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アルフ・プリョイセン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アルフ・プリョイセン(1949年)

アルフ・プリョイセン(Alf Prøysen, 1914年7月23日-1970年11月23日)は、ノルウェー児童作家歌手。「スプーンおばさん」のシリーズで知られる[1]

生い立ち

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プリョイセンは、ノルウェーのヘードマルク県(Hedmark)リングサーケル(Ringsaker)[2]に、3人兄弟の末っ子として生まれた。家庭が貧しく、幼少時から農場で働いた。学校へは行かなかったものの、空想力や歌唱力に富み、農村の祭などで自作の歌を披露し喜ばれた[3]

1945年には最初の短編集を出版し[2]、また1950年の『電燈にとまったツグミ』(no:Trost i taklampa)はのちに映画化・ミュージカル化された[2]

プリョイセンは、1946年から[4]ノルウェーの国営ラジオ放送の番組「子どもの時間」で子どもたちに歌を歌い、語りかけ、人気を博していた[5][6]。代表作となる「スプーンおばさん」シリーズも、ラジオ番組をもとに作られ[7]1956年スウェーデン語版が、翌年ノルウェー語版が出版されたのが始まりである。これは世界18言語に訳され、やはり映画化された。日本では、1983年4月にアニメNHKにより放映されている。

プリョイセンは作家として名を成してからも歌謡を自作し続け、また各地の民謡を歌いに回った[3]

1970年により56歳で死去。

作品

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「スプーンおばさん」シリーズ

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スプーンおばさんは普通のおばさんに見えるが、時折(必要もないのに)身体がティースプーンくらいに小さくなってしまう。小さくなった時には動物と会話ができるおばさんの、幻想的な冒険を描く。

神宮輝夫は「日常的なものが別な色合いをおびて感じられる点に、この空想物語の独創性がある」[8]と評価している。また、神宮[8]山内清子[5]は民話との親和性を指摘している。「小さくなる」ことが動物との意思疎通につながることから、スプーンおばさんを北欧伝説の妖精と同質視する分析もなされている[要出典]

ノルウェーではボルグヒル・ルー(Borghild Rud)の、スウェーデンではビョーン・ベルイ(Björn Berg)の挿絵がついている[6]。スウェーデン語版が英語版になり、日本語版にもビョーン・ベルイの挿絵が使われている[5]

  • ティースプーンくらいに小さくなるおばさん Kjerringa som ble så lita som ei te-skje (1957年)
  • ティースプーンおばさんのあたらしい冒険 Teskjekjerringa på nye eventyr (1960年)
  • おとぎの森のティースプーンおばさん Teskjekjerringa i eventyrskauen (1965年)
    • 大塚勇三 訳『小さなスプーンおばさん』ビョールン・ベルイ、学習研究社、1966年。ISBN 4051046508NCID BN03773584 原書での1巻目から7編、2巻目から4編を収録[5]
      • 大塚勇三 訳『スプーンおばさんちいさくなる』ビョールン・ベルイ、偕成社、1979年。 NCID BN11239217 第1話の絵本。
    • 大塚勇三 訳『スプーンおばさんのぼうけん』ビョールン・ベルイ、学習研究社、1968年。ISBN 4051046575NCID BN11480286 原書の2巻目から5編3巻目から6編を収録[5]
  • スプーンおばさんのゆかいな旅 Teskjekjerringa på camping (1967年)
    • 大塚勇三 訳『スプーンおばさんのゆかいな旅』ビョールン・ベルイ、学習研究社、1975年。 NCID BN1321696X 原書4巻目の全訳[5]

NHKで放送されていたアニメの詳細は、スプーンおばさん (アニメ)を参照。

その他の翻訳作品

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  • 大塚勇三 訳『しあわせのテントウムシ』ニルス・アース、岩波書店、1979年。 NCID BA32611030 1959年刊行の原書の短編9作品のうち6作品を訳した。
  • no:Geitekillingen som kunne telle til ti
    • 山内清子 訳『10までかぞえられるこやぎ』林明子、福音館書店、1991年。ISBN 4834010538NCID BN07292409 
    • ひだにれいこ 訳『10までかずをかぞえたこやぎ』ヴィヴィアン・ザール・オルセン、ワールドライブラリー、2015年。ISBN 9784908013416NCID BB24746712 
  • 「だめといわれてひっこむな」ストーリーテリング(素話)に使える作品として翻訳・紹介されている。
    • 『母の友』(1964年3月号)p66-68 「三歳の子どもに聞かせる話」「アルフ・プロイセン原作 瀬田貞二訳」と記載がある。
    • 東京子ども図書館 編『おはなしのろうそく 9』東京子ども図書館、1980年。ISBN 9784885691089NCID BN08087926 
    • 東京子ども図書館 編『だめといわれてひっこむな』5号、東京子ども図書館〈おはなしのろうそく(愛蔵版)〉、2001年。ISBN 9784885690549NCID BA5506072X 

脚注

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  1. ^ 株式会社ぴえろ 公式サイト”. ぴえろ. 2014年1月24日閲覧。
  2. ^ a b c 『北欧からのおくりもの』国立国会図書館国際子ども図書館、2006年、78頁。ISBN 4875826362NCID BA77779712 
  3. ^ a b 大塚勇三「解説 アルフ=プリョイセンについて」『小さなスプーンおばさん』学習研究社、1966年、162-166頁。 
  4. ^ 大塚勇三「訳者あとがき」『しあわせのテントウムシ』岩波書店、1979年、85-86頁。 NCID BA32611030 
  5. ^ a b c d e f 山内清子「プリョイセン「スプーンおばさん」シリーズ--スプーンおばさんのみどころ」『日本児童文学』第28巻第4号、小峰書店、1982年4月、48-49頁、NAID 40002934625 
  6. ^ a b 福井信子 (2006年7月15日). “北欧へのいざない 北欧の子どもの本と展示会の見どころ” (PDF). 国立国会図書館国際子ども図書館. p. 12. 2019年10月4日閲覧。
  7. ^ 木村由利子「北欧の幼年童話」『日本児童文学』第28巻第4号、小峰書店、1982年4月、24頁、NAID 40002934615 
  8. ^ a b 神宮輝夫『世界児童文学案内』理論社、1963年、181頁。