アリソン (亀)
生物 | アオウミガメ Chelonia mydas |
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著名な要素 | カメとしては世界初の人工ヒレを取り付けた個体 |
アリソン(英語:Allison)とは、アメリカ合衆国テキサス州のサウスパドレ島(南パドレ島)のウミガメ研究保護センター (Sea Turtle Rescue Center) に飼育されるアオウミガメの名である。身体に負った障害を緩和するために、カメでは世界で初めて補助具(人工ヒレの一つ)を装着した個体として知られる。
略歴
[編集]2005年、アリソンは、サメに食べられたか、左前脚(鰭)及び、左右の後脚(鰭)の計3本を全欠損している状態で発見された[1]。発見時の体長は5 インチ(およそ12 センチメートル)だった[2]。アリソンは保護され治療を受けたが、右前脚(鰭)だけでは左回りに回転する泳ぎしかできない状態となり、息継ぎは人が水面まで持ち上げねばならず、深い水槽での通常の生活が困難だった[1][2]。
2008年、カメの保護に取り組むシータートル社(Sea Turtle, Inc.)は、イルカに人工ヒレをつけた例があることを参考に、テキサス大学獣医学部及び医学部の協力を得て、アリソンの全欠損した左前脚(鰭)へ補助具を装着する試みが行ったが、欠損した鰭の基部に人工部分を支えるだけの大きさがなく、うまくいかなかった[3][2][4]。
2009年、カヌーを漕ぐ物理学を応用して、2つ目の補助具が試された[5]。アリソンの甲羅の背中に、"ネオプレン"という合成ゴム製の[3]、長い背びれ、又は長い舵のような補助具を取り付けたところ、尾をつけた凧が安定するように、以前よりもまっすぐ泳げるようになり[6]、水面で息継ぎもできるようになった[5]。ナショナルジオグラフィックは「すっかり元気を取り戻した」と伝えた[3]。
アリソンは海に戻されることはない。体重600ポンド(約270キログラム)まで育つため、身体に合わせて、補助具を定期的に取り換える必要があるからである。[1][5]
脚注
[編集]- ^ a b c Dental implant for first artificial turtle flipperBy Ed Stoddard, Thu Feb 28, 2008, 9:29am EST,Reuters
- ^ a b c Endangered Turtle To Get Bionic FlipperBy CBSNews,AP, February 28,2008,7:56AM
- ^ a b c 「ニュース - 動物 - 補助具を装着、元気になったウミガメ」ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト、2009年4月9日。2023年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月27日閲覧。
- ^ ニュース - 動物 - 動物用人工パーツ:ウミガメの前肢July 8, 2009、ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト
- ^ a b c Saved from swimming in circles: Allison the one-finned turtle gets a new prostheticBy Liz Hazelton UPDATED: 13:34 GMT, 9 April 2009, Mail Online
- ^ ウミガメ:補助具付けて“快泳” 米テキサス州2009年4月9日11時36分(最終更新4月9日12時52分) - 毎日jp(毎日新聞)
関連項目
[編集]- 人工ヒレの動物
外部リンク
[編集]- Allison’s Prosthesis - Sea Turtle, Inc
- One Flippered Sea Turtle Swims With Jacket - seaturtleinc - YouTube
- Allison the Atlantic green in Prosthetic Harnass - seaturtleinc - YouTube
- PHOTO IN THE NEWS: Green Sea Turtle to Get Fake Flipper - National Geographic
- Bionic turtle? Caregivers seek prosthetic flipper - Technology & science - Science - NBC News
- Uni-flipper turtle gets it straight with swimsuit - Technology & science - Innovation - NBC News