イガイダマシ
イガイダマシ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Mytilopsis sallei (Recluz, 1849)[1] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
イガイダマシ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Black-striped mussel |
イガイダマシ(学名 Mytilopsis sallei)はオオノガイ目カワホトトギス科に属する二枚貝の1種である。内湾や河口の潮間帯下部から水深数mに生息する汽水性の二枚貝。日本には本来分布していない外来種。イガイ科の貝に似ているためにこの和名がついた。
分布
[編集]日本では東京都、千葉県、愛知県、大阪府、静岡県、和歌山県、富山県、福岡県に移入分布している[2]。海外では、インド、フィジー、アフリカ西岸、ベトナム、台湾、香港などに外来種として定着している[2]。
特徴
[編集]殻長2.5cm。殻色は汚白色から淡褐色。殻は薄く、殻表は褐色の殻皮に覆われる。殻頂部内側に隔板があり、その下に三角形の突起がある[3]。
護岸や他の貝類に固着して群生する。水質汚濁や塩分には強いが、低水温に弱い。
外来種問題
[編集]日本では1974年に静岡県の清水港で初めて記録され[4]、その後も1983年に東京湾隅田川河口[5]と千葉県の新浜湖、1984年に福岡県の洞海湾[6]、1991年に大阪府の道頓堀川、1994年に大阪市の大阪港、堺市の出島港、岸和田市の春木港、2000年以降に名古屋港と和歌山港など各地で次々と発見された[2][3]。船体に付着したり、バラスト水に混入して侵入・拡散したものと考えられる[7]。
本種よりも他の外来種のイガイ類(ムラサキイガイ・ミドリイガイ・カワヒバリガイ・コウロエンカワヒバリガイなど)のほうが優占しており、また本種はクロダイに捕食されるため、あまり深刻な定着は発生しないとされる[7]。しかし、温暖化により定着が促進された場合、在来生物に影響を与える危険性もある。また、日本国内でイガイダマシとして報告されていたもののなかに、実際は別種のアメリカイガイダマシM. leucophaeataである個体が混入していた可能性も指摘されており、種の同定には注意を要すると指摘されている[3]。
オーストラリアのダーウィン港ではヨットハーバーにイガイダマシの侵入が確認された際、すぐに塩素や硫酸銅を散布して根絶に成功しており[7]、これは海洋外来生物の完全な駆除に実現した唯一の事例である[8]。
参考文献
[編集]- ^ "Mytilopsis sallei (Récluz, 1849)". World Register of Marine Species. 2022年11月11日閲覧。
- ^ a b c d イガイダマシ 国立環境研究所 侵入生物DB
- ^ a b c 村上興正・鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編著)『外来種ハンドブック』地人書館、2002年9月30日。ISBN 4-8052-0706-X。
- ^ 石橋公、「情報 [清水湾奥で初めて発見された二枚貝イガイダマシ Mytilopsis sallei]」, 『付着生物研究』 1980年 2巻 1号 p.59-61(p.60), doi:10.4282/sosj1979.2.59
- ^ 古瀬浩史, 長谷川和範、「イガイダマシ東京湾に産す」 『ちりぼたん』 15(1), 18, 1984-06-30、日本貝類学会
- ^ 山西良平、「洞海湾から見つかったイガイダマシ」 『南紀生物』 27, 64, 1985, NAID 10009319246
- ^ a b c 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7。
- ^ 岩崎敬二「日本に移入された外来海洋生物と在来生態系や産業に対する被害について」『日本水産学会誌』第73巻第6号、2007年、p.p.1121-1124、doi:10.2331/suisan.73.1121、2019年7月11日閲覧。