オイルシェールガス
オイルシェールガス(英語: Oil shale gas)とは、オイルシェールを熱分解して生成される合成ガス。略してシェールガス(Shale gas)と呼ばれることもあるが、頁岩(シェール)層から採取される天然ガス(同じくシェールガスと呼ばれる)とは別のものである。
生成
[編集]オイルシェールガスはオイルシェールを乾留(熱分解)して生成される。この熱分解の過程で油母が気化し、石油のような凝縮性シェール油、非凝縮性可燃オイルシェールガスが生成され固体の頁岩が残留物としてのこる[1]。この生成過程はオイルシェールからシェール油を抽出する過程と同じであり、通常オイルシェールガスはシェール油の副産物として生産される。生成されるオイルシェールガスとシェール油と比率は乾留の温度に比例し、一般に温度が上がるとガスの生成量は増える[1]。
成分
[編集]オイルシェールガスの成分は、乾留した元のオイルシェールの成分や乾留の方法に拠る。標準的にはメタン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素の他、エチレンなど炭化水素類が含まれるが、硫化水素やその他不純物も混入している場合がある[1][2]。
利用法
[編集]オイルシェールガスは天然ガスの代替物として利用されてきた[3]。19世紀と20世紀はじめ頃、オイルシェールガスはガス灯の燃料に利用されていた。1920年代にはエストニアの首都タリンや同国第2の都市タルトゥで都市ガスとしてオイルシェールガスが生産されており[2]、1948年以降エストニアで生産されるオイルシェールガスはレニングラードや北部エストニアの諸都市でも使用された[4][5][6]。このため、エストニア第4の都市コフトラ=ヤルヴェでは1987年まで276機のガス発生機が稼働していた[7]。
オイルシェールガスはシェール油抽出時の副産物としても生成されるため、その生産方法次第ではオイルシェールを熱分解する燃料にも利用し得る[1]。
脚注
[編集]- ^ a b c d Koel, Mihkel (1999). “Estonian oil shale”. Oil Shale. A Scientific-Technical Journal (Estonian Academy Publishers) (Extra). ISSN 0208-189X 2009年6月23日閲覧。.
- ^ a b Kogerman, P. N. (1925). “The present status of the oil-shale industry in Estonia”. Journal of the Institution of Petroleum Technologists (London: Institute of Petroleum) 11 (50). ISSN 0368-2722 2024年4月24日閲覧。.
- ^ Schora, F. C.; Tarman, P. B.; Feldkirchner, H. L.; Weil, S. A. (1976). “Hydrocarbon fuels from oil shale”. Proceedings (American Institute of Chemical Engineers) 1: 325–330. A77-12662 02-44.
- ^ Association for the Advancement of Baltic Studies (1977). “Usage of Estonian oil shale”. Journal of Baltic Studies (University of Michigan) 8-9: 160 2009年6月23日閲覧。.
- ^ “Detailed history”. Viru Keemia Grupp. 2011年7月9日閲覧。
- ^ Valgma, Ingo. “Map of oil shale mining history in Estonia”. Mining Institute of Tallinn Technical University. 2009年6月23日閲覧。
- ^ Ots, Arvo (2006) [2004]. Toni Tyson; Mary McQuillen. ed. Oil Shale Fuel Combustion. Tallinn: Arv Ots; Eesti Energia. p. 15. ISBN 978-9949-13-710-7。