コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

アンモナイト目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アンモナイト目
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
中期三畳紀 - 後期白亜紀
分類
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
階級なし : 左右相称動物 Bilateria
旧口動物超門 Protostomia
上門 : 冠輪動物上門 Lophotrochozoa
: 軟体動物門 Mollusca
: 頭足綱 Cephalopoda
亜綱 : アンモナイト亜綱
Ammonoidea
: アンモナイト目 Ammonitida
学名
Ammonitida
Hyatt1889
亜目

アンモナイト目(アンモナイトもく)は、アンモナイト亜綱に属する系統群の一つ。単に「アンモナイト」と言うとこの分類群のみを指すこともある、狭義のアンモナイトである。アンモノイド亜網の中でも特に複雑な縫合線を持つグループであり、殻の形状や大きさも多様化を遂げた。約6600万年前の白亜紀末の大量絶滅に際して絶滅した[1]

進化史

[編集]

アンモナイト目の上位分類群であるアンモナイト亜綱古生代シルル紀オウムガイ亜綱英語版チョッカクガイ(オルソセラス目)から派生したと考えられている。そして下記に示す分類群が古生代のうちに出現した[1]

このうち、バクトリテス目からアナルセステス目が、アナルセステス目からプロレカニテス目が、プロレカニテス目からセラタイト目が枝分かれしたと推測されている[注 1][1]。この過程で、それまで祖先であるチョッカクガイと同様に直線状の殻を持っていたアンモノイド亜綱は、殻が螺旋を描いて丸くなるような進化を遂げた[2]。そしてペルム紀末の大量絶滅を唯一乗り越えたセラタイト目から、中期三畳紀にアンモナイト目が出現した[1]

三畳紀末の大量絶滅でセラタイト目が絶滅した後、アンモナイト目はジュラ紀白亜紀を通じて繁栄を遂げた[2]。この間に異常巻きアンモナイトと呼ばれる特殊な形状の殻を持つ属種も登場した[1]。しかし白亜紀末の大量絶滅でアンモナイト目も恐竜などの生物群と共に絶滅を迎え、アンモナイト亜綱の系統もここで断絶することとなった[1]

アンモナイト目と直接の関係があるわけではないが、チョッカクガイに近縁なオウムガイは現在の海洋で生き延びている[2]。また、現生のイカタコおよび化石分類群のベレムナイトに代表される蛸形亜綱英語版もバクトリテス目から派生している。コウイカの甲はアンモナイトの殻と相同であることが分かっている[1]

特徴

[編集]

アンモナイト目はその他のアンモナイト亜綱と同様に、殻の巻き方・断面の形状・装飾・縫合線(殻と内部の隔壁の接する部分)の形状などにより分類される。アンモナイト目の縫合線は植物の葉に喩えられるほどに複雑であり、殻の強度が時代を下るにつれて向上していたことが示唆されている[注 2][2]

異常巻きアンモナイトの一つであるニッポニテス

三畳紀には、異常巻きアンモナイトと呼ばれる、巻きが解けたような特徴的な形状の殻を持つものも登場した。なお、異常巻きアンモナイトは単系統群ではなく、むしろ多系統群である[3]。発見された20世紀初頭の時点で当時からこの形状がある法則性を持っていることが指摘されていたものの、産出する個体数が少なかったことから、何らかの要因で正常に成長できなかった奇形個体として長らく解釈されていた。その後はニッポニテスの螺環構造のシミュレーションにより異常巻きアンモナイトの螺環に規則性があることが示され、定式化もされている。そしてこの形態はアンモナイトが多様な環境に適応放散した結果と解釈されるようになった[2]

アンモナイト目は体サイズも多様性に富む。直径1センチメートル程度のものも多い一方で、最大のアンモナイトであるパラプゾシアは直径2メートルを超えるものが発見されている[2][1]

下位分類

[編集]

アンモナイト目には以下の下位分類群が含まれる[4]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ゴニアタイト目とクリメニア目は直接アンモナイト目に繋がらない系統である。これらはいずれもアナルセステス目から派生したと考えられている[1]
  2. ^ ただし、全ての属種がこの傾向に従うわけではない。ゴニアタイト目にも複雑な縫合線を持つものはおり、逆にアンモナイト目にも単純な縫合線を示すものがいた[3]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i 小学館の図鑑NEO 大むかしの生物』小学館、2004年12月20日、71頁。ISBN 4-09-217212-5 
  2. ^ a b c d e f 芝原暁彦『化石観察入門』誠文堂新光社、2014年7月22日、32-39頁。ISBN 978-4-416-11456-8 
  3. ^ a b 早川浩司「アンモナイト学」『化石』第74巻、日本古生物学会、2003年、85-88頁、doi:10.14825/kaseki.74.0_85 閲覧は自由
  4. ^ ロバート・ジェンキンズ. “アンモナイトの系統”. 古生物の部屋. 2021年10月30日閲覧。