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イトヒキギス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イトヒキギス
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: キス科 Sillaginidae
: イトヒキギス属 Sillaginopsis
Gill, 1861
: イトヒキギス S. panijus
学名
Sillaginopsis panijus
(Hamilton, 1822)
シノニム
  • Sillago panijus Hamilton, 1822
  • Cheilodipterus panijus Hamilton, 1822
  • Sillaginopsis domina Cuvier, 1829
  • Sillago domina Cuvier, 1829
英名
Gangetic whiting
flathead sillago
分布

イトヒキギス(Sillaginopsis panijus)はキスの一種。ベンガル湾岸に生息する。平たい頭と長く伸びた背鰭が特徴。現地で漁獲され、食用・観賞用として取引される。

分類

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Sillaginopsis属は単型であり、他の2属とともにキス科を構成する[1]

1822年、Francis Buchanan-HamiltonによってCheilodipterus panijusとして記載された。ホロタイプガンジス・デルタ産。1861年、Theodore Gillは"Synopsis of the Sillaginoids"の中でキス科の分類を再編し、Sillaginopsis属が創設され学名はSillaginopsis panijusとなった[2]

分布

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南アジア沿岸に分布する。ポンディシェリからコロマンデル海岸ガンジス・デルタミャンマーマレーシア・稀にインドネシアでも確認されている[2]

沿岸の三角江泥底に生息する。幼魚は外敵を避けるため河川に進入する[3]

形態

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形態から他のキス科魚類とはすぐに区別できる。頭部は強く縦扁し、眼は非常に小さい[3]。第一背鰭は10棘で、第二棘の先端が長く伸びる。第二背鰭は1棘25-27軟条尻鰭は2棘24-27軟条。側線鱗数は84-90、脊椎骨数は42。44cmまで成長する[4]

他のキス科魚類にはがあるが、本種ではほぼ消失する。口は小さく、下顎が上顎より短く、最前方の2本の歯が他の歯より大きい[2]

生態

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消化管内容物の分析から、小魚・甲殻類藻類を食べることが示された。口が小さいため、餌の大きさは限られる[4]

西ベンガル州の標本から、固有の消化管寄生虫Dichelyne alatae[5]を始めとした寄生虫が発見されている。

Krishnayya(1963)によるフーグリー川三角江での耳石を用いた年齢構成調査では、年2回、11-2月・8-9月に繁殖することが示された。稚魚はそれぞれ3-4月・12月に川を遡り、2-3か月過ごす。全長120mmで性成熟する[6]

人との関連

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ベンガル湾沿岸・フーグリー川・ガンジス川デルタなどで漁網や延縄で漁獲される。重要種であるが、現地で消費されるため海外への輸出は少ない[2]。稚魚は汽水観賞魚として取引されることもある[7]

出典

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  1. ^ "Sillaginopsis panijus" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2008年5月5日閲覧
  2. ^ a b c d McKay, R.J. (1992). FAO Species Catalogue: Vol. 14. Sillaginid Fishes Of The World. Rome: Food and Agricultural Organisation. pp. 19–20. ISBN 92-5-103123-1. ftp://ftp.fao.org/docrep/fao/009/t0538e/t0538e07.pdf 
  3. ^ a b McKay, R.J. (1985). “A Revision of the Fishes of the Family Sillaginidae”. Memoirs of the Queensland Museum 22 (1): 1–73. 
  4. ^ a b Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2007). "Sillaginopsis panijus" in FishBase. Aug 2007 version.
  5. ^ De, N.C.; R.N. Maity (1995). “A new nematode, Dichelyne alatae sp. n. (Cucullanidae), from Sillaginopsis panijus (Pisces) of West Bengal, India”. Folia Parasitologica 42 (3): 220–226. PMID 8774775. 
  6. ^ Krishnayya, C.G. (1963). “On the use of otoliths in the determination of age and growth of the Gangetic whiting, Sillago panijus (Ham.Buch.), with notes on its fishery in Hooghly estuary”. Indian Journal of Fisheries 10: 391–412. 
  7. ^ Schaefer, Frank (2005). Brackish-water fishes : all about species, care and breeding. Rodgau: Aqualog. ISBN 3-936027-82-X