アメリカで馬にこれを生じさせた例[3]や、ブラジルで羊にこれを生じさせた事例が知られる[10]。ブラジルの事例では発症したのは1才以下の羊で、同じ物を食べていたロバや山羊、牛には被害がなかったという。
出典
[編集]- ^ 以下、主として長田(1972),p.228
- ^ a b 牧野原著(2017),p.445
- ^ a b c Johnson et al.(2006)
- ^ 大橋他編(2017),p.90
- ^ 清水編(2003),p.282
- ^ a b c 清水編(2003),p.283
- ^ 清水編にも牧野原著にもそのような記述がある。
- ^ Ilijianic & Marcovic(1986)
- ^ 橋本、堤(1963)
- ^ Riet-Correa et al.(2009)
参考文献
[編集]- 長田武正、『日本帰化植物図鑑』、(1972)、北隆館
- 清水健美編、『日本の帰化植物』、(2003)、平凡社
- 牧野富太郎原著、『新分類 牧野日本植物図鑑』、(2017)、北隆館
- 大橋広好他編、『改訂新版 日本の野生植物 2 イネ科~イラクサ科』、(2016)、平凡社
- 橋本芳郎、堤淳三、「動物の食餌性光過敏症」、(1963)、食衛誌.Vol. 4, No. 4,p.185-191.
- ljudevit Ilijanic & L. Marcovic, 1986. Panicum dichotomiflorum Michaux in the surroundings of Zagreb. Acta Bot. Croat. Vol. 45. p.137-139.
- A. L. Johnson et al. 2006. Fall Panicum(Panicum dichotomiflorum) Hepatotoxicosis in Horse and Sheep. J. Vet. Intern. Med. 20:p.1414-1421
- Franklin Riet-Correa et al. 2009. Sheep poisoning by Panicum Dichotomiflorum in northeastern Brazil. Pesq. Vet. Braz. 29(1):p.94-98.