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エリック・クレイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エリック・クレイ Portal:陸上競技
選手情報
ラテン文字 Eric Cray
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
フィリピンの旗 フィリピン
競技 陸上競技ハードル, 短距離走
種目 400mH, 100m, 60m
大学 アメリカ合衆国の旗 ベスーン=クックマン大学 (en
アメリカ合衆国の旗 オクラホマ大学
生年月日 (1988-11-06) 1988年11月6日(36歳)
出身地 フィリピンの旗 サンバレス州オロンガポ (en
居住地 アメリカ合衆国の旗 テキサス州エルパソ
身長 176cm
体重 70kg
成績
オリンピック 400mH:準決勝1組7着(2016年
世界選手権 400mH:予選4組6着(2015年
地域大会決勝 アジア大会
400mH:6位(2014年
アジア選手権
400mH:優勝(2017年)
自己ベスト

50m:5秒76(2017年)室内フィリピン記録
60m:6秒57(2015年)室内フィリピン記録
100m:10秒25(2015年)フィリピン記録
200m:21秒25(2017年)
400m:48秒28(2015年)
60mH:7秒86(2014年)室内フィリピン記録
110mH:14秒17(2013年)

400mH:48秒98(2016年)フィリピン記録
獲得メダル
陸上競技
フィリピンの旗 フィリピン
アジア選手権
2017 ブバネーシュワル 400mH
アジア室内選手権
2016 ドーハ 60m
アジアインドアゲームズ
2017 アシガバート 60m
東南アジア大会
2013 ネピドー 400mH
2015 シンガポール 100m
2015 シンガポール 400mH
2017 クアラルンプール 400mH
2017 クアラルンプール 100m
2017 クアラルンプール 4x100mR
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エリック・ショーン・ブラサス・クレイEric Shauwn Brazas Cray1988年11月6日 ‐ )は、フィリピン出身でアメリカ合衆国在住の陸上競技選手。専門はハードル短距離走400mハードルの48秒98、100mの10秒25、60mの6秒57など、複数種目でフィリピン記録を保持している。2016年リオデジャネイロオリンピック男子400mハードルのセミファイナリストである。

経歴

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2012年まで

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スービック海軍基地に所属していた元アメリカ海軍将校の父親、フィリピン人の母親の下、フィリピンのサンバレス州オロンガポ (enに生まれたが、2歳の時にアメリカ合衆国に移り住んだ[1][2]。4人の兄弟姉妹を持つ[3]

陸上競技テキサス州サンアントニオのジェームス・マディソン高校 (enに進学してから始めた[4]。高校時代は300mハードルで州選手権3位、110mハードルと300mハードルで地域チャンピオンや地区チャンピオンに輝くなど活躍した[5]

高校卒業後は最初にベスーン=クックマン大学 (en、その後オクラホマ大学に進学した。ベスーン=クックマン大学時代は4×100mリレーで2009年全米学生選手権(NCAA選手権)に出場を果たしたが(結果は予選敗退)、本職の400mハードルでは東地区予選に3度の出場を果たすも本大会の出場権を獲得できなかった[5]。オクラホマ大学時代の2012年には400mハードルと4×100mリレーで全米学生選手権出場(結果はともに予選敗退)、ビッグ12カンファレンス選手権では400mハードルで3位、4×100mリレーと4×400mリレーでそれぞれ6位と5位に入るなど活躍した[6]

母親の勧めでフィリピン代表として競技することを決め、2012年12月31日からフィリピン代表として競技している[7]

2013年

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世界大会デビューとなった8月のモスクワ世界選手権だったが、12日の男子400mハードル予選で52秒45の組7着に終わり、自己ベスト(50秒46)には程遠いタイムで予選敗退に終わった[8]

2014年

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2月15日のアジア室内選手権 (en男子60mでは予選6秒77、決勝6秒75と両ラウンドでフィリピン新記録(当時)を樹立したが、メダルには0秒07届かず5位に終わった[9]

9月30日のアジア大会男子400mハードル予選で自己ベストおよびフィリピン新記録(ともに当時)の50秒00をマークし、全体2位のタイムで翌日の決勝に進出した。1994年広島大会の女子走幅跳で銅メダルを獲得したエルマ・ムロス英語版以来、フィリピン勢20年ぶりのメダル獲得を期待されたが、決勝は51秒47とタイムを落とし6位に終わった[10][11]

2015年

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6月9日の東南アジア大会 (en男子100m予選を10秒28(+0.3)のフィリピン新記録で突破すると、迎えた決勝はフィリピン記録を更に縮める10秒25(0.0)で制した[12]。翌日の男子400mハードル決勝ではChanon Keanchanの持つ大会記録(49秒76)を20年ぶりに更新する49秒40で2連覇を飾り、100mとの2冠を達成した[13]

8月22日の北京世界選手権男子400mハードル予選では50秒04の組6着に終わり[14]、2大会連続で予選敗退に終わった。

2016年

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2月19日のアジア室内選手権 (en男子60m準決勝で6秒57の大会新記録(当時)およびフィリピンタイ記録を樹立。決勝では6秒70とタイムを落としたものの、ハサン・タフティアン(6秒56)、レザ・ガセミ(6秒66)に次ぐ3位に入り、アジア地域の大会で初のメダルとなる銅メダルを獲得した[15]

室内の世界大会デビューとなった3月の世界室内選手権 (enでは、18日の男子60m予選を6秒64で突破。女子も含め60mではフィリピン勢初のセミファイナリストとなったが[注 1]、準決勝は6秒67とタイムを落とし敗退した[17]

6月23日のワールドチャレンジミーティングス・マドリード国際 (en男子400mハードルで自己ベストおよびフィリピン記録(49秒12)を更新する48秒98をマークし、48秒台に突入した[18]

オリンピックデビューとなった8月のリオデジャネイロオリンピックでは、15日の男子400mハードル予選を自己ベスト(48秒98)に迫る49秒05で突破し、この種目では初の世界大会セミファイナリストとなった(準決勝は49秒37で敗退)[19]

2017年

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7月8日のアジア選手権 (en男子400mハードル決勝を49秒57で制し、初のアジアチャンピオンに輝いた。この種目でのフィリピン勢の金メダル獲得は、1973年マニラ大会のAbdulkadir Guiapar以来44年ぶり、全ての種目を通じても2009年広州大会女子走幅跳のマレステラ・トレス以来8年ぶりの快挙となった[20]。また、クレイはロンドン世界選手権の参加標準記録(49秒35)をまだ破っていなかったが、今回の優勝によりエリアチャンピオンのワイルドカードを獲得した[21]

世界陸上では予選でフライングで失格となり、涙を流してピッチを去った。

人物・エピソード

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2015年東南アジア大会 (enの時に、戦時中を意味する上下逆さのフィリピン国旗が縫い付けられたユニフォームを着用したことで話題となった。サプライヤーのエラーによるものだったが、クレイと同じくアメリカ合衆国を拠点に活動しているカイラ・リチャードソン(Kayla Richardson)も気づかずにそのユニフォームを着用していた[22]

自己ベスト

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記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風を意味する。

種目 記録 年月日 場所 備考
屋外
100m 10秒25 (0.0) 2015年6月9日 シンガポールの旗 シンガポール フィリピン記録
200m 21秒25 (+0.1) 2017年3月25日 アメリカ合衆国の旗 エルパソ
110mH 14秒17 (+1.5) 2013年5月31日 フィリピンの旗 パシッグ 元フィリピン記録
400mH 48秒98 2016年6月23日 スペインの旗 マドリード フィリピン記録
室内
50m 5秒76 2017年1月27日 カナダの旗 サスカトゥーン 室内フィリピン記録
60m 6秒57 2015年2月14日
2016年2月19日
アメリカ合衆国の旗 アルバカーキ
カタールの旗 ドーハ
室内フィリピン記録
200m 21秒31 2015年2月13日 アメリカ合衆国の旗 アルバカーキ 室内フィリピン記録
400m 48秒28 2015年2月6日 アメリカ合衆国の旗 アルバカーキ
60mH 7秒86 2014年1月24日 アメリカ合衆国の旗 アルバカーキ 室内フィリピン記録

主要大会成績

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備考欄の記録は当時のもの

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2013 アジア選手権 インドの旗 プネー 110mH 予選 14秒31 (+0.3)
400mH 決勝 DNF 予選51秒83
世界選手権 ロシアの旗 モスクワ 400mH 予選 52秒45
東南アジア大会 (en ミャンマーの旗 ネピドー 110mH 6位 14秒34 (-0.3)
400mH 優勝 51秒29
2014 アジア室内選手権 (en 中華人民共和国の旗 杭州 60m 5位 6秒75 室内フィリピン記録
60mH 予選 8秒97
アジア大会 大韓民国の旗 仁川 400mH 6位 51秒47 予選50秒00:フィリピン記録
2015 東南アジア大会 (en シンガポールの旗 シンガポール 100m 優勝 10秒25 (0.0) フィリピン記録
400mH 優勝 49秒40 大会記録
世界選手権 中華人民共和国の旗 北京 400mH 予選 50秒04
2016 アジア室内選手権 (en カタールの旗 ドーハ 60m 3位 6秒70 準決勝6秒57:室内フィリピン記録・大会記録
世界室内選手権 (en アメリカ合衆国の旗 ポートランド 60m 準決勝 6秒67
オリンピック ブラジルの旗 リオデジャネイロ 400mH 準決勝 49秒37
2017 アジア選手権 (en インドの旗 ブバネーシュワル 400mH 優勝 49秒57
世界選手権 イギリスの旗 ロンドン 400mH 予選 DQ フライング
東南アジア大会 (en マレーシアの旗 クアラルンプール 100m 2位 10秒43 (0.0)
400mH 優勝 50秒03
4x100mR 3位 39秒11 (3走)
アジアインドアゲームズ (en トルクメニスタンの旗 アシガバート 60m 2位 6秒63
2018 世界室内選手権 イギリスの旗 バーミンガム 60m 予選 6秒81

脚注

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注釈

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  1. ^ これまでの最高成績は、男子が1999年大会でAlex Gabitoが記録した予選6組6着。女子が1985年大会と1997年大会でElma Murosが記録した予選3組4着と予選1組4着[16]

出典

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  1. ^ Cray confident of his Rio chances in 400-m”. Manila Standard (2016年7月26日). 2017年7月19日閲覧。
  2. ^ PH hurdler Eric Cray not intimidated by Olympic competition”. Rappler (2016年8月12日). 2017年7月19日閲覧。
  3. ^ Rio 2016: Eric Cray”. Rappler (2016年8月4日). 2017年7月19日閲覧。
  4. ^ Olympian Eric Cray training in El Paso before heading to Rio”. KVIA (2016年9月21日). 2017年7月19日閲覧。
  5. ^ a b Eric Cray Profile”. オクラホマ大学・アスレチックス (2012年). 2017年7月19日閲覧。
  6. ^ Eric Cray(Oklahoma)”. TFRRS (2017年7月19日). 2017年7月19日閲覧。
  7. ^ Rio 2016 Olympic Games athlete biographies - men (part 1) / Page M-33参照 国際陸上競技連盟 (PDF, 3.1 MB) 2017年07月17日閲覧
  8. ^ 第14回世界選手権男子400mハードル予選リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年7月19日). 2017年7月19日閲覧。
  9. ^ Phi Athletics Weekly Round Up February 2014 (Merged)”. PinoyAthletics.info (2014年2月16日). 2017年7月19日閲覧。
  10. ^ Eric Shauwn Cray breaks national record, enters 400m hurdles Asian Games finals”. Pinoy Headline dot Com (2014年10月1日). 2017年7月19日閲覧。
  11. ^ PH runner Cray finishes sixth in Asian Games 400m hurdles”. Rappler (2014年10月1日). 2017年7月19日閲覧。
  12. ^ Thailand dominate Southeast Asian Games; Maria and Nguyen Thi set Asian leading performances”. アジア陸上競技連盟 (2015年6月). 2017年7月19日閲覧。
  13. ^ SEA Games: Eric Cray breaks hurdles record to cop another gold for PHL”. GMAネットワーク (2015年6月10日). 2017年7月19日閲覧。
  14. ^ 第15回世界選手権男子400mハードル予選リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年7月19日). 2017年7月19日閲覧。
  15. ^ Eric Cray takes bronze medal in 60-meter dash in Asian Indoor Athletics Championship in Doha”. SPIN.ph (2016年2月21日). 2017年7月19日閲覧。
  16. ^ World Indoor Championships Portland 2016 Athletics Statistics Handbook / BEST NATIONAL PLACINGS (P.320とP.363参照) 国際陸上競技連盟 (PDF, 24.76 MB) 2017年07月18日閲覧
  17. ^ 2016年世界室内選手権男子60m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年7月19日). 2017年7月19日閲覧。
  18. ^ Record-setting Cray ‘confident’ heading to Rio”. Inquirer Sports (2016年6月26日). 2017年7月19日閲覧。
  19. ^ 第31回オリンピック男子400mハードル準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年7月19日). 2017年7月19日閲覧。
  20. ^ Eric Cray wins 400m hurdles gold at Asian Athletics meet”. Rappler (2017年7月9日). 2017年7月19日閲覧。
  21. ^ Eric Cray wins 400m hurdles gold at Asian championships”. The Filipino Connection (2017年7月9日). 2017年7月19日閲覧。
  22. ^ Flag flap spoils Fil-Ams’ moment of glory”. Inquirer Sports (2015年6月11日). 2017年7月19日閲覧。

外部リンク

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