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アルティン・ウェダーバーンの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

抽象代数学において、アルティン・ウェダーバーンの定理 (: Artin–Wedderburn theorem) は半単純環半単純代数分類定理である。

定理の主張

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定理は、(アルティン)[注釈 1]半単純環 R はある有限個の ni行列環 Mni(Di) の直積に同型であると述べている[1]。ここで ni は正の整数、 Di可除環であり、 両者とも添字 i の置換を除いて一意的に決定される。とくに、任意の単純左または右アルティン環可除環 D 上の n行列環に同型で、nD は両方とも一意的に決まる[2]

直接の系として、アルティン・ウェダーバーンの定理は可除環上有限次元であるすべての単純環(単純代数)は行列環と同型であることを意味する。これはもともと J. H. M. Wedderburn (1908) の結果である。E. Artin (1927) は後にそれをアルティン環のケースに一般化した[注釈 2]

R が可除環 E 上の有限次元単純代数であれば、DE に含まれる必要はないことに注意せよ。例えば、複素数体上の行列環は実数体上の有限次元単純代数である。

アルティン・ウェダーバーンの定理は可除環上の単純環の分類を与えられた可除環を含む可除環の分類に帰着する。これをさらに単純化できる。D中心 K でなければならない。したがって RK-代数であり、それ自身は K を中心としてもつ。有限次元単純代数 R はしたがって K 上の中心的単純代数である。それゆえアルティン・ウェダーバーンの定理は有限次元中心的単純代数の分類の問題を与えられた中心をもつ可除環の分類の問題に帰着する。

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R を実数体とし、C を複素数体とし、H四元数体とする。

  • R 上のすべての有限次元単純代数は R, C, あるいは H 上の行列環でなければならない。R 上のすべての中心的単純代数は R あるいは H 上の行列環でなければならない。これらの結果はフロベニウスの定理から従う。
  • C 上のすべての有限次元単純代数は C 上の行列環でなければならない。したがって C 上のすべての中心的単純代数は C 上の行列環でなければならない。
  • 有限体上のすべての有限次元中心的単純代数はその体上の行列環でなければならない。
  • すべての可換半単純環は体の有限個の直積でなければならない[注釈 3]
  • アルティン・ウェダーバーンの定理によると体 上の半単純代数は有限積 に同型である、ただし は自然数で 上の有限次元可除代数で、 上の 行列の代数である。再び、この積は因子の置換を除いて一意的である。

注釈

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  1. ^ 半単純環アルティン環である。著者によっては「半単純」を環が自明なジャコブソン根基をもつことを意味するために使う。アルティン環に対しては、2つの概念は同値なので、"アルティン"はあいまいさを排除するためにここに含められている。
  2. ^ もう少し正確な歴史については (Cohn 2003, p. 139) を見よ。
  3. ^ これは 1×1 よりも大きい行列環は決して可換でないことから明らかである。

出典

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  1. ^ Cohn 2003, p. 138, Theorem 5.2.4.
  2. ^ Cohn 2003, p. 137, Theorem 5.2.2.

参考文献

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  • Artin, E. (1927). “Zur Theorie der hyperkomplexen Zahlen”. Abh. Math. Sem. Univ. Hamburg 5: 251–260. doi:10.1007/BF02952526. JFM 53.0114.03. MR3069481. 
  • Cohn, P. M. (2003). Basic Algebra: Groups, Rings, and Fields. Springer. ISBN 1-85233-587-4. MR1935285. Zbl 1003.00001. https://books.google.co.jp/books?id=VESm0MJOiDQC 
  • Wedderburn, J. H. M. (1908). “On hypercomplex numbers”. Proc. London Math. Soc. 6: 77–118. doi:10.1112/plms/s2-6.1.77. JFM 39.0139.01. MR1575142. 

関連項目

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