コバネイナゴ
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(エゾイナゴから転送)
コバネイナゴ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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メス(左)とオス(右)(大阪、2007年11月7日)
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Oxya yezoensis Shiraki, 1910 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コバネイナゴ(小翅稲子) エゾイナゴ(蝦夷稲子) |
コバネイナゴ(小翅稲子、学名:Oxya yezoensis)は、バッタ目バッタ科に分類されるイナゴの一種。エゾイナゴ(蝦夷稲子)[1]ともいう。
分布
[編集]日本(北海道、本州、四国、九州、対馬、種子島、屋久島、トカラ列島、奄美大島、沖縄本島、慶良間諸島、石垣島)、台湾[1]。
形態
[編集]成虫の体長はオスが28-34ミリメートル、メスが40ミリメートルほど。
体色は明るい緑色で、側面には黒色の線が頭部から尾部まで走っている。背中は肌色、または緑色、まれに紅色。
名の通り翅は短く、腹端を越えない場合が多いが、長翅型のものも見られる。
生態
[編集]本来はヨシなどの生えた湿った環境を好み、イネ科植物の葉を食べる。そのため水田に多く生息し、イネの葉を食べるので農業害虫として扱われる。また水田のみならず、郊外の草むらなどにも生息する。
成虫は7月ごろから現れ始め、11月から12月頃までみられる。
卵で越冬する。卵は卵嚢にくるまれており、他のバッタの卵嚢より泡が細かく、堅い。これは元々の生息地である沼地の土壌が冬の間乾燥に晒されるなど激しい乾湿の差に適応したものと思われ、他のイナゴ属よりも乾燥に強く、乾き気味の草原で他のバッタ類との混生も見られる。
天敵の存在を感じると、止まっている草などの反対側に回り込んで身を隠そうとする習性がある。比較的逃げ足は早い。跳躍力に優れ、また長翅型は飛ぶこともできる。
利用
[編集]地方によっては佃煮などで食用になる。食感の悪い翅の部分が短いため、同じイナゴ亜科の中でも最も美味とされる。
近縁種
[編集]- コイナゴ O. hyla intricata(Stål,1861)
- O. hylaの亜種ではなく、学名をO. intricataとして独立種とする向きもある。
- ニンポーイナゴ O. ningpoensis(Chang,1934)
- ハネナガイナゴ O. japonica japonica(Thunberg,1824)
- 東北地方から奄美群島まで分布し、名のとおり常に翅が長く後ろに突き出る。一見ではコバネイナゴと区別がつかないので、正確な同定には交尾器などの詳細な観察が必要である。
- 同属の他種と比べて群れる傾向が強く、雄雌、成虫幼虫問わず数匹から数十匹が1本の茎に群がっていることもある。
- チョウセンイナゴ O. sinuosa(Mistshenko,1951)
- タイワンハネナガイナゴ O. chinensis(Thunberg,1815)
- タイワンコバネイナゴ O. podisma(Karny,1915)
- コバネイナゴ(O. yezoensis)のシノニムとする向きもある。
- オガサワライナゴ O. ogasawarensis(Ichikawa,2001)
脚注
[編集]- ^ a b “日本産昆虫学名和名辞書(DJI)”. 昆虫学データベース KONCHU. 九州大学大学院農学研究院昆虫学教室. 2011年11月2日閲覧。
参考文献
[編集]- 宮武頼夫・加納康嗣編著『検索入門セミ・バッタ』保育社、1992年、54頁。ISBN 4-586-31038-3。
- 市川顕彦 著「日本の鳴く虫一覧:直翅目」、大阪市立自然史博物館・大阪自然史センター編著 編『鳴く虫セレクション : 音に聴く虫の世界』東海大学出版会〈大阪市立自然史博物館叢書〉、2008年、246-321頁。ISBN 978-4-486-01815-5。
- 福田晴夫ほか『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 : 野山の宝石たち』(増補改訂版)南方新社、2009年、132頁。ISBN 978-4-86124-168-0。
- 村井貴史、伊藤ふくお『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』日本直翅類学会監修、北海道大学出版会、2011年、390頁。ISBN 978-4-8329-1394-3。
- 市川顕彦 「イナゴの話」『NUE』10号、環境科学株式会社、2001年。