コンサルティング
コンサルティング (英: consulting) とは、企業(まれに行政など公共機関)などの役員(特に経営者)に事業継続のための解決策や方針を示す業務。コンサルティングを行う企業を、コンサルティングファームと呼ぶ。発祥はアメリカ合衆国[1]。
概要
[編集]企業・機関の相談を受け、経営戦略・事業開発・業務開発などで抱える課題に指導や企画・立案を行い、成長へと導く仕事である[2]。2021年~2022にはコンサルしか知らなかった情報のコモディティ化・コロナ禍におけるデジタルトランスフォーメーションの進行の影響を受けている。他にもコンサルティングファームは人員を大幅に増やしているが、事業内容の比重は解決策提案から「解決策の実行支援」となってきているため、コンサルタントという肩書を持っていても戦略提案を担えず実行支援以降のフェーズしか経験のない者が増えている課題がある[3]。
用語
[編集]- 3C 顧客 (Customer)・競合 (Competitor)・自社 (Company) の3つからビジネスを捉えて戦略を練ること。
- 4P 製品 (Product)・価格 (Price)・販売チャネル (Place)・プロモーション (Promotion)の4つの視点からマーケティング戦略を捉えること。
- PD(project development) 営業のこと。単に「development」と呼ぶこともある。成約は「Confirm」と呼ぶ。
- アウトプット (output) 成果物のこと。
- アサイン (assignment) プロジェクトメンバー割当のこと。
- フレームワーク (framework) 物事を考える際の枠組・構造。
- メソドロジー (methodology) 方法論のこと。
- アジェンダ (agenda) 議題や会議の事項、またはその備忘録のこと。
- スパン (span) 期間。
- タスク (task) 課せられた作業のこと。
- リソース (resource) 資源や資産。主として人的な資産を指す。
- リリース (release) プロジェクトから外されること。
- コンテンツ (content) 情報的な内容のこと。
役職
[編集]一般に、コンサルティングファームでは、一般企業で使うタイトル(課長、部長といったもの)は使用されず、以下のような独特な人事タイトルで階級づけを行う。しかし、会社ごとにタイトルの階級は異なる。 例えば、IT企業で「アナリスト」は上級のプロジェクトマネージャーを指すが、コンサルティング業界では入門クラスの名称として使われる。
- アナリスト、リサーチャー、プランナー (一般社員クラス)
- シニアアナリスト (主任クラス)
- アソシエイト、コンサルタント(課長補佐、係長クラス)
- シニアコンサルタント、アシスタントマネジャー (課長クラス)
- マネジャー (次長、部長代理クラス)
- シニアマネジャー、ディレクター (部長、室長クラス)
- アソシエイトパートナー、プリンシパル (事業本部長クラス)
- ヴァイスプレジデント、パートナー(取締役、局長クラス)
種類
[編集]経営コンサルティング
[編集]M&A・他業種進出/撤退・資産流動化・分社化・社内カンパニー制・組織改革・新規事業開発・新商品開発など。経営コンサルタントを参照
業務コンサルティング
[編集]財務・税務・法務・コスト削減・人事・営業・調達・研究・生産・物流・環境・マーケティング・IT・生産性向上・技術(建設・都市計画・空間情報・上下水道・地質・農業土木・造園・ランドスケープ・森林・林業・林業経営・建築・補償・再開発・積算・環境)・観光・食品・外食・アパレル・機械・電気・流通・製造・不動産・物流・運輸・通信・金融・医療など。
批判・問題点
[編集]- 「企業の業績拡大、経営改革には不可欠」との意見もあり、経営陣に代わって企業の舵取りをしているコンサルタントも少なくないものの、特殊な事例に基づいた理論で企業組織が複雑化し、従業員は酷使される一方で、コンサルティング料で潤ったコンサルタントたちは、「エクセルのスプレッドシートや、見かけ倒しの方法論や、人を煙に巻く専門用語や鼻持ちならない傲慢さで武装」「数々の経営神話をでっちあげ、世間に広め」続けているとの批判がある[4]。
- 経営コンサルタント日沖健[5]によると経営者が経営での問題をコンサルタントに相談するというのが本来の業務であるが、他にも日本政府の審査が甘くなったため、事業承継支援(など公的支援)では「コンサルタントが補助金をエサに経営者に売り込む」という逆転現象が起きていて、「事業承継支援」が補助金でバブル化している問題が起きている。「事業承継」への補助金申請の採択率が、導入初年度の平成29年度は11%のみときちんと審査が行われたが、国が事業承継対策に力を入れ出した平成30年度以降から73~82%と劇的に甘くなって、バラマキ状態なことが背景にある。そして、コンサルティング業の発祥であるアメリカでは起業家や投資銀行家のが人気であるが、日沖によると日本では東大などトップ校学生に外資系コンサルファームが人気となっている日本特有のバブル現象が起きている。[1]。
- 経営陣がコンサルタントの役に立たない経営理論に振り回される問題点がある。大企業でさえ、経営理論によってボロボロにされるケースがあり、ファイザーは、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が重要な競争優位をもたらすと主張した「差別化戦略」(大型新薬開発に特化)を実践したにもかかわらず、新薬開発に失敗し続け、株価は42ドルから2008年の株式市場の暴落以前よ17ドルにまで下落してしまった。2001年末に経営破綻したエンロンでは、コンサルティングファームのマッキンゼーによって導入させられたスター制度で見られるように、コンサルタントが割高なことやコンサルトされた会社を破綻させることも問題になっている。コンサルティングファームが主張する「最先端の経営理論」の多くは、個々でたまたま成功しただけの事例であり、他の企業でも成功するとは限らないのに、コンサルタントが特殊な事例を素晴らしい理論かのように持ち上げ、法外なコンサルティング料で売り込み続けている問題がある[4]。
- 本来の性質上、外資系のコンサル会社は、特にアメリカにおいては、軍や中央情報局(CIA:諜報機関)、外交問題評議会といった組織と関係のある幹部やメンバーが少なくなく、これらの組織からの委託業務も多いと言われる。[6]
脚注
[編集]- ^ a b “コンサルばかり儲けさせる「国の補助金」の問題”. 東洋経済オンライン (2020年1月20日). 2024年4月20日閲覧。
- ^ “コンサルティング業界とは?仕事内容や将来性について | 船井総研 採用サイト”. recruit.funaisoken.co.jp. 2024年4月20日閲覧。
- ^ “【2021年~2022年】コンサル業界の最新動向|コンサル&ポストコンサル転職”. コンサル&ポストコンサル転職|コンコードエグゼクティブグループ. 2022年9月25日閲覧。
- ^ a b 編集部. “経営コンサルが企業を滅ぼす…法外料金、役に立たない理論 敏腕コンサルが暴露”. ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る. 2022年5月11日閲覧。
- ^ “日沖 健 プロフィール”. 文春オンライン. 2024年4月20日閲覧。
- ^ Jonathan Feldman (1989). Universities in the business of repression: The Academic-military-industrial. South End PressISBN:0896083543