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アンドリュー・ベンソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Andrew Alm Benson
アンドリュー・A・ベンソン
アンドリュー・ベンソン
生誕 1917年9月24日
アメリカ合衆国の旗 カリフォルニア州モデスト
死没 (2015-01-16) 2015年1月16日(97歳没)
アメリカ合衆国の旗 カリフォルニア州ラホヤ
居住 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
研究分野 生物学
研究機関 カリフォルニア大学
サンディエゴ校
出身校 カリフォルニア大学
バークレー校卒業
カリフォルニア大学
バークレー校大学院
修士課程修了
カリフォルニア工科大学
大学院博士課程修了
博士課程
指導教員
カール・ニーマン
他の指導教員 ルイス・ウォルター・アルヴァレズ
主な指導学生 丸尾文治
主な受賞歴 アーネスト・ローレンス賞(1962年)
プロジェクト:人物伝
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アンドリュー・アルム・ベンソンAndrew Alm Benson1917年9月24日 - 2015年1月16日)は、アメリカ合衆国生物学者学位Ph.D.カリフォルニア工科大学1942年)。

カリフォルニア大学サンディエゴ校教授などを歴任した。

概要

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植物の炭素循環の研究で知られている[1][2]。1989年に退職するまでカリフォルニア大学サンディエゴ校の生物学の教授だった。

若齢期と教育

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1917年9月24日、カリフォルニア州モデストでスウェーデンの移民の医師の息子として生まれた[3]カリフォルニア大学バークレー校ルイス・ウォルター・アルヴァレズから光学を学び、グレン・シーボーグの化学研究所で研究し、学士号、修士号を取得した[3]。1942年にカリフォルニア工科大学Ph.D.を取得した[4]。カリフォルニア工科大学ではカール・ニーマン英語版の下で研究し、チロキシンフッ素化に関する実験を行った。また彼は、第二次世界大戦において良心的兵役拒否をしたが、この政治的立場が、卒業後にバークレーに戻ったときに彼に困難をもたらした[3]

卒業後の業績

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ベンソンは1942年7月に専任講師としてバークレーに戻った。1946年5月、メルヴィン・カルヴィンの研究グループに参加するように招かれた。カルヴィンはバークレーの旧放射線実験室で光合成の研究グループを立ち上げたところだった。1951年から1952年まで、フルブライト奨学金ノルウェー農業大学に留学し、1954年にペンシルベニア州立大学で教員の職を得た[3]。1962年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校からカリフォルニア大学サンディエゴ校に移った[5]

研究

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1946年から1953年にかけて行われた研究で、メルヴィン・カルヴィンジェームズ・バッシャム英語版とともに、ベンソンは植物の炭素固定の経路(光合成的炭素還元回路、PCR回路)を解明した。炭素還元回路は一般に「カルヴィン回路」と呼ばれており、ベンソンとバッシャムの業績が評価されていない[6]。多くの科学者は、「カルヴィン・ベンソン回路」「ベンソン・カルヴィン回路」「カルヴィン・ベンソン・バッシャム(CCB)回路」と呼んでいる[4]。2002年のPlant Biology Annual Reviewの論文で、ベンソンは自身の人生と業績について詳細な回顧録を提供した[3]

植物における光合成の研究によりカルヴィンは1961年のノーベル化学賞を受賞したが、共同研究者のベンソンとバッシャムが受賞対象になっておらず、論争となった。ノーベル賞の受賞から30年後、カルヴィンは"Following the trail of light"(光の軌跡に従って)という自叙伝を出版したが、そこではベンソンについて言及されていない。

賞と栄誉

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ベンソンは、1972年に米国科学アカデミー[7]、1981年にアメリカ芸術科学アカデミー[8]、1984年にノルウェー科学アカデミー英語版[1]選出された。1962年、アメリカ合衆国エネルギー省は彼に、放射性同位体を用いた炭素循環の研究に対してアーネスト・ローレンス賞を授与した[9][10]。彼はまた、炭素循環の生成物としてリブロースを発見したことで、1950年に砂糖研究財団賞[11]を、1972年にアメリカ植物生物学会のスティーブン・ヘレス賞[12]を受賞した。2007年、彼の90歳の誕生日を祝ってPhotosynthesis Researchの特別号が発刊された[13]

門下生

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生物学者の丸尾文治は1956年8月から1958年6月にかけてペンシルベニア州立大学に留学しており[14]、その際にベンソンから直接指導を受けている[15]

脚注

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  1. ^ a b Govindjee (September 2010). “Celebrating Andrew Alm Benson's 93rd birthday”. Photosynthesis Research 105 (3): 201–8. doi:10.1007/s11120-010-9591-3. ISSN 0166-8595. http://www.life.illinois.edu/govindjee/Honoring_AndrewABenson.pdf. 
  2. ^ http://www.legacy.com/obituaries/utsandiego/obituary.aspx?n=andrew-benson&pid=173956530
  3. ^ a b c d e Benson, A. A. (2002), “Paving the Path”, Annual Review of Plant Biology 53 (1): 1–25, doi:10.1146/annurev.arplant.53.091201.142547, PMID 12221968 .
  4. ^ a b Adrianov, A. V.; Vaskovsky, V. E.; Pudovkin, A. I.; Terekhova, T. A.; Titlyanov, E. A.; Titlyanova, T. V. (2007), “On the 90th anniversary of Andrew Alm Benson great scientist and excellent man”, Russian Journal of Marine Biology 33 (5): 343–346, doi:10.1134/S1063074007050136 .
  5. ^ Shor, Elizabeth Noble (1978), Scripps Institution of Oceanography: Probing the Oceans 1936 to 1976, Tofua Press, http://ark.cdlib.org/ark:/13030/kt109nc2cj/ .
  6. ^ Han, Kathy; Labos, Christopher (2004), “Historical Footprints: MJM Past and Present”, McGill Journal of Medicine 7 (2), オリジナルの2008-05-17時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20080517083955/http://www.medicine.mcgill.ca/mjm/issues/v07n02/editorial/editorial.htm : "It would be unfair of us to talk of the Calvin cycle and credit its discovery to Melvin Calvin without at least giving a passing nod to Andrew Benson who did a considerable portion of the work while on Calvin's team."
  7. ^ “95 Named to Academy of Sciences in Recognition of Achievements”, The New York Times, (April 29, 1973) .
  8. ^ Book of Members, 1780–2010: Chapter B”. American Academy of Arts and Sciences. 25 July 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。June 15, 2011閲覧。
  9. ^ “Five Scientists Get U.S. Awards For Their Work in Nuclear Field”, The New York Times, (April 24, 1962) .
  10. ^ Award citation Archived April 1, 2009, at the Wayback Machine. from U.S. Department of Energy web site.
  11. ^ “Sugar Research Unit Gives $25,000 Prizes”, The New York Times, (June 21, 1950) .
  12. ^ ASPB Award Winners Archived 2007-07-02 at the Wayback Machine..
  13. ^ A Tribute to Andrew A. Benson, Photosynthesis Research Volume 92, Number 2, May 2007.
  14. ^ 「訃報」『分生研ニュース』54号、東京大学分子細胞生物学研究所2015年7月、13頁。
  15. ^ 山根國男「枯草菌と奮闘した人々――丸尾文治研究室の系譜」『蛋白質核酸酵素』42巻12号、共立出版1997年9月、1925頁。