イル・フロッタント
イル・フロッタント(フランス語: îles flottantes)はフランスのデザート。メレンゲに火を通して固めたものをクレーム・アングレーズに浮かべたデザートである[1][2]。
なお、イル・フロッタントは浮かべるメレンゲが1個のときの名称で、2個以上の場合はウ・ア・ラ・ネージュ(œufs à la neige)と呼ばれる[1]。
概要
[編集]「イル・フロタント」はフランス語で「浮島」の意であり、クリームにメレンゲがひとつだけ浮かんでいる盛り付け方なら名づけられている[1][2]。
「ウ」は「卵」の複数形[3]。「ネージュ」はフランス語で「雪」の意であり、卵白を泡立てた状態を表すときにも用いられる[1]。日本では泡雪卵と表記されることもある[1][3]。
ウー・ア・ラ・ネージュ[3][4]、ウフ・ア・ラ・ネージュ[5][6]とも。
類似料理
[編集]歴史
[編集]フランソワ・ピエール・ド・ラ・ヴァレンヌが1651年に刊行した料理本『フランスの料理人( Le Cuisinier françois)』には、ウ・ア・ラ・ネージュのレシピが掲載されている[3][4]。現代のレシピとの違いは、メレンゲの作り方が現在のイタリアンメレンゲに近いものになっている点が挙げられる[4]。
イル・フロッタントは、19世紀後半にオーギュスト・エスコフィエが考案した[3][4]。
なお、エスコフィエのイル・フロッタントは、古くなったビスキュイ・ド・サヴォワを薄切りにし、キルシュヴァッサー、マラスキーノを浸み込ませ、アプリコットジャムを塗ってレーズンと刻んだアーモンドを散らしたものを重ね合わせて元のビスキュイ・ド・サヴォワの形にし、クレーム・シャンティで覆ってピスタチオとレーズンを表面に貼り付けたものを器に乗せ、カスタードソースかラズベリーのシロップを注いだものである[4]。
エスコフィエのイル・フロッタントは時代の流れとともに廃れ、ウ・ア・ラ・ネージュの別名となった[4]。
出典
[編集]- ^ a b c d e “ウ・ア・ラ・ネージュ”. .tsuji. 2024年11月17日閲覧。
- ^ a b レイチェル・クー、多田 千香子翻訳「イル・フロッタント」『パリの小さなキッチン』翔泳社、2014年、236頁。ISBN 978-4798134741。
- ^ a b c d e 山本ゆりこ(監修)「ウー・ア・ラ・ネージュ(フランス)」『小さなお菓子の本』リベラル社〈小さな本シリーズ〉、2023年、72頁。ISBN 978-4434329975。
- ^ a b c d e f 山本ゆりこ「ウー・ア・ラ・ネージュ」『フランス伝統菓子図鑑 お菓子の由来と作り方: 定番菓子から地方菓子まで132種を網羅した決定版』誠文堂新光社、2019年、95頁。ISBN 978-4416519646。
- ^ “ウフ・ア・ラ・ネージュ”. グレーテルのかまど. NHK教育テレビジョン (2024年6月10日). 2024年11月17日閲覧。
- ^ “ふわふわ雲を食べるお菓子♪ウフアラネージュ”. macaro-ni. 2024年11月17日閲覧。
- ^ ドゥアルテ智子「ファロフィアシュ」『ポルトガル菓子図鑑 お菓子の由来と作り方 :ルーツは修道院。知っておきたいポルトガル菓子101選』誠文堂新光社、2019年、85頁。ISBN 978-4416719145。