イースター (アルバム)
『イースター』 | ||||
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パティ・スミス・グループ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | ニューヨーク レコード・プラント・スタジオ、ニュージャージー州ウェスト・オレンジ ザ・ハウス・オブ・ミュージック[1] | |||
ジャンル | パンク・ロック、ニュー・ウェイヴ | |||
時間 | ||||
レーベル | アリスタ・レコード | |||
プロデュース | ジミー・アイオヴィーン | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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パティ・スミス・グループ アルバム 年表 | ||||
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『イースター』(Easter) は、アメリカ合衆国のシンガーソングライター、パティ・スミスが1978年に「パティ・スミス・グループ」名義で発表したスタジオ・アルバム。スミスのアルバムとしては通算3作目に当たる。
背景
[編集]スミスは1977年1月、ボブ・シーガーのオープニングアクトとして出演したタンパ公演でステージから転落し、頚椎などの骨折に加えて頭を22針縫うほどの重傷を負った[8]。そして、スミスは敢えて厳しい理学療法を受け、復活祭の日曜日までに回復することを心に誓って、その頃に「イースター」と題された詩を書いた[8]。
本作のレコーディングは1977年11月に開始され、ブルース・スプリングスティーンのアルバムでレコーディング・エンジニアを務めたジミー・アイオヴィーンがプロデューサーに起用された[8]。そして、その縁からアイオヴィーンはスミスに、スプリングスティーンの未発表曲を取り上げることを進言し、スミスは当初乗り気でなかったが、最終的には「ビコーズ・ザ・ナイト」を取り上げた[8]。なお、スミス自身は当初、「ロックン・ロール・ニガー」をタイトル曲および第1弾シングルにしようと考えていた[8]。
スミスの腋毛が露出したジャケット写真はリン・ゴールドスミスが撮影したが、レーベル側は腋毛を修正するよう要求したという[8]。
リマスターCDボーナス・トラックの「ゴッドスピード」は、シングル「ビコーズ・ザ・ナイト」のB面曲で、当時のシングルでは「God Speed」と表記されていた[9]。
反響
[編集]スミスは本作でセールス的に大きな成功を収めた。母国アメリカのBillboard 200では20位に達して自身初の全米トップ40アルバムとなり[4]、シングル「ビコーズ・ザ・ナイト」はBillboard Hot 100で13位を記録した[8][10]。イギリスではスミス初の全英アルバムチャート入りを果たし、14週トップ100入りして最高16位を記録し[3]、全英シングルチャートでは「ビコーズ・ザ・ナイト」が5位、「プリヴィレッジ」が72位に達した[11]。
ノルウェーのアルバム・チャートでは10週連続でトップ20入りし、最高10位を記録した[2]。ニュージーランドのアルバム・チャートでは初登場20位となり、6週連続でトップ40入りした[5]。
評価
[編集]William Ruhlmannはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け、「当時としてはスミスの作品の中でも特に売れ線のサウンド」としつつも、最終的には「スミスが芸術性と商業主義の間で最良の折り合いをつけた作品」と評している[12]。
『ヴィレッジ・ヴォイス』誌の企画「Pazz & Jop」における1978年の最優秀アルバムでは14位となった[13]。『ペースト』誌の2018年の企画「1978年のベスト・アルバム」では22位[14]。また、『NME』誌が2013年に選出した「The 500 Greatest Albums of All Time」では435位にランク・イン[15]。
収録曲
[編集]- Side 1
- ティル・ヴィクトリー "Till Victory" (Patti Smith, Lenny Kaye) – 2:50
- スペース・モンキー "Space Monkey" (P. Smith, Ivan Král, Tom Verlaine) – 4:06
- ビコーズ・ザ・ナイト "Because the Night" (P. Smith, Bruce Springsteen) – 3:25
- ゴースト・ダンス "Ghost Dance" (P. Smith, L. Kaye) – 4:44
- ベイブローグ "Babelogue" (P, Smith) – 1:30
- ロックン・ロール・ニガー "Rock N Roll Nigger" (P. Smith, L. Kaye) – 3:25
- Side 2
- プリヴィレッジ "Privilege (Set Me Free)" (Mike Leander, Paul Jones, Psalm 23) – 3:29
- ウィ・スリー "We Three" (P. Smith) – 4:18
- 25階 "25th Floor" (P. Smith, I. Král) – 4:03
- ハイ・オン・リベリオン "High on Rebellion" (P. Smith) – 2:37
- イースター "Easter" (P. Smith, Jay Dee Daugherty) – 6:15
1996年リマスターCDボーナス・トラック
[編集]- ゴッドスピード "Godspeed" (P. Smith, I. Král) – 6:09
参加ミュージシャン
[編集]- パティ・スミス - ボーカル、ギター
- レニー・ケイ - ギター、ベース、ボーカル
- アイヴァン・クラール - ベース、ギター、ボーカル
- ブルース・ブロディ - キーボード、シンセサイザー
- ジェイ・ディ・ドゥーティー - ドラムス、パーカッション
アディショナル・ミュージシャン
- ジョン・ポール・フェッタ - ベース (A1, B1)
- アラン・レイニア、リチャード・ソール - キーボード (A2)
- アンディ・オストロウ - パーカッション (A4)
- トム・ヴァーレイン - アレンジ (B8)
- ジム・マクスウェル - バグパイプ (B5)
脚注
[編集]- ^ Patti Smith Group - Easter (1978, Vinyl) - Discogs
- ^ a b norwegiancharts.com - Patti Smith Group - Easter
- ^ a b PATTI SMITH | full Official Chart History | Official Charts Company - 「ALBUMS」をクリックすれば表示される。
- ^ a b “Patti Smith - Awards”. AllMusic. 2015年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月5日閲覧。
- ^ a b charts.org.nz - Patti Smith Group - Easter
- ^ swedishcharts.com - Patti Smith Group - Easter
- ^ Offizielle Deutsche Charts
- ^ a b c d e f g Rose, Caryn (2017年5月28日). “Patti Smith Group: Easter Album Review”. Pitchfork. Condé Nast. 2021年9月5日閲覧。
- ^ Patti Smith Group - Because The Night (1978, Vinyl) - Discogs
- ^ “Patti Smith Group - Awards”. AllMusic. 2015年9月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月5日閲覧。
- ^ PATTI SMITH | full Official Chart History | Official Charts Company
- ^ Rulhmann, William. “Easter - Patti Smith Group, Patti Smith”. AllMusic. 2021年9月5日閲覧。
- ^ “Robert Christgau: Pazz & Jop 1978: Critics Poll”. 2021年9月5日閲覧。
- ^ “The 30 Best Albums of 1978”. Paste Media Group (2018年3月8日). 2021年9月5日閲覧。
- ^ “The 500 Greatest Albums Of All Time: 500-401”. NME (2013年10月21日). 2021年9月5日閲覧。