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アルベルトネクテス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アルバートネクテスから転送)
アルベルトネクテス
アルベルトネクテス
ホロタイプの脊椎
地質時代
後期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
上目 : 鰭竜類 Sauropterygia
: 首長竜目 Plesiosauria
亜目 : プレシオサウルス亜目 Plesiosauroidea
: エラスモサウルス科 Elasmosauridae
: アルベルトネクテス属 Albertonectes
学名
Albertonectes
Kubo et al., 2012
  • A. vanderveldei

アルベルトネクテス (学名:Albertonectes) はカナダアルバータ州ベアパウ累層後期白亜紀カンパニアンから知られるエラスモサウルス科首長竜類の属の一つ。模式種アルベルトネクテス・ヴァンデルヴェルディAlbertonectes vanderveldei)のみで構成されている。最長のエラスモサウルス類で、既知の中で最長の首と全長をもっていた[3]

発見

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生体復元図

完全に保存された体骨格のホロタイプ MP 2007.011.0001 で知られ、標本はアルバータ州ドラムヘラーロイヤル・ティレル古生物学博物館に所蔵されている。骨要素として環椎・軸椎から先端が癒合した尾椎までの132個の脊椎骨、完全な肩帯と不完全な腰帯、ほぼ完全な四肢、分離した肋骨、腹肋骨、そして少なくとも97個の胃石を含む。TMP 2007.011.0001 は、コライト・インターナショナル株式会社によるアンモライト発掘の最中に、場所はアルバータ州南部レスブリッジ近くのセント・マリーリバーの約150メートル南で発見された。その標本はセントマリーリバー部層の泥質ユニット1の下部の泥岩からほぼ完全な状態で発掘された。そこはその地層のバキュリテス・コンプレッススBaculites compressus)が採れるロケーションの最下層のすぐ下であった。標本は7350万年以上前のもので、およそ前期から後期白亜紀の間頃である。アルベルトネクテスの発見は、首長竜の中で首と全長の最長記録となった。頭より後ろが11.2メートル(頭を含めると11.6メートル)で、そのうち首は7メートルである[3]

語源

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アルベルトネクテスは久保泰マーク・ミッチェルそしてドナルド・ヘンダーソンにより2012年に記載された。属名は古代ギリシャ語で「アルバータ州の泳者」を意味する。"nectes" は首長竜類の学名において一般的な単語である。種小名 vanderveldi は、ホロタイプを発見したコライト・インターナショナル株式会社の創始者、故レネ・ヴァンダーヴェルデへの献名である[3]

記載

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ヒトとのサイズ比較

アルベルトネクテスは最長のエラスモサウルス類の一つで、これまでに見つかっている他のどのエラスモサウルス類よりも長い7mに達する首をもっていた。頭部を失っているホロタイプは、11.2メートルの長さで、環椎から尾の先端まで保存されている。頭を含めた全長は11.6メートルに達したことが示唆されている。アルベルトネクテスはまた他のエラスモサウルス類と比べて独特な形質である76個の頚椎をもっていた。これはエラスモサウルス類の頚椎としては最大個数である。他のエラスモサウルス類にも稀に見られる本属の特徴としては以下のようなものがある。

  • 恥骨の前側に寛骨臼を超えて側方に伸びる膨らみがある
  • ほとんどの頚椎(少なくとも69個)の側部に長い隆条がある
  • 肩甲骨の隣接する前縁よりも広い鎖骨
  • pectoral bar と pelvic barの欠如
  • 尾の先端の7つの椎骨が癒合している
  • ほっそりした上腕骨の幅と長さの比率が56%である

アルベルトネクテスは成体の標本がしられている。成体であることは神経棘とほとんどの頸肋骨と中心体が癒合していることや、TMP 2007.011.0001. において部分的な結合は転子大腿骨上部の間にのみ確認されることから示唆される。成体であることを示す他の要素としては、よく発達した脊椎表面の粗い皺や手首の骨の関節がある[3]

系統解析

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2012年、久保らは2002年の佐藤たまきのデータを大きく改変したものを用い、系統解析を試みた。しかしそれは不確かなもので、多くのエラスモサウルス類がより大きな多系統群に属していると思われる[3]。この分析は2015年に O’Gorman et al. によって改変された。以下のクラドグラムはその結果のうち、エラスモサウルス科の類縁のみを抜粋したものである[4]

エラスモサウルス科 

エロマンガサウルス

トゥアランギサウルス

エラスモサウルス

リボネクテス・モルガニ

カラワヤサウルス

リボネクテス・アトラセンセ

ヒドラルモサウルス・セルペンティヌス

ヒドラルモサウルス・アレキサンドラエ

アフロサウルス

テルミノナタトル

タラッソメドン

スティクソサウルス

アルベルトネクテス

フタバサウルス

マウイサウルス

ワプスカネクテス

モレノサウルス

ヴェガサウルス

 アリストネクテス亜科 

アリストネクテス

カイウェケア

出典

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  1. ^ 中高校生が第一線の研究者を訪問 「これから研究の話をしよう」 第14回 キリンの首がよく動くのはなぜ? 生き物の身体の形と機能に潜む“意味”を探究”. 生命科学DOKIDOKI研究室. テルモ生命科学振興財団. 2023年10月18日閲覧。
  2. ^ 新種の首長竜、カナダで化石 福井の博物館調査」『日本経済新聞日本経済新聞社、2012年5月11日。2023年10月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e Kubo, T.; Mitchell, M. T.; Henderson, D. M. (2012). “Albertonectes vanderveldei, a new elasmosaur (Reptilia, Sauropterygia) from the Upper Cretaceous of Alberta”. Journal of Vertebrate Paleontology 32 (3): 557-572. doi:10.1080/02724634.2012.658124. 
  4. ^ José P. O’Gorman, Leonardo Salgado, Eduardo B. Olivero and Sergio A. Marenssi (2015). “Vegasaurus molyi, gen. et sp. nov. (Plesiosauria, Elasmosauridae), from the Cape Lamb Member (lower Maastrichtian) of the Snow Hill Island Formation, Vega Island, Antarctica, and remarks on Wedellian Elasmosauridae”. Journal of Vertebrate Paleontology 35 (3): e931285. doi:10.1080/02724634.2014.931285. 

関連項目

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