アルカード
アルカード(Alucard)とは、ドラキュラ(Dracula)の綴りを逆にしたもの。古くは映画から、昨今は漫画やゲームなどでも、その名称は多彩に使用されている。
概要
[編集]「ドラキュラが使う偽名」「ドラキュラの親族の偽名」「ドラキュラの配下の名前」などといったドラキュラに関連する語として使われることがある名称である。またドラキュラに限らず、しばしば吸血鬼関連のキャラクターや物事の名称としても使われる。これはドラキュラが非常に有名な吸血鬼であり、多くの国で吸血鬼の典型例として扱われているからであるとみられる。
使用されている例が非常に数多いため、本項では使用例の広がりの参考となるような古い例や広く知られている例の紹介にとどめる。
使用例
[編集]この名称が使われた古い例としては『Son of Dracula』(邦題:夜の悪魔)という1943年公開のアメリカ映画がある。この映画において、吸血鬼が「Count Alucard」(アルカード伯爵)と名乗っている(ちなみにこの映画の原題は「ドラキュラの息子」という意味だが、この映画に登場する吸血鬼の素性は明らかにされないため、ドラキュラの息子なのかそうでないのかはわからない。ただし登場人物がこの吸血鬼をドラキュラの末裔であろうと推測するシーンはある。)。これが最古の例とみられる。
ただし1931年公開のアメリカ映画『Dracula』(邦題:魔人ドラキュラ)の大ヒットにより、この『Son of Dracula』の公開の10年以上前から既にドラキュラは非常に有名な怪物であった。さらにブラム・ストーカーが『吸血鬼ドラキュラ』を執筆する際に影響を受けたとされる、より古い吸血鬼小説『カーミラ』の作中では吸血鬼が自分の名前のアナグラムを偽名に使用している。よって、この『Son of Dracula』以前に、『吸血鬼ドラキュラ』と『カーミラ』を知る者がアルカードという名称を独自に考えついて使用した例が存在してもおかしくはない。
ホラー映画の名門ハマー・プロが1972年に製作した『ドラキュラ'72』においても、アルカードを名乗るドラキュラの使徒が登場、ドラキュラを復活させてしまう。
日本での例としては、1969年から1970年にかけて連載された手塚治虫の漫画作品『I.L』にアルカード伯爵と名乗るキャラクターが登場している。1980年代後半には、『アルカードくん』という吸血鬼の少年を主人公としたMoo.念平の漫画作品が小学生向け漫画雑誌で連載された。また、コナミのゲーム作品『悪魔城ドラキュラ』シリーズでは、1989年に発売された『悪魔城伝説』にアルカードと名乗るドラキュラの息子が登場しており、このキャラクターは以後の悪魔城ドラキュラシリーズのいくつかの作品にも主要人物として登場している。