李韓永
イ・ハニョン 이한영 李韓永 | |
|---|---|
| 生誕 |
李一男（リ・イルラム） 1961年  北朝鮮 |
| 死没 |
1997年2月25日 韓国京畿道盆唐新都市 |
| 代表作 | 平壌「十五号官邸」の抜け穴 |
| 親 | 成蕙琅〈ソン・ヘラン〉（母） |
| 親戚 |
成蕙琳（叔母） 金正日（伯父） 金正男（従弟） |
| 李韓英 | |
|---|---|
| 各種表記 | |
| ハングル： | 이한영（北: 리한영） |
| 漢字： | 李韓英 |
| 発音： | イ・ハニョン（北: リ・ハニョン） |
| ローマ字： |
Yi Han-yeong（北: Ri Han-yeong） Yi Han-yŏng（北: Ri Han-yŏng） |
| 英語表記： | Yi Han-yong |
| 各種表記（本名） | |
| ハングル： | 리일남（南: 이일남） |
| 漢字： | 李一男 |
| 発音： | リ・イルラム（南: イ・イルラム） |
| ローマ字： | Ri Il-nam (南: Yi Il-nam） |
李 韓永（イ・ハニョン〈李韓英〉、1961年 - 1997年2月25日）は、金正日の元妻（正確には結婚していない）成蕙琳の実姉・成蕙琅の息子で、金正男の従兄。脱北者。北朝鮮の暴露本を出版したことで知られている。出生名は李 一男（リ・イルラム）。平壌出身。金正日の命令によりソウル近郊で銃殺された[1]。
人物
[編集]平壌では、金正日夫妻とその子息、金正男らと生活をともにした[2]。
1978年にモスクワ言語大学文学部に入学。卒業後、フランス語を学ぶためにジュネーヴの大学に留学していたが、1982年に韓国へ亡命し、整形手術を受けた上改名し、結婚した。その後1987年12月にKBS国際局に入社してロシア語の放送プロデューサーとなった。1996年、韓国メディアのインタビューに応じ、金一族の内情を話し、暴露本『平壌「十五号官邸」の抜け穴』を出版した[注釈 1]。また、同年発行した『大同江ロイヤルファミリー・ソウル潜行14年』でも、金正日一家の赤裸々な日常を公表、それ以降も各種のメディアを通じ、「喜び組」や「秘密パーティー」などといった「体制の恥部」とも言える秘められた事項をさらけ出した[2][注釈 2]。
翌1997年2月15日、身を寄せていた友人宅前で北朝鮮の工作員2名により頭部に銃撃を受けて脳死状態に陥り[3][4][5]、10日後に死亡した[6][7][2][注釈 3]。その後、同年10月27日に北朝鮮の工作員夫婦が逮捕され（妻の方は自殺）、夫を取調べた結果、韓永の暗殺は朝鮮労働党社会文化部の特殊工作組のメンバーによる犯行と断定され、金正日総書記の指示によるものと判断された。
その後、彼の妻は「保護対策が疎かだったために夫が殺害された」として、2002年2月に韓国政府を相手取り4億8,000万ウォン以上の損害賠償請求を起こした。韓国司法当局は、一審・控訴審とも国家の責任を認め、2008年8月に最高裁が上告を棄却し、原告側勝訴の判決が確定した。ただし、彼が国情院の勧告や忠告を無視して内外メディアのインタビューに答えたり、暴露本を出版したことから国家の責任を6割とし、賠償額は9,699万ウォンとなった[8]。
著書
[編集]- 『大同江ロイヤルファミリー・ソウル潜行14年』（東亜日報社、1996年）
- 『金正日が愛した女たち―金正男の従兄が明かすロイヤルファミリーの豪奢な日々』
- 日本語訳『平壌「十五号官邸」の抜け穴』（太刀川正樹訳・構成、ザ・マサダ、1996年）
- 新版改題『金正日に暗殺された私』（廣済堂出版、2003年）ISBN 978-4-331-51000-1
関連文献
[編集]- 成蕙琅 著、萩原遼 訳『北朝鮮はるかなり 金正日官邸で暮らした20年』文藝春秋〈文春文庫〉、2003年。ISBN 978-4167651312。
- 母の著作：単行判は文藝春秋 上・下、2001年
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 安（2000）p.27
- ^ a b c d e 高英起 (2020年6月17日). “独裁者の「恥部」を暴露して処刑された最初の脱北者”. Yahoo!ニュース. 2024年5月30日閲覧。
- ^ KBSニュース9（1997年2月15日）
- ^ KBSニュース9（1997年2月16日）
- ^ “뉴스데스크” (朝鮮語). MBC NEWS (1997年2月16日). 2024年5月30日閲覧。
- ^ 이한영 사망; 밤 경희분당차병원 외경과 중환자실 앞을 메운 취재진들 및 반상회 참석 주민들에게 수배전단 배포하고 브리핑하는 경찰관.공무원들 - KBS NEWS（韓国放送公社）（KBSニュース9、1997年2月25日）
- ^ “15일 권총 피격 당한 이한영씨 뇌사상태에서 사망[이성주]” (朝鮮語). MBC 뉴스 (1997年2月25日). 2024年5月30日閲覧。
- ^ “韓国最高裁、金正日の妻の甥の李韓永氏殺害事件の国家賠償を確定”. The Daily NK. (2008年8月22日)
参考文献
[編集]- 安明進 著、金燦 訳『北朝鮮拉致工作員』徳間書店〈徳間文庫〉、2000年3月。ISBN 978-4198912857。
