ウィーン市電E1形電車
ウィーン市電E1形電車 | |
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E1形(4547、2010年撮影) | |
基本情報 | |
製造所 | ローナー・ロータックス、シメリンク・グラーツ・パウカー(SGP) |
製造年 | 1966年 - 1976年 |
製造数 | 338両(4461 - 4560、4631 - 4868) |
運用開始 | 1967年 |
投入先 |
ウィーン市電 ロッテルダム市電、クラヨーヴァ市電、ミシュコルツ市電、クラクフ市電、シレジア・インターアーバン、グラーツ市電、ブライラ市電(譲渡先) |
主要諸元 | |
編成 | 2車体連接車、片運転台 |
軌間 | 1,435 mm |
車両定員 | 151人(着席33人) |
車両重量 | 24.11 t |
全長 | 20,335 mm |
車体長 | 19,771 mm |
全幅 | 2,236 mm |
全高 | 3,200 mm |
床面高さ | 890 mm |
固定軸距 | 1,800 mm |
台車中心間距離 | 6,000 mm |
主電動機 | WD 785 |
主電動機出力 | 150 kw |
出力 | 300 kw |
制御方式 | 抵抗制御方式 |
制動装置 | 発電ブレーキ、ドラムブレーキ、電磁吸着ブレーキ、手ブレーキ |
備考 | 主要数値は[1][2][3][4][5][6]に基づく。 |
E1形は、かつてオーストリアの首都・ウィーンの路面電車であるウィーン市電に導入された車両。従来の車両を改良した形式で、330両以上の大量導入が実施され、50年以上もの長期に渡って使用された。廃車後は複数の車両が国内外の路面電車に譲渡され、一部は2023年現在も営業運転に用いられている[1][2][3][4][7]。
概要
[編集]ドイツの鉄道車両メーカーであったデュワグ(現:シーメンス)が展開していた路面電車車両(デュワグカー)をオーストリアの各企業がライセンス生産した形式。先に導入されていたE形と同様の片運転台・片方向型の2車体連接車だが電気機器が異なり、後述のように付随車を連結する運用を組む事から出力150 kwの主電動機が用いられた他、一部車両は製造当初から速度に適正な段数を自動的に選択する半自動制御システム(GEAMATIC)を搭載しており、他の車両も1990年代に同様の機器を搭載した[3][2]。
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車内
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車内(「ウィーン・リング・トラム])
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運転台
全338両のうち、ローナー・ロータックス(Lohner/Rotax)は1967年 - 1976年に100両(4461 - 4560)、シメリンク・グラーツ・パウカー(SGP)は1966年 - 1976年に238両(4631 - 4868)を製造した。これらのうち、1971年以降に製造された車両については信用乗車方式に対応した車内レイアウトになっており、それ以前の車両についても後年に同様の改造を受けた[3][8]。
1967年1月の営業運転開始以降、E1形は長期に渡ってウィーン市電の主力車両として使用され、同時期に生産されていた付随車のc3形やc4形を後方に連結する運用も多く組まれた。2000年代からは超低床電車のULF(A形・B形)の増備に伴い廃車が行われ、多くの車両は後述の通り他都市への譲渡が行われた。一方でウィーン市電に残存した車両については2008年から2009年にかけて乗降扉の可動装置の圧縮空気式から電動式への交換やバックミラーの設置など安全性を高める改造を受けた他、2009年には2両(4866、4867)が観光系統「ウィーン・リング・トラム(Vienna Ring Tram、VRT)」で使用される事となり、塗装変更や内装の改造工事が実施された。しかし、これらについてもフレキシティ・ウィーン(D形)の導入により置き換えが進み、2023年1月をもって「ウィーン・リング・トラム」を除き営業運転から撤退した[8][4][5][9][10][11]。
ギャラリー
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1969年撮影
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1972年撮影
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1978年撮影
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1981年撮影
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1994年撮影
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1999年撮影
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2005年撮影
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2006年撮影
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2009年撮影
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2010年撮影
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2010年撮影
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2013年撮影
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2017年撮影
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2018年撮影
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2018年撮影
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2020年撮影
譲渡
[編集]廃車となったE1形には解体、もしくは各地で保存された車両が存在する一方、2001年以降は以下のようにオーストリア国内外の路面電車路線への譲渡も実施されている[3][4]。
- オランダ:ロッテルダム(ロッテルダム市電)- 一部車両はルーマニア:クラヨーヴァ(クラヨーヴァ市電)へ再譲渡。
- ハンガリー:ミシュコルツ(ミシュコルツ市電)
- ポーランド:クラクフ(クラクフ市電)[2]
- ポーランド:カトヴィツェ(シレジア・インターアーバン)
- オーストリア:グラーツ(グラーツ市電)
- ルーマニア:ブライラ(ブライラ市電)
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クラヨーヴァ市電(クラヨーヴァ)
(2007年撮影) -
ミシュコルツ市電(ミシュコルツ)
(2014年撮影) -
クラクフ市電(クラクフ)
(2012年撮影) -
シレジア・インターアーバン(カトヴィツェ)
(2015年撮影) -
グラーツ市電(グラーツ)
(2007年撮影) -
ブライラ市電(ブライラ)
(2009年撮影)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b “Die Museumsfahrzeuge der Sammlung „Wiener Tramwaymuseum“”. Wiener Tramwaymuseum. 2023年2月20日閲覧。
- ^ a b c d “Wagony E1,C3”. MPK Kraków. 2023年2月20日閲覧。
- ^ a b c d e Wolfgang Kaiser (2016-5-18). Straßenbahn in Österreich: Alle aktuellen und ehemaligen Betriebe Kindle Ausgabe. GeraMond Verlag. ISBN 978-3956130168 2023年2月20日閲覧。
- ^ a b c d Jens Bernhardt (2020年2月26日). “More Bombardier Flexity Wien trams in service in Vienna – the end of the classic E1 trams?”. Urban Transport Magazine. 2023年2月20日閲覧。
- ^ a b “Beipacktext Wiener Tram E1 Der Wiener E1”. Halling. 2023年2月20日閲覧。
- ^ Georg Rigele 2000, p. 101.
- ^ “Schienenfahrzeuge der WIENER LINIEN”. Wiener Linien. 2023年2月20日閲覧。
- ^ a b Rudolf Koller (2021年1月19日). “Österreich: Planeinsatz der Wiener Wagentype E1 neigt sich dem Ende zu”. LOKReport. 2023年2月20日閲覧。
- ^ “Straßenbahnen in Wien: Sicherheit beim Ein- und Aussteigen”. APA-OTS (2008年5月28日). 2023年2月20日閲覧。
- ^ Martin Staudinge (2022年6月29日). “Nachruf auf eine Legende Ein letztes "Bim!"”. FALTER.at. 2023年2月20日閲覧。
- ^ “Vienna Ring Tram”. Visiting Vienna. 2023年2月20日閲覧。
参考資料
[編集]- Georg Rigele (2000-2). “Womit die Wienerinnen und Wiener fahren”. ÖZG (11): 93-124 2023年2月20日閲覧。.