インターバルクラス
インターバルクラスとは、音楽理論において、ピッチクラス空間(pitch class space)における2つのピッチクラス間の順序を無視した最小の隔たりをいう。ピッチクラス4とピッチクラス9を例にとると、9 - 4 = 5 であるのに対して 4 - 9 = -5 ≡ 7 (mod 12)となるので、インターバルクラスは5である。最大値は6である(それより大きな数値は置き換え可能なため)。詳しくは12を法とする合同式を参照のこと。
インターバルクラスの利用
[編集]インターバルクラスは、オクターブや異名同音、転回などを説明するために導入された概念である。
例として次のパッセージを見てみる。
上の例では、4つの2音の組合わせ(ダイアド)は、同じ「インターバル色」を持つ。無調理論では、この類似性はインターバルクラスによって説明され、例えばこの例では、インターバルクラス5となる。一方、調性理論ではこの4つの組合わせはみなことなるものとして認識する。1つ目は完全5度、2つ目は完全12度、3つ目は減6度、4つ目は完全4度である。したがって、7音音階音楽の中で発展してきた概念や用語では12音音楽の分析に間に合わないところから導入された概念である。
インターバルクラスの表記法
[編集]インターバルクラス(順序を考えないピッチクラスのインターバル) i (a,b) は次のように定義可能である。
と のより小さいほう、ただし i <a,b> は順序を考えたピッチクラスのインターバル
順序を考えないインターバルの記法としては、おそらく上の例のような丸括弧を使う方法が標準的である。しかし、作曲家のロバート・モリス(1991)(Robert Morris)など中括弧を用いて i {a,b} のように表記する理論家もある。どちらの記法も認められている。
同一のインターバルクラスとなる音程の表
[編集]ic | 含まれるインターバル | 転回音程 |
---|---|---|
0 | 0・12 | 完全一度・完全八度 |
1 | 1・11 | 短2度・長7度 |
2 | 2・10 | 長2度・短7度 |
3 | 3・9 | 短3度・長6度 |
4 | 4・8 | 長3度・短6度 |
5 | 5・7 | 完全4度・完全5度 |
6 | 6 | 増4度・減5度 |
参考文献
[編集]- Morris, Robert (1991). Class Notes for Atonal Music Theory. ASIN B0006DHW9I.
- Rahn, John (1980). Basic Atonal Theory. ISBN 0-02-873160-3. For forumala definitions only.
関連文献
[編集]- Friedmann, Michael (1990). Ear Training for Twentieth Century Music. ISBN 0-300-04537-9.