コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

エラ (ヒト)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヒトエラとは下の角部の俗称である[1][2][3][4]

概要

[編集]

を顎先(おとがい)から後方に見ていくと、水平寄りだった下顎下縁が最後方で急激に垂直寄りへ移行する。この下顎の角部はエラと俗称される[1][3][4]。魚の(えら)に見立ててこの俗称がついたとされている。エラは骨・筋・腺などから構成され(#構造)、その形状は個人差が大きくまた輪郭へ大きな影響を与える(#形状)。

構造

[編集]

エラは下の後下部、の耳前部下方に相当する。ただしエラは俗称であり、厳密な解剖学的定義は存在しない[1][2]

エラは皮膚耳下腺咬筋下顎骨下顎角などから構成される[5]。板状の下顎骨下顎角が基礎としてあり、そのうえを分厚い咬筋が下顎骨下縁まで覆っている。咬筋の後ろ側から耳下腺が回り込んでおり、高さによっては咬筋を覆っている。これらの間隙には脂肪層が存在し、最外層は皮膚に覆われている。

形状

[編集]

エラは下曲率が大きく変わる箇所であるため、その形状は輪郭へ大きな影響を与える[6]。事故等によりエラ内部の下顎骨下顎角が欠損すると輪郭は大きく歪む[7]。輪郭は容貌を大きく左右するため、顔面再建や美容整形においてエラの形状は重視される[5][3]

エラが発達していることは「エラが張っている」と表現される[8][2]。英語での類似表現には Square Mandible(四角い下顎)がある[9]

エラの形状には大きな個人差がある。その要因は多様であり、下顎骨下顎角の過形成や咬筋の発達、耳下腺の膨隆や肥満による脂肪厚の増加などが挙げられる[9][10]

脚注

[編集]

注釈

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b c "下顎角部の肥大、いわゆる「エラ」" 荻野 2021, p. 131 より引用。
  2. ^ a b c "下顎形態の変形のうち下顎角部突出症(いわゆるえらが張っている状態)" p.273 より引用。蓮見. (1996). 正貌顔面規格写真を用いた日本人成人下顎形態の計測学的研究 ―下顎角部突出について―. 昭和医学会雑誌, 56 巻 3 号 pp. 273-287. doi: 10.14930/jsma1939.56.273.
  3. ^ a b c "原告は,下顎角(エラ)がやや張りがちできつい印象を与えることを和らげるため,これを被告に相談したところ,下顎角形成術(エラ削り術)を勧められたため" 以下より引用。名古屋地方裁判所. (2007). 下級裁裁所 裁判例速報 平成16(ワ)4918.
  4. ^ a b "下顎角(あごのえらの部分)" 以下より引用。神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科. 顎関節症に対する治療. 医局だより. 2024-09-18閲覧.
  5. ^ a b "美容領域においては顕著な咬筋による下顎角部の肥大、いわゆる「エラ」の減少による小顔効果や顔貌の改善目的で行われることが多い ... 顔面の容貌や感覚に影響しているため、美容医療において重要な要素になっている" 荻野 2021, p. 131 より引用。
  6. ^ "オトガイ結節や下顎角など輪郭の曲率が大きくなる部位 ... オトガイ結節や下顎角を再現しない再建を行うと,局所の変形や輪郭非対称の原因となる可能性がある。" p.413 より引用。橋川. (2008). がん切除後下顎骨区域欠損の新しい分類法「CAT分類」―第1報 その概念と分類の実際―. 頭頸部癌34 巻 3 号 p. 412-418.
  7. ^ "下顎骨における輪郭点である ... 下顎角 ... A 点と定義する ... 腫瘍切除や外傷などによってこれらの輪郭点が欠損すると,しばしば著明な形態変化が後遺することになる。" p.57-59 より引用。橋川. (2014). 下顎再建におけるCAT分類とCATコンセプト. 日本口腔腫瘍学会誌 26 巻 3 号 p. 57-62
  8. ^ "咬筋の発達したローアングルケース(一般にエラの張った顔)" 以下より引用。上岡. (2014). 筋形成抑制因子ミオスタチンの骨リモデリングに対する関与について. 科学研究費助成事業データベース.
  9. ^ a b "両側の咬筋部と下顎角部が膨隆し角ばった顔貌いわゆる Square-Mandible" p.9 より引用。岡田. (2008). Square-Mandible顔貌を伴う開口制限の1例. 歯科放射線 2008;48(1):8-11.
  10. ^ "下顎角形成術 本手術は本来,咬筋肥大とそれに伴う下顎角過形成の形態改善に適応される。" p.47 より引用。井上. (2009). 咀嚼筋腱・腱膜過形成症の治療. J. Jpn. Soc. TMJ 21(1):46~50.

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]