ウグルナールク
ウグルナールク Ugrunaaluk | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ugrunaaluk kuukpikensis
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
後期白亜紀 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ugrunaaluk Mori, et al., 2015 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
ウグルナールク[1]またはウルグナアルク[2](学名:Ugrunaaluk)は、サウロロフス亜科に属する恐竜。アラスカ州の北極圏で発見された。アラスカで見つかったエドモントサウルスとされる事があるのはこの動物のことである。本属は現在のところウグルナールク・クークピケンシス Ugrunaaluk kuukpikensis 一種のみを内包する[3][4][5]。属名はアラスカの先住民族イヌイットの言葉で「太古の草食動物」 を意味する。模式種の種小名はクークピク kuukpik というアラスカの地名に因む。
発見と命名
[編集]1980年、アラスカのコルビル川リスコム・ボーンベッドにあるウミアト Umiat で6000本以上ものハドロサウルス類の骨が見つかった。最初にそれらはランベオサウルス亜科のものであると考えられた[6]。後にサウロロフス亜科のエドモントサウルス属と改められた。より細かく言えば、エドモントサウルス・レガリス Edmontosaurus regalis と特定された[7]。 ほとんどの骨が幼い個体のものだったので正確な同定ができなかったのだ。2014年、森浩嗣は、アラスカの標本とエドモントサウルス・アンネクテンス Edmontosaurus annectens の骨とを統計学的に比較し、両者は別々の属のものであると結論づけた[8]。
新属の発見は2015年9月22日に、森、ドラッケンミラー、グレゴリー・エリクソンらによって記載論文が発表された[9]。ウグルナールクは2015年にオープンアクセスのフリージャーナルで記載された18の恐竜のタクサのうちの1つである[10]。
分類の有効性
[編集]ウグルナールクの独自性は属を分けるほどではないのではないかという意見が2017年、Hai Xing と学生らによって提示された。Xing et al. (2017)では、ウグルナールクは既知のエドモントサウルスでないが、エドモントサウルス属内の新種であり、疑問名であると主張された[11]。
その後Takasaki et al. (2020)はエドモントサウルスからウグルナールクを区別する特徴が個体成長に依存することを指摘し、ウグルナールク属をエドモントサウルス属のジュニアシノニムとした[12]。またTakasaki et al. (2020)は既知のエドモントサウルスとの間で長い上顎骨という差異が見られると言及しているが、この特徴はLaiyangosaurus youngiにも存在するため、独立した種として分類することの妥当性に疑問が残るともしている[12]。なおこの研究により、エドモントサウルスが古緯度70°付近という従来知られていた範囲内よりも北方から産出したことになり、エドモントサウルスの分布域が広範であったこと、またその骨格形態が緯度に伴う環境の差異に大きく影響を受けなかったことが考えられている[12]。
出典
[編集]- ^ 『北極圏の植物食性恐竜・エドモントサウルスの全貌が明らかに ~日本に恐竜が渡るまで~』(プレスリリース)北海道大学、岡山理科大学、2020年5月7日 。2024年5月21日閲覧。
- ^ “じつに奇抜な「トサカ」。残念ながら、新種の証拠にはならなかった…なんと、日本の研究チームが判明させた「アラスカを闊歩した越冬恐竜の本当の名前」”. 小林快次 (2024年5月15日). 2024年5月21日閲覧。
- ^ Bakalar, Nicholas (28 September 2015). “New Dinosaur Species That Lived Above Arctic Circle Is Discovered”. New York Times 1 October 2015閲覧。
- ^ “Fossils of new duck-billed, plant-eating dinosaur species found in Alaska, researchers say”. Associated Press via US News. 23 September 2015閲覧。
- ^ “New dinosaur species may have left tracks in the snow”. CBS News. 23 September 2015閲覧。
- ^ Brouwers, E.M., Clemens, W.A., Spicer, R.A., Ager, T.A., Carter, L.D., and Sliter, W.V., 1987, "Dinosaurs on the North Slope, Alaska: High latitude, latest Cretaceous environments". Science 237: 1608–1610
- ^ Xing, H., Zhao, X., Wang, K. Li, D., Chen, S., Jordan, C.M., Zhang, Y and Xu, X., 2014, "Comparative Osteology and Phylogenetic Relationship of Edmontosaurus and Shantungosaurus (Dinosauria: Hadrosauridae) from the Upper Cretaceous of North America and East Asia", Acta Geologica Sinica 88: 1623–1652
- ^ Mori, H., 2014, Osteology, Relationships And Paleoecology Of a New Arctic Hadrosaurid (Dinosauria: Ornithopoda) From the Prince Creek Formation Of Northern Alaska. Unpublished Ph.D. thesis, University of Alaska Fairbanks, Fairbanks 333 pp
- ^ Mori, Hirotsugu; Druckenmiller, Patrick S. & Erickson, Gregory M. (2015). “A new Arctic hadrosaurid from the Prince Creek Formation (lower Maastrichtian) of northern Alaska”. Acta Palaeontologica Polonica (In press). doi:10.4202/app.00152.2015 .
- ^ “The Open Access Dinosaurs of 2015”. PLOS Paleo. 2016年6月16日閲覧。
- ^ Xing, H.; Mallon, J.C.; Currie, M.L.. “Supplementary cranial description of the types of Edmontosaurus regalis (Ornithischia: Hadrosauridae), with comments on the phylogenetics and biogeography of Hadrosaurinae”. PLoS ONE 12 (4): e0175253. doi:10.1371/journal.pone.0175253 2017年6月16日閲覧。.
- ^ a b c Ryuji Takasaki; Anthony R. Fiorillo; Ronald S. Tykoski; Yoshitsugu Kobayashi (2020). “Re-examination of the cranial osteology of the Arctic Alaskan hadrosaurine with implications for its taxonomic status”. PLoS ONE 15 (5). doi:10.1371/journal.pone.0232410 .