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エボシダイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エボシダイ属から転送)
エボシダイ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: エボシダイ科 Nomeidae
: エボシダイ属 Nomeus
: エボシダイ N. gronovii
学名
Nomeus gronovii
(Gmelin1788)
和名
エボシダイ (烏帽子鯛)
英名
Man-of-war fish
bluebottle fish

エボシダイ(学名:Nomeus gronovii)は、スズキ目エボシダイ科に属する海水魚エボシダイ属 (Nomeus) は単型[2]大西洋東部と地中海を除く世界中の温帯熱帯の海に分布する。幼魚はカツオノエボシ触手の中で生活し、触手と生殖器を食べる。漁業の対象ではない。

分類・名称

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種小名はオランダ動物学者であるLaurentius Theodorus Gronoviusへの献名[3]。英名のMan-of-war fishは、稚魚から幼魚期にカツオノエボシ(Man-of-war)の触手の間で生活することに由来する。

形態

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細長い体と大きな目、大きな腹鰭、青黒色の縞とまだら模様、二叉型の尾鰭が特徴[4]。体長は39cmに達する[2]。背鰭は二基あり、合計で9 - 13棘と24 - 28軟条から、臀鰭は1 - 2棘と24 - 29軟条から成る[2]椎骨は41個[2]

生態

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成魚は大きな群れを形成し、寿命は5年。大西洋太平洋インド洋に分布し、幼魚は表層に、成魚は水深200 - 1,000 mの外洋の深海に生息する[5]。太平洋とインド洋で多く見られるが、大西洋東部では少ない。日本では幼魚が太平洋沿岸で見られる[5]

稚魚から幼魚期にかけてはカツオノエボシなどのクラゲ類と共生することが知られているが、本種がクラゲの体の一部を食べたり、逆にクラゲが本種を食べることがあるため、この共生関係が互いにとってどのような利益があるのかは不明である。本種がカツオノエボシの触手の間を住みかとすることができるのは、カツオノエボシの刺胞の毒に一定の耐性を持ち、基本的に素早く触手を避けるためである[6]

椎骨が多いため敏捷性は高い。主に胸鰭を使って泳ぐが、これは狭い場所での遊泳に特化した結果である。複雑な皮膚とカツオノエボシの毒素に対する少なくとも1つの抗原を持つ。カツオノエボシの毒素に対する耐性は他の魚の10倍以上あるが、大型の触手に刺されることがあるため避けている[6]。小型の触手には刺されないようで、本種は頻繁に小型の捕食を捕食している[6]

放卵し、受精することで繁殖する。卵と幼魚は外洋に特化している。産卵数は100から1000。受精卵は4 - 5日で孵化する。

シノニム

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  • Gobius albula Meuschen, 1781 (ambiguous)
  • Gobius gronovii J. F. Gmelin, 1789
  • Eleotris mauritii Bloch & Schneider, 1801
  • Nomeus mauritii (Bloch & J. G. Schneider, 1801)
  • Nomeus maculosus Bennett, 1831
  • Nomeus peronii Valenciennes, 1833
  • Nomeus maculatus Valenciennes, 1840
  • Nomeus oxyurus Poey, 1860
  • Nomeus dyscritus Whitley, 1931

出典・脚注

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  1. ^ Dooley, J.; Collette, B.; Aiken, K.A. et al. (2015). Nomeus gronovii. IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T16545183A103978497. https://www.iucnredlist.org/species/16545183/103978497. 
  2. ^ a b c d Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Nomeus gronovii" in FishBase. January 2024 version.
  3. ^ Biographical Etymology of Marine Organism Names. G”. Hans.G.Hansson. 23 January 2024閲覧。
  4. ^ Ramsawak, Stephanie (9 March 2016). “Nomeus gronovii (Man-of-war Fish)”. 2024年1月23日閲覧。
  5. ^ a b 中坊(2018).
  6. ^ a b c Jenkins, R. L. (1983): Observations on the Commensal Relationship of Nomeus gronovii with Physalia physalis. Copeia, Vol. 1983, No. 1 (Feb. 10, 1983), pp. 250–252

参考文献

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  • 中坊徹次『小学館の図鑑Z 日本魚類館』小学館、2018年、328頁。ISBN 978-4-09-208311-0 

関連項目

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